三毛田
2025-01-18 21:05:33
1081文字
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76 076. 手枷足枷

76日目
過去が苛む
75の続き

 身動きが取れないどころではない。
 それは、一切の自由を奪う楔。
 時折、鎖に絡め取られ動くことすらままならない日があった。
 ただの罪人ではないと。過去の罪を背負えと。
 いやでも突きつけられ。
 将軍により、羅浮から追放され手足の自由を手に入れてからも、しばらくは夢に出た気がする。
 刃に追いかけ回され、悪夢を呼び起こされてからは気にならなくなったような。
「っは……っ」
 苦しい。
 呼吸がうまく出来なくて、喉をかきむしる。
「たん、こぉ? 大丈夫か?!」
 眠たそうな声で俺を呼んだ恋人は、声を荒げて俺の手を引き剥がそうとして。
「っつぅ……丹恒、大丈夫だ。ほら、吸って、吐いて。そうそう。上手いな」
 強引に行おうとしたものを、まるで俺を傷つけない様にという手つきでそっと喉元から手を剥がし、優しく抱きしめながら背中を撫でる。
 なんとか呼吸が落ち着いて、痛くて苦しくて、穹の背中に腕を回してしがみつく。
「久しぶりに悪夢でも見たのか?」
 頷くと、
「大丈夫。俺が隣にいる」
 優しい声色で告げ、今度は頭を撫でてきて。
 酸素を取り込もうとしても、うまくいかない。それでも、穹は大丈夫、大丈夫。ゆっくりでいい。と、俺に優しく言い聞かせ。
 ゆっくり深呼吸していると、ようやく落ち着いた。
「穹、すまない」
「そこはありがとうがいいな」
……ありがとう」
 背中に腕を回す。
「俺が腕枕するから、もう一回寝よう。な?」
「ああ」
 穹の温もりに包まれると、悪夢なんかすぐに忘れてしまう。
 好意を告げられた時は、戸惑った。
 だけど、パムに相談して、少しだけそれを前向きに捉えることが出来。
 鳥籠に囚われていた俺を、自分で思っているよりも過去に引っ張られていた俺を解き放ってくれたのは穹で。
 好きであることには変わらないと、告げたらちょっと複雑そうな顔はされたが。
 それから少しずつ〝恋〟を知っていった。
 今は、ちゃんと彼に恋している。ちょっとだけ、愛しているかもしれない。
……
「よく眠れたか?」
「ああ。お前の温もりは、落ち着く。それに」
「それに?」
「安心する。一緒にいたいと、思わせてくれるな」
 胸に顔を寄せると、急に心音が早くなって。
「穹?」
「丹恒、ズルいって」
「何がズルいんだ?」
「本当そういうところだよ……好き」
「俺もお前が好きだ」
 言葉が嬉しくて、頬ずりしたら強く抱きしめられ。
「穹、痛い」
「丹恒は、俺を喜ばせる天才だな!」
「そうか?」
「うん。大好き」
 ふにゃふにゃ嬉しそうに笑う。