haruon1018
2025-01-18 22:07:28
2575文字
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長晋ワンドロライ第153回お題「水族館」

現代パロディー 弁護士mr君✕社長のtksgさん(拙宅キスまで××センチ設定ですがこれだけでも読めます)
水族館デートにいくお話。モデルの水族館は某港の水族館ですがあくまでフィクションです

#長晋ワンドロライ

「ご機嫌ですね、高杉社長」
 午后、高杉が小さく歌っているのを阿国は見逃さなかった。
 破天荒かつ面白ければ何でもいいとかいうはた迷惑な気質であるが、普段は猫を被っているので感情の起伏が分かりにくい。
 そんな高杉がパソコンを操作しながらもニコニコしている理由は一つしかない。
「そう、ああ阿国君、日曜日は終日オフにしているから調整よろしく」
「はい、ついでに月曜日もオフにしておきますので楽しんできてください」
「ん? 僕、何か云ったか?」
「云わなくても分かりますよ、どうせ森様とのデートでしょ」
「どうせとはなんだ、森君とのデートだぞ。しかも庶民的なデートがしたいと云ったら承諾してくれてね」
「庶民的なデートと云いますと?」
「水族館デートだ、ちなみに飲食の持ち込みは禁止だからお菓子はNGだって」
「そうですか、」
 デートを楽しむと云うよりも遠足気分のような高杉に阿国は呆れたが馬に蹴られたくないと黙っていた。
 そもそも森は、天下の織田が可愛がっている時点で庶民からはかけ離れているし本人も弁護士の資格を有している。
 高杉の会社をサポートする傍ら社外取締役もこなしている所謂スパダリという奴なので、これも庶民からはほど遠い。
「楽しみだな」
 ふふんと歌い続ける高杉に明日からの仕事もセーブさせようとタブレットを開いた。
 **
「庶民的なデートがしたい」
 二週間前突如高杉が漏らした言葉に森はは? と返事をした。
 庶民的というのは一体何なのかという疑問に対して思わず声を漏らしただけなのだが、暴走列車並みに恋に関しては制御不能、理解不能の高杉がデートについての悪態をつかれたと、ぎょっと目を開いて森の顔を見る。
「デートしたいのはオレも賛成だが、庶民的ってなんだよ」
「だって僕らのデートって、仕事帰りにホテルで外食、信長公が用意してくれた別荘で外泊と世間からかけ離れているだろ」
「大殿が用意した別荘は良いとして、外食はデートじゃねぇだろ」
「僕にとってはデートだから大丈夫、それでねたまには普通のデートがしてみたいんだ」「普通ね、晋作の考える普通の定義が分からねぇから教えろよ」
「っ……今名前を呼ぶのはズルいぞ、森君」
 紆余曲折を経てお付き合いすることとなった森と高杉は、名前で呼び合う仲となった。
 ずっと呼びたかったとさらりと高杉の名前を口にする森に対して、高杉はまだ恥じらいがあった。
「どうなんだよ」
「えっと遊園地、水族館、映画鑑賞なんかも定番らしい」
 高杉が独自に調べた調査によれば、それが定番でかつ失敗しないデートスポットだと書いてあった。
「遠足かよ」
「そうなの? 僕遠足参加したことないから分からない、修学旅行も高校だけだったし」
 身体の弱い高杉は家族以外と遠出する機会に恵まれなかった。
 吉田のセミナーで工場見学はあったが、それは大学を卒業してからでしかも吉田のあの性格のせいで危うく乗っ取りを危惧されて冷や汗ものだった。
「悪い、」
「いいよ、それで出来れば森君にスケジュール組んでほしいな、なんてね」
「オレがいいけどよ、なんでだよ」
「君の彼氏力というのを体感してみたい、世の中のカップルはデートでより親密さが増すだという」
「ほーん、なら水族館だな」
「うん、いいよ。ちなみに選んだ理由は」
「遊園地は晋作が間違いなく酔うし、あと……デカいと制限掛けられるんだよ」
 百九十センチ越えした森の場合、ジェットコースターなどは頭上すれすれだったりして乗れない場合が多いのだ。
「そうなの、映画はなんとなく分かる。今面白い映画ないよね」
 そのままデートの日程を合わせると高杉はその日が来るのをずっと待ち焦がれる日々を送ったが、幸せで一杯だった。

 磯の香りがする。
 水族館の最寄り駅で降りた高杉は浮かれ気分で水族館まで向かう。
 高杉達が住んでいる地域の水族館は既に二人とも家族と出かけているので面白みがないだろうと、森がかつて住んでいた中部圏のとある水族館でのデートが決まった。
 本当は一緒に現地入りする予定だったが、運悪く森が社外取締役している会社の会合が金曜日にその地域であったので、高杉が後から追いかけることとなった。
 それでも高杉は「待った」、「今来たところ」というベタなお約束シチュエーションが出来るとポジティブに考えていた。
 勿論、遅れるつもりはないのだが今回のデートのコンセプトは定番なのだから問題ない。
 あとは階段を上るだけの段階でうっすらとだが森のシルエットが見える。
 こういうとき背が高いのは便利だなと思いながら高杉は、お気に入りの白いスーツが汚れてないかサッと鏡で確認し、駆ける気持ちを抑えて森の元へ向かった。
「おう、待っていたぜ」
「う……森君なんだ、その格好は」
 いつもの髑髏と薔薇の刺繍がイカしているスカジャンだろうと思っていたが、目の前にいる森は眩い黄色の生地に青色の紋、それにジーンズとラフだが海にに青格好をしていた。「あ、なんだよ」
「格好良すぎるだろう、僕その服見たことないぞ」
「昨日買ったからな、洗濯はしてるし、そうか格好いいか
自覚がある男前ほど厄介だと高杉は胸の鼓動を抑えながらデートに繰り出した。
 **
「イルカショー凄かったな、それに鰯のトルネードも」
 一通り館内を巡ると森達は併設されたカフェで休んでいた。
「喜んでるなら何よりだ、オレは何にもしてないけどな」
 水族館デートと云われ森なりに色々と調べたが、場所さえ選べばあとは海の生き物の都合である。
 その時彼らがした行動にケチを付ける権利は人間にはない。ただ黙って自然の叡智を堪能するだけであるが高杉は楽しめたようだ。
「やっぱりデカい水槽って云うのはいいな、会社にも入れるか巨大水槽」
「誰が面倒見るんだよ、維持費は、餌代にそれにいつかはくたばる」
「そうだね、うん、」
 珈琲を啜りながら森はふぅと気持ちを落ち着かせた。
「このあとだけど、どうするもう一回、魚を見に行くか」
「そうだね、あと阿国君にお土産買っていってもいいかな」
「いいぞ、
ふふデートって良いねと笑う高杉にこれから何度も連れていくと囁けば、高杉の顔がタコみたいに真っ赤になった。