fedge
2025-01-17 03:21:24
7453文字
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カピオロとタルにOWをさせるだけの現パロ

読みたかったので書きました。
タルタリヤの解像度浅いかもしれない…口調等すべて許せる人のみご覧ください…
オーバーウォッチわかんねぇけどいちゃついてるとこだけ見たいって人は、★---- で始まる区切り線付近を読むといいと思います。

『強化完了!力を見せてやれ!』『我が剣には龍が宿――
『真の力を解放せよ!』『総員、撃ち方始め!』

この場面でポイントを取れなければ敗北する。その決死の場面で繰り出したナノブースト付きの龍撃剣だったが、初撃で狙ったアッシュは敵のナノブーストで守られた上に、ザリアのアルティメットで壁に張りつけられ、そのまま誰もキルできないまま、負けた。
画面に赤々と表示されたDEFEATの文字を見て、タルタリヤは今日は止め時かとヘッドセットを外す。明日も変わらず仕事だ。時間的にもそろそろ終えなければならない。
今日も今日とて負け知らず……としていたかったが、ここ最近、妙に強いタンクとサポートの二人組とよく当たる。味方に来れば圧勝だし、敵に来ればなすすべもなく負ける。自分一人で相対するなら遅れは取らないだろうが、悲しいかなオーバーウォッチはチームゲームだ。全体で対抗できなければ、負ける。

「あのタンクの人本当に強いな、盤面への圧が他とは違う」

特に強いのがタンクの方だ。player、なんて量産型のやる気のないIDをしておきながら、堅実なエリア展開を好んで、それでいて好機を逃さずガンガン詰めてくる積極性がある。味方のやりたいことを汲み取る力も抜群で、ダメージキャラを持っているこちらの動きやすさも段違いだ。
そのタンクを集中して倒そうとしても、おそらく一緒に組んでいるであろう、『キャベツ太郎』なんてふざけたIDのサポートが献身的に守るせいで全く崩せない。ならばサポートから崩そうと仕掛けても、毎度上手く逃げおおせられてしまう。キリコなんかの逃げが得意なサポートの時はまだ理解ができるのだが、移動スキルのないアナで逃げ切られてしまうことが何度もあった。逃げで時間を稼がれているうちに、相方のタンクが前線を少し下げながらカバーに回ってきて、打ち取れないままこちらがキルされる。
……もしくは、自分以外が、殲滅されている。

「いいねぇ、面白くなってきたよ。明日また戦えるといい――

強敵の出現で胸躍らせていたが、明日の予定をふと思い出して気が沈む。明日は金曜で、夜に宴会がある。全社員参加で、とのお達しで逃げることが叶わなかったものだ。

「お酒飲んじゃうとFPSできないんだよなぁ……まぁ、明日は仕方ないか」


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何にかこつけた宴会だったかは覚えていないが、近しい席に居た部下がオーバーウォッチプレイヤーだったため、宴自体は退屈せずに済んでいた。

「新しく出たハザードってタンク強くないですか?実装直後だからってやりすぎですよね」
「君もそう思う?俺もだ。火力がイカれててDPSは肩身が狭いよ」

わちゃわちゃと話をしていたところに、黒髪の長身が割り込んできた。

「お前たちもオーバーウォッチをしているのか」
「カピターノ部長!?……も、ってことは部長もオーバーウォッチで遊ばれてるんですか?」

目をまんまるに見開いて、先ほどまで談笑していた部下が驚いて言葉を失っている。

「ああ、誘われて少しだけな……そこまで驚くことか?」
「そもそもゲームされてるのが意外です。メインロールは何を?」
「タンクだ。どうもゲームでも人を率いているほうが性に合っているらしい」
「俺はdpsメインでやってるんですよ。……どうです?もしよければ、今度一緒にやりませんか」

敏腕で社長からの信頼も厚く、部下からも慕われているカピターノの、ある種プライベートな一面をみられるチャンスを逃すわけにはいくまい。

「構わない、やろうか。……すまない、向こうから呼ばれているようだ」
「やった!後で連絡しますね」

嫌々参加した飲み会で思わぬ収穫があったタルタリヤは、別のテーブルに呼ばれて去っていったカピターノの背を見ながら、口角を上げた。


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翌日14時。こういうのは忘れないうちにやりましょう!と半ば強引に約束を取り付けたタルタリヤは、遅めの昼食を済ませてPCの電源を入れた。Discordのダイレクトメッセージに、カピターノからバトルタグが送られてきている。

