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ゆうな
2025-01-18 23:37:37
2871文字
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【ふわふわ】【ぽかぽか】
プロヒ同棲爆轟。コタツでおねむの爆豪が可愛い轟くん。
春眠暁を覚えずっちゃんをいつまでも擦り続けていますTT
#爆轟版深夜の真剣60分一本勝負
◆Pixiv:ログ2に格納済み
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24418260
「コタツぅ?」
「そうだ。今年こそ置かないか? 実家じゃ当たり前にあったんだ、ちょっともう恋しいというか」
同棲を始めて二年目の冬。おまえ絶対に寝るだろ、と一年前に断られたコタツ導入の提案。絶対に寝ねえ、と言っても聞き入れられず多少白熱してしまった結果、マンション内でボヤ騒ぎまで起こしかけ一次停戦となったことはまだ記憶に新しい。
そのままなあなあになってしまい結局購入には至らなかったため、今年は絶対に設置してほしい、でも話し合いをしよう。と気合を入れて来た轟が、かき集めてきたコタツの商品資料をテーブルいっぱいにバサリと広げる。更には「体温を調節できる自分は暖かいから出たくないとか眠ってしまうとかそういうことは今まで一度たりとも無いしどちらかと言うとあのふわふわの布団が気持ち良くってあれが恋しいんだ!」などとまあまあ高い熱量で想いを伝えたことが功を奏したのか、「ふーん」と返した爆豪の表情が去年とは全く違ったのだ。厳密に言うと、まあ意見を呑んでやっても良いか、の顔をした「ふーん」だ。
今回はやけにアッサリと折れた男に、やはりそうかと轟は内心頷く。爆豪にはきちんと準備をした上でプレゼンをするのが一番効果的だったのだ、母校の演習場でも借りて決着をつける案は没にして良かった、と。しかし熱弁をした後、それに、と続けて「コタツの方がお互いを近くに感じられる気がしねえか」と照れくさそうに微笑んだ無自覚の攻撃が一番の火力を持っていたことに轟自身は気付いていない。その言葉に肩をすくめた爆豪が観念したように笑ってみせる。
「まあエアコンだけだと乾燥するしな」
「俺は乾燥させねえぞ、良い具合に加湿もできる」
「はいはい、加湿器ヒーローも兼任しとけ。そんじゃとりあえず良さげなやつピックアップしてみるか」
「うん、楽しみだな!」
と爆豪に勢いよく抱きついて引っ叩かれたのが二週間前。そこから二人で吟味し注文をしたのが先週、そして届いたコタツを設置するなりいそいそと潜っていく爆豪を観測したのが本日午後。そして今。
「爆豪」
「
……
ん」
「ばくごー」
「んー」
一体爆豪はどうしてしまったのか。夕飯後のリラックスタイムとはいえリラックス度合いが普段の比じゃない。食器を洗いつつカウンターキッチンから声を掛けても生返事しか返ってこない。あれだけ口酸っぱく寝るなと言っていた本人がコタツ布団を肩まで被ってうとうととしているのだ。もしかしてその話は爆豪自身のことだったのか。自制心のかたまりみたいな男がこんなにもだらしがなくなってしまうなんて、コタツの力というのはそんなに恐ろしいものだったのか。
家事を済ませリビングに戻る頃には背もたれにしていたはずのソファはもう殆ど頭を引っ掛けているだけの状態で、爆豪は目の下まですっぽりと布団に潜っていた。このままだと首まで痛めてしまいそうだ。そろそろ無理矢理にでも起き上がらせた方が良いだろう。轟は両膝をついて隣に座り、爆豪の肩を優しく揺する。
「そこで寝ると体痛めるぞ」
「ぅ、」
すると呻いた爆豪が体を横に滑らせ、ぽすんと轟の太腿を枕にするように頭を乗せた。思わず「お」と声が出る。ズレた布団を掛け直しながらもぞもぞと動くのが少し擽ったい。
