ユウ:ヨーロッパイチイ:イチイ科
タイトル、Yew、ユウはヨーロッパイチイの別名。ヨーロッパイチイそのものはTaxus baccata.
イチイ科の常用針葉樹で、作中にもあるように赤い実をつけ、熟したものはジャムなどにもできるようですが、種子には猛毒を含み、毒矢に使用されることもあったそうです。
木の中では長寿ということもあり、様々に神秘的な伝承が語り継がれています。
参考にした文献には、「生と死のはざまの木」として紹介されていました。
作中では人間界と妖精界のはざまにある木として描きましたが、これはケルトに伝わる「永遠の門前に立っており、現世の時間の外にある」という言い伝えを参考にしています。
妖精界を何度も行き来していた玲ちゃんはアキと踊らなかったとしても完全な人間として生を終えたかはわからないなぁと思っています。
(あとで書いていますが玲ちゃんの師匠の教えに従うのであれば玲ちゃんは人間としては一生を終えなかったと思う)
ソープワート:サボンソウ:ナデシコ科
植物に含まれる「サボニン」という成分が水に反応して、天然の石鹸として古くから利用されてきました。
根や葉をぐつぐつと煮込むことでせっけん液ができるそうです。
殺菌効果もあり、現在も古くからの繊維はソープワートを使って洗うこともあるとか。
妖精の洋服が汚れるのかどうかわからないですがやんちゃなナツキや、動物に縁のあるイサギの服を洗うこともあるのかしらと思うとアキにもきっと欠かせない植物なのでしょう。
コーンサラダ:ノヂシャ:オミナエシ科
作中ではドイツ名でありながらおそらく一番有名な「ラプンツェル」として書きました。グリム童話で有名ですが、原話はイタリアのペンタメローネ。これをグリム兄弟が改変し出来たのが「ラプンツェル」です。
種をまいて10日ほどで収穫ができ、ビタミンが豊富。肉食が中心の中世ヨーロッパでは重宝されたそうです。
マジョラム:マヨラナ:シソ科
肉料理やスープ、サラダに幅広く使用されるハーブです。
鎮痛、鎮痙作用があるので肩こり、頭痛の緩和にも良いとされていることから湿布薬としても登場してもらいました。(ただし湿布薬としてはおそらくメジャーではない)
香りがよく、古代ギリシャ、ローマではビーナスが作り出した植物と言われているそうです。
ボリジ:ルリチシャ:ムラサキ科
見た目もかわいらしい星型の一年草です。悩みを忘れ気分を明るくし、勇気を与えてくれる薬草と考えられていました。
花はエディブルフラワーとしてサラダに散らしたり、砂糖漬けにしたり使われます。葉と合わせてカリウムを豊富に含むため解熱効果があると作中では書きましたが、ムラサキ科の植物(葉)には微量の毒(ピロリジジンアルカロイド)を含有しているので、現在は葉を常用することはないと思います。
ブルーム:エニシダ:マメ科
ブルームが茂る場所は魔女の住処、魔女の箒はブルームの枝で作る。そんなことも言われている植物。Broomは箒を指し、魔女のものでなくとも昔から箒を作る材料だったそうです。
この植物を腕いっぱいに育てておきなさいと教えた師匠には、いつか玲ちゃんが人々から存在を怪しまれたときに箒として空を飛んでその場所から離れられる材料として持っておけるようにという思いがあります。ただし玲ちゃんは妖精になりきっと自力で空を飛べるようになったのでブルームを使うことはもうないのでしょう。
木にはスパルテインという成分を含んでいて、これはアルカロイドの一種。麻酔効果があり、人体や動物にも有害です。
夏になると豆がポンッという音とともにはじけるそう。
余談ですがイランに伝わる昔話に「マメ子と魔物」というお話があり、昔から好きだったのですがブルームのポンっという音とマメ子の誕生シーンがマッチしている気がしました。しかしイランに一般的にある植物ではないのできっと違う豆なのでしょう。
ヴァーベイン:クマツヅラ:クマツヅラ科
槙玲でも書いたことのある植物。参考にした書物では様々な言い伝えや伝承が書かれていて魅力的だなぁと思って今回も書きました。
玲ちゃんの師匠は魔女の力を持つ、おそらくあの人だと思います。
魔女の暦は10月が大晦日と、日本的な暦とは少しずれています。
8月1日をルナサといい、これは太陽神ルーフから所以しています。アイルランドでは現在もこの前後にフェスティバルが多く行われるそうです。
ルナサの日から一か月をルグスの季節と呼ぶそうで、玲ちゃんは師匠から教わったさまざまなことを吸収し、本人も知らぬ間に魔女への道を歩んでいたのかもしれません。
ブルームを育てるように教えられたことに眉を顰めるアキはそのことに気付きます。
魔女も長生きですが人間界で生きるには少々厄介。それなら妖精界に連れて行った方が安全だと判断したのかもしれませんね。
ちなみに槙玲で書いた「手に傷をつけてヴァーベインの葉をその傷口に詰めれば、どんな頑丈な錠でも手に触れるだけでやすやすを開けることができる」というのはハンガリーの迷信。
イベントでは正直玲ちゃんは薬師ではあるものの、薬草採取は猟師の人に任せているし、どこまで知識が豊富なのかなという場面もありましたが、そこは振り切って魔女の弟子(本人は気づいていない)にすることにしました。
星の谷イベと違い家族がいる描写もなかったので(多分)この町には家族はおらずの設定。
どういう経緯で師匠と知り合ったのか、この町が生まれなのかなどはあいまいにしてあります。
妖精の部分だけ拝借してかなり好き勝手書きましたが楽しかったからよいね!
ヘーゼルの木の伝承とかもすごく面白いので書きたいなぁと思いましたがうまく生かしきれないというか壮大になりすぎたので書けなかった。
この話だと竜が出てくるよ。
こんなところまでお読みいただきありがとうございました!
参考文献は、山と渓谷社出版、飯島都陽子さんの「魔女の12ヵ月」「魔女のシークレット・ガーデン」です。
https://www.yamakei.co.jp/products/2816810120.html
https://www.yamakei.co.jp/products/2818810140.html
読み物としてとっても面白いので機会がありましたら是非。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.