「player……まさかな」

最近よく当たる例のタンクと同じID。よくあるIDだから、おそらく偶然だろうとは思うが。
通話をつなぎつつフレンド依頼を承認してもらった。妙な胸騒ぎを沈めるために戦績を見ようとするが、プライベートモードにされていて何も確認できなかった。

「今日はよろしくお願いします」
「ああ、よろしく。プライベートなのだから、そう畏まらなくていい。クイックマッチでいいか?新しいタンクを触ってみたい」
「構わないですよ、俺はサポートかDPSをやります」

今メタキャラの新タンクを触ってみたい……まだ触っていないのなら、本当にあまりやっていないのだろう。杞憂だったかと、クイックマッチにキューを入れた。



……本当に初めて?」

一戦終えて、疑問がいくつも浮かぶ。初心者であれば敵にも初心者が混ざるのだから圧勝だろうと踏んでいたが、敵も味方も、ライバルマッチと変わらないような強さを感じた。続けてキューを入れながら、素朴な疑問をカピターノにぶつける。

「ああ。開始前にスキルの確認をしただろう、その程度だ。キャラが変わっても、タンクとしてやるべきことはそう変わらないからな」
「確かにそれは一理ありますけど……おっと、次はジャンカータウン防衛だそうですよ」

変わらないといったって、限度があるだろう。ランクでしばしば見かける「player」は、もしかせずとも――
アッシュを選んで防衛位置にスタンバイし、考え事をしていたタルタリヤの頭を、鋭い弾丸がぶち抜き、赤いキルログが流れる。

[キャベツ太郎] > [CHILDE]

相手の狙撃手……ウィドウメイカーのプレイヤーIDが、見知った例のサポートプレイヤーだ。
リスポーンでゲンジにピックを変えたタルタリヤの眼に、強い光がともる。

……ハッ、面白い。カピターノさん、俺あのウィドウに粘着してきます」
「ああ……構わんが、おそらくあいつはすぐ変えるぞ」

タブを開いて相手のプレイヤーIDを確認したカピターノは、小さくため息をついていた。既に「キャベツ太郎」の選択キャラ欄は?に変わっており、何かへのキャラ変更を示している。

「ああ、本当だ。ウィドウ変えたのか……

残念そうにつぶやきながら同じくタブを確認し、次は何で来るのかと警戒した、まさにその時。前線で耐えていたカピターノのガードが解かれた。

……ソンブラか」

ハッキングでハザードのガードを解き、敵のタンクと共に畳みかけるように大ダメージを叩き込んできた。1秒とはいえスキルを封じられ、逃げも防御も取れないまま、味方サポートからの回復も間に合わずにキルまでもっていかれた。相手のタンクも落とせたら戦況をイーブンのまま保てるが、そう簡単にはいかない。そもそもタンクが欠けると戦況を維持するのは難しい。タルタリヤは立ち位置を下げつつ、死なないようにアルティメットゲージを溜めることに専念した。

結果としては第二チェックポイント前で相手を止め切り、勝利となった。ソンブラに変えたキャベツ太郎は神出鬼没で、こちらのサポートを狩りにきたかと思えば、正面で当たり始めると執拗なほどカピターノのハザードをハックし続けた。使用ヒーローをゲンジからキャスディに変えたタルタリヤが迎撃してなんとかなったが、非常にやりづらい相手だった。

「すまない、少し席を外す。すぐ戻る」
「わかりました。俺も今の試合疲れたんで、飲み物取ってきます」

あまりにも疲れる試合だった。
キューを止め数分休憩しよう、と、互いのマイクがミュートになった。


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カピターノは隣室のドアを軽くノックし、返事を待たずにガチャリと開ける。
部屋の主はゲーミングチェアに体を預け、青色光カットの眼鏡を持ち上げ、目を擦っている。

「こら、目を擦るな」

椅子の後ろから近づいたカピターノは、目を擦るオロルンの右手を諫めた。

「んあ、ごめん。つい癖で……あれ、もう終わったのか?」
「いいや。お前がわざわざスナイプしにきたから、休憩がてら様子を見にな」
「へへ……勝てなかった。やっぱり隊長は強いや。僕がサポートだったらまだ幾らか戦えただろうか」
「もしかしたらな。だがソンブラも鬱陶しかったぞ。俺ばかり狙うな。練習中なんだ」