「ん
……
かてぇ」
「そりゃそうだ」
「でも床よかマシだわ」
とろとろとした受け応えににへ、と笑う横顔。轟の心臓がきゅんと締め付けられる。なんせ眠っている時や微睡んでいる時の爆豪は可愛い。とんでもなく可愛い。なんていうか、向かうところ敵無しって感じの可愛さを見せてくる。
仕事中の大・爆・殺・神ダイナマイトは平素よりその粗暴な振る舞いで敵だけではなく一般市民にまで悲鳴を上げられ、よくヒーローチャートの順位を落としていることは有名な話である。しかし爆豪勝己として恋人との穏やかな時間を過ごす時には柔い笑みを見せてくれることも多く、こうやってくっ付いて来ることも珍しく無い。しかも眠たい時はその甘えたが加速する。轟はそんな爆豪の姿にめっぽう弱い。自分にだけ見せる表情も、この足にかかる重みも、爆豪に触れるひとつひとつが愛おしくて、だからこうして近くに居たいと思うのだ。
轟は伸びかけの赤髪を耳に掛け、見た目より柔らかな黄金色をさらりと掬った。大人しく寝転ぶ横顔に影を落とし、そのままキメの細かい頬に唇を寄せる。離れていく気配を感じた爆豪がゆっくりと仰向けになり、目蓋を薄く持ち上げた。温まった手を轟の顔に伸ばして唇に触れて遊ぶように指で押してつまんでを繰り返す。轟がお返しとばかりに頬をつついて、そんな子どものような戯れに爆豪の目が弧を描いた。
「そんだけ? こっちにはくんねーの」
ん、と口を突き出してくる恋人の桃色の頬をむにむにと揉みながら轟は、んーと考える素振りを見せた。突き出された口を指で押し返して、それから下唇を軽く引っ張ると綺麗に並んだ下の前歯が覗く。その光景に胸の内側がそわりと擽られるようなむず痒さを覚え、轟が腰を曲げる。逆光の頬に赤髪の束がぱさりと落ちた。
「
……
ベッド行くなら、する」
耳元で囁かれた言葉に飴玉のような赤い瞳がツヤリと光る。照明に照らされた頸がじわじわと同じ色に染まっていった。
これは寝室での話だが、轟の予想通り爆豪はコタツにめっぽう弱いという。「なのに俺が寝ちまうからだとか言ったな」と腕の中でヘソを曲げる轟に、まあその話は一旦置いといて「ただあそこまで気が抜けたのはオマエと一緒だから」なんて言ってやればすぐに「それならいい」と胸に顔を埋めてくるのだから、チョロすぎて少し心配になってしまう。嘘は言っていないがあまりに単純すぎる。
「悪かったよ」
しっとりとした紅白の頭を撫でるとその気持ち良さに欠伸が出る。今日はこのまま眠ってしまっても良いかもしれない。髪を梳く動きがだんだん鈍くなっていくと、それを察知した轟が頭を上げて涙を滲ませた顔をじっと見つめてから再び柔らかな胸筋に戻っていく。額をぐりぐりと押し付けながらばくごー、となぜか少し甘えた声を出した。
「起きたら爆豪が手打ちしてくれた蕎麦が食いてえ」
その言葉に、意識が飛びそうな頭で家にある蕎麦粉の在庫状況を思い出してみる。
……
とりあえず朝イチで買い物に行かなくてはいけないことが決定した。しかもこれはきっと轟が起きたらすぐに食べられるよう完成まで仕上げておかなければならないのだろう。
誤魔化そうとした爆豪の思考をすべて分かっていてこんなことを言ってのけるのだから、轟が単純な男であるはずがなかったのだ。でもそうやって爆豪にとっては別に苦でもないようなことを、わがままを言ってやったぞみたいな顔をしてやり返してくるところがまた愛おしい。爆豪のツボを的確に突いてくる、この男の可愛いところだ。
聞いてんのか、と未だにぺちぺちと頬を触ってくる声を子守唄に、爆豪は明日の恋人の笑顔のため、ひと足先に深い眠りに落ちていくのだった。
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