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凱
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ロナドラ
冬籠り
ドちゃんって体温低いし、冬眠したらいいよねっていう妄想の産物
・ドちゃんの体質を捏造
・付き合ってないロドがくっついた気がする
・本編軸から始まるけど後半は二十何後くらいな感じ
急に寒くなったある日。
ドラルクが起きてすぐ「眠い」といって着替えもせずにソファに座り込み、隣に座る俺にもたれかかってきた。
「ゲームでもしてたんかよ」
と聞いてみれば、
「いや
…
日の出前に眠ったよ」
と寝ぼけた声の返事がきた。
「途中で起きたん?」
「うぅん
…
」
「実は棺桶の中で早起きしてたとか?」
「
…
目覚まし鳴るまで
……
ずっと
…
」
こてん。
完全に脱力した頭が降ってきて、角が頬を掠めて膝の上に落ちていった。
ぽてんと着地しても身動きひとつなく、唸り声ひとつも上げずに、すやすやという音がぴったりな寝息を立て始めたドラルク。
「
…
寝てる
…
な?」
「ヌン
…
」
棺桶から一緒にでてきていたジョンと顔を見合わせ「とりあえず、コンビニでも行くか?」という問いに、ジョンは財布を取り出した。
腹が減ってはなんとやら、だよな。
それから二日後。
棺桶から聞こえた音に走り寄ったのはジョンが一番。
二番が俺。
「
…
はょ
…
」
ジョンのお願い通り、棺桶の暖房を付けっぱなしにしていたせいだろう。
がっすがすでからっからの声と、どんよりと重たい瞼が目覚めの挨拶をした。
「おら、水飲め」
コップに注いだ水を渡せば、ゆっくりと少しずつ飲ん
…
飲んだのか?
減ってねぇじゃん。と言えば「もう大丈夫」と、さっきよりはマシな声が返ってきた。
髪はぼさぼさだけど血色の悪さもない。
よく寝たおっさんのネグリジェ姿に相違なし。
空いた両手にジョンを抱き、二日間撫でられることのなかった甲羅を、ゆるゆると撫でて頬擦りをしていた。
立ち上がる小さな耳に息を吹きかけられ、かわいい声を上げて擽ったがるジョンと、お返しにと痩せこけた頬をつつかれて笑うドラルク。
たった二日。
されど二日。
花が舞うような空間に、俺の入る隙はない。
「
……
私どれだけ寝てた?」
名前を呼ばれて視線を上げれば、ジョンを見つめる瞳が揺れていた。
「丸っと二日寝てたぞ」
「あちゃぁ」
「作り置き全部食っちまった」
「
…
結構あったよね?」
「食べ盛りだからな」
「え〜
…
それでも
…
食べすぎでしょ
…
ふぁ
…
あふ」
「まだ眠いんかよ」
「
……
ん
…
ごめん
…
ね
……
」
くらっ。
「っぶね!」
「ヌー!」
棺桶の縁に当たる寸前でドラルクを支え、ジョンとまた顔を見合わせた。
「今日もコンビニ飯
…
の前に、じいさん呼ぶ?」
「ヌン!」
スマホを取り出したジョンが、何よりも頼もしく見えた。
じいさん曰く。
『安心して寝てるだけ』
とのこと。
そのうち目覚めるらしい。
冬眠みたいなもん?
そう聞いたら。
『同じだね』
そう言われたから、これは冬眠なんだと思うことにした。
こんな無害そうな顔して寝てんのに
……
熊かよ。
▽▽▽
かたん。
耳に届いた音に、振り返ったのは俺が一番。
「うっす」
久しぶりにみた赤色に、目覚めの挨拶をしたら。
「
…………
」
口パクで“おはよう”と言った。
しゃーない。
コップに水を汲んでやろうと立ち上がったら。
「
…
ぎ、
…
っ
…
」
「いきなりわがまま言うじゃん」
おらよと水を渡したら、こくんとひと口
…
しっかりと飲んだ。
「
…
わたし、また、」
「今は二月の終わりだよ」
「なんねんの?」
「お前が寝てから十八年経ってる二月の終わり」
「じゅぅはち
…
」
「十年前に一回、起きたときのこと覚えてっか?」
「
……
う
…
ん」
「次に目が覚めたときに、まだ俺の横で寝てたら、お付き合いしてくれんだろ?」
「いいの?
…
また寝ちゃうかも
……
」
「また冬眠したら、じいさんに転化させてもらうわ」
「それはだめ」
「だめなんかよ」
「だめだよ」
ふわりと緩んで消えそうで。
現実なのか夢なのか、曖昧さに手を伸ばして抱き寄せた。
「顔でも洗ってこいよ」
「
……
ずっと寝てたから
…
立てない」
滲んだ声に震える声が甘えて、しゃーねーなと抱き上げた。
「ジョンもすぐに帰ってくるってさ」
コックを捻る音に背中を離せば、背もたれ代わりにしていた扉がからりと開いた。
「どこに行ってるんだ?」
「スーパーとコンビニのハシゴ」
バスタオルを渡してにたっと笑ったら、ふわふわ越しにむすっと睨まれた。
見慣れた格好になったドラルクをソファに座らせ、腰まで伸びた髪に櫛を通したら「上手いね」と褒められた。
ぐっすりと寝ている間、俺が髪の手入れをしていたと言ったら、お前はどんな顔するんだろうな。
「あん時お前に言われた通り、使わない食材は全部マスターに渡したから買い出し行かねぇとな」
使い古したエコバッグと、ぼろぼろの財布を見せたら。
「いつものお醤油あるといいな」
にこりと笑って、ちょっとだけ二人で泣いた。
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