オロルンはふふ、と笑うと目を擦る手を止めているカピターノの手に、すりと頬を摺り寄せた。

「やっと週末がきて君と遊ぼうと思っていたのに、同僚さんに取られたからな。ゲーム内くらい絡みに行こうとしたまでだ」
……終わったらたくさんかまってやるから我慢しろ」
「言ったからな?」
「もちろんだ。夕飯後はお前のために時間を使おう……俺も、お前にかまいたいしな」
「ふふ……それなら僕は夕飯の準備をしていようかな。買い物に行ってくる。何が食べたい?冷蔵庫に鶏肉があるから、できればそれを使ったもので」
「であれば……チキンカレーがいい。いつもみたいに野菜は大きめで頼む」
「わかった、それじゃあカレールーを買ってこないとだな。確かプランターのじゃがいもがそろそろ育ってるはずだから、じゃがいもはそれを使おう」

出かける支度をするから。ほら、同僚さん待たせてるんでしょ、と部屋を追い出された。


「戻った、待たせてすまない」
「俺も今戻ったんで全然大丈夫ですよ!続きやりましょうか」

再度クイックマッチにキューを入れ、その後、数戦遊んで解散した。
試合を繰り返すうちに思ったが、タルタリヤとは、何度かランクマッチで当たっている気がする。時々執拗なほどオロルンを狙うゲンジがいたのだ。うろ覚えだが、確かCから始まるIDだったはずだ。


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Uberで届いた夕飯を胃袋へ投げ込み、さて今日もランクに籠るかと、タルタリヤはオーバーウォッチを再び起動した。
昼間にIDを交換した「player」……カピターノもオンラインだ。ステータスを見ると『ライバル・プレイ待機中』となっている。昼に見た限り、この人と組んでいれば絶対に負けないだろう、という思いさえ沸く上手さだった。十中八九、普段戦っている「player」は彼だ。同じマッチに居るということは、当然レートも近いはず。タルタリヤ自身のレートはマスター1。もう少しでグランドマスターに上がれそう、というところだったが、ここ最近は「player」達と敵になることがしばしばあり、上がり切れずにいるのだった。パーティに誘おう、それなら敵になることはない。

『昼はありがとうございました!ランク行くんですか?もしレート近かったらご一緒できませんか?』

個別チャットを飛ばすと、少しして返事が返ってきた。

『すまない、今は連れが居る。ランクは2人までしか一緒にできないのだろう?』
「は……?」

つまり、あれか。その連れもしくは彼自身が、既にグランドマスター帯のプレイヤーだったということか。制限自体は少し前のアップデートで解除された筈だが、それ……グループ制限されていたことを知っているし、それを当然としているということは、制限されていたシーズンで既にグランドマスターだったってことだ。

『グループ制限は少し前のアプデで解除されましたよ、お連れさんがよければですが、一緒にどうですか』
……きいてみる。少しだけ待ってくれ』

チャットが来てから五分ほど経った頃、Discordの通話招待が飛んできた。


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「これ、本名で伝えてもいいか?キャベツはちょっと恥ずかしい」
「俺の同僚だし、俺も名前で呼ばれているから、お前がいいなら問題ないと思うが」
「なら名前で言おう。僕の名前はオロルンだ。よろしく」

タルタリヤが通話に入るとはじめましての人が居た。わずかばかり不機嫌そうな声の主は、やはり「player」と一緒によく見る「キャベツ太郎」だった。

「初めまして。俺のことはタルタリヤと呼んでくれ。カピターノさんの同僚だ。突然来ちゃって申し訳ないね、君とも話してみたかったんだ」
「僕と?」
「そう、君と。君とカピターノさんとは、ランクマッチでもう何度も当たっているんだ」
「何度か執拗にお前を狙ってきたゲンジが居ただろう、こいつがそうだ」
「ああ、あのゲンジ……
「君、逃げるのが凄くうまいよね。何度も見失っちゃったよ」
「ありがとう、隠れるのは得意なんだ」

キャベツ太郎と話していると、コホン、と咳ばらいをしてカピターノが割り込んできた。

……あまり長い時間やるつもりはないが、それでもいいか?」
「もちろん。こちらも無理を言ったからね。よろしく頼むよ、キャベツ君」

タンク、DPS、サポートの3人でキューを入れると、すぐマッチングして試合が始まった。


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選ばれたマップはブリザードワールド。攻守のあるルールだが、防衛はびたいち相手に拠点を踏ませることなく完封した。
カピターノがシグマを出して要所を抑え、敵が滞留しているところをタルタリヤがアッシュでひたすらにぶち抜いていった。遠隔武器はそう得意でないと言っていたが、あまりに正確無比なヘッドショットを連発したために、全体チャットでチートを疑われてすらいた。
野良が倒されてしまって戦況がぐらついても、オロルンが二人だけは絶対に倒させないように手厚くサポートし続けた結果、野良ふたりは1回ずつ倒されてしまったが、三人とも一度も死なないまま防衛ラウンドが終わった。

「あとは攻撃で1ゲージ取れれば勝ちだな」
「攻撃の編成どうします?」
「タルタリヤさんはゲンジ使えるんだよな?ウィンストンで跳んでいくのはどうだろう。僕はアナを持つから、ふたりで併せて敵を狙って」
「それがよさそうだな、さっさと片付けてしまおう」

攻撃ラウンド開始のカウントダウンが始まる。
先ほど決めた編成を選び、右上の高台から潰しにかかる。

……行くぞ」

3、2、1、とカピターノのカウントダウンで、敵のDPSが陣取っていた右上の高台に二人で跳んでいく。オロルンはその二人が跳ぶタイミングに併せて、相手の回復効果を無効化するグレネードを放り込んだ。ばしゃん!と飛沫が敵に降りかかり、体力が削れた上に回復が遮断されている敵が、二人の攻撃によって一瞬で倒された。
そのまま流れるように右上の高台を制圧し、二人の猛攻から逃げた相手のサポートを奥へと追いやる。
一方で相手のタンク……ドゥームフィストがオロルンに肉薄するが、構えたところをスリープダーツで寝かせ、その隙にカピターノとタルタリヤが居る側のエリアに逃げ去った。
タンク以外を殲滅しきった三人は、残った相手タンクも落とし、危なげなく勝利を勝ち取った。


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その後も何戦か続けたが、右に出るもの無しといった感じだった。
ただでさえカピターノとオロルンの勝率は高いのだ。そこに不足していた部分であるDPSが加わったのだから、負けるはずがない。
戦績欄に緑色のVICTORYの文字がまぶしいほどに並んでいる。少しの予定が思いのほか盛り上がり、三人ともに若干の疲れが見えるほど遊んだ。

「結構やったな。続けるにしても、一旦休憩しないか?」
「ああ、そうしよう。飲み物を取ってくる」

オロルンの提案に、カピターノがマイクをミュートにして離席していった。

「いやぁ、それにしても君たち本当に上手いね。相手にしているときも思ったけれど」
「そうかな、ありがとう。君くらい強い人に褒めてもらえると嬉しい」
「ところで気になっていたんだが、なんでキャベツ太郎なんて名前なんだい?」
「ああ……これは、オーバーウォッチをやろう!って誘ってくれた友達がいるんだけど、その子がその時に食べていた駄菓子の名前だ。僕が名前を決めきれずにいたら、『じゃあ、キャベツ太郎にしよう!オロルンは野菜も好きだし、いいよね?』って。いい名前だと思ったから、僕も賛成して、アカウントの名前をキャベツ太郎にした」
「そういえばそんな駄菓子があったな、美味しいよね」
「実は食べたことがないんだ。キャベツの味がするのか?」
「いや……どちらかというとソースの味しかしないかな」

和気あいあいと雑談をしていると、かすかにドアが開いた音をマイクが拾った。

「コーヒーソーダにしたが、これでよかったか?」
「ありがとう。いい香りだ、レモンピールも入ってるのか」
「好きだろう?」
「ああ、好きだ」

オロルンのマイクから、遠目にカピターノの声が聞こえる。

「え、もしかして二人って同じ場所に居る?」
「そうだが?」

マイクに近づいたのか、こんどははっきりと聞こえた。

……なるほどね!だからそんなにも息ぴったりなのか、ああ羨ましいね!俺にも居たらなそういうデュオ相手!」
「やらんぞ」
「ちょ、見えないからって……!タルタリヤさんは会社の人なんでしょ!ちゃんとして!」

画面の向こうで何かが起きているらしいが、触れない方が互いの為だろう。

「だいぶ遅くなっちゃったし、今日はこれでお開きってことにしよう。楽しかったよ、また機会があったら、一緒に遊んでくれ」

じゃあね!と、向こうの返事を待たずに通話を切った。
幸せオーラにあてられたのか、自分の目が座っている気がする。
スマホを取り出し、先生に宛ててLINEを送る。

『ねぇ鍾離先生、一緒にオーバーウォッチやらない?』
『なんだそれは』
『それよりベルが無いんだ』
『中華テーブルが狸の店に売ってるんだが足りなくてな』
……果樹園作ってたでしょ、その果物を集めて狸に売ったらいいよ。足りなかったら俺の島においで』