紫輝
2024-10-19 23:42:27
3277文字
Public リオヌヴィ
 

【(リオ)ヌヴィとシロネンと空とフリーナ】固有天賦『口下手特効』【原神】

姐御に「ヌヴィりん」「ヌヴィりんの彼ピ」って呼ばれるリオヌヴィに思いを馳せていたら手が滑りました。だって見たかったんだ
一通りテキストは確認したけどキャラ掴めてなかったら私の力不足ですすみません

「あっヌヴィりんじゃん! 久しぶり、元気してた?」
「ごきげんよう、シロネン殿。私は変わりない。君も息災そうで何よりだ」
 ナタの太陽の如く笑うシロネンに、ヌヴィレットがその目元を僅かに緩ませる。
「最近はいい感じの日が続いてるからね。休憩も捗るんだ。彼ピとは相変わらず?」
「かれぴ?」
「公爵だよ、公爵! えっ待ってもしかして他にも彼ピいるカンジ?」
 ゆらりと尾を揺らした彼女の、ふふんと鼻を鳴らしながらの問いかけに首を傾げることで答えたヌヴィレットに、シロネンはその特徴的な瞳を見開いて心持ち声を潜めた。その瞳を見つめ返しながら何やら思案していたヌヴィレットが、やがて気づいたように傾げていた首を横に振る。
「君の言う『かれぴ』が『彼氏』という単語の派生であるならば否定しよう」
「よかった〜。いるって言われたら今度公爵と会った時どういうテンションで行こうかめちゃくちゃ悩んじゃうじゃん?」
 そうして紡がれた否定をシロネンは両手を腰に当てて華やかに笑い飛ばしつつ、安心した~、なんてため息すらついてみせるので。
私にとってその席はリオセスリ殿だけのものだ」
 ヌヴィレットが心外だとばかりに眉を寄せ、寄ったそれが僅かに下がる。
「ごめんごめん。そーだよね、ヌヴィりん公爵のことダイスキだもんね」
 まるでどうしてそんなことを言うのかと言わんばかりのその様に寄越された謝罪はからりとしていた。あっけらかんとしたそれに鼓舞されるかのように心なしか陰った空は鮮やかな色を取り戻し、気を取り直したらしいヌヴィレットが改めてその口を開く。
先の質問の答えだが、相変わらずだ。ああ、先日、共に街を歩いた。民たちへの影響もあるゆえごく短い時間ではあったが」
「へぇ、それってデートじゃん? よかったね。あ、もしかしてそれ、そん時のプレゼントとかだったりする?」
 ぽそりと大真面目に告げられた世間話への返答に微笑んだシロネンが指さしたものに、階調の瞳がぱちりと瞬いて丸くなった。
よく気づいたな」
「まあ職業柄? 装飾品とかつい気になっちゃうんだよね。ヌヴィりんいつもぴしっとしてるし余計に? あ、それが悪いってワケじゃなくて。雰囲気変わっていい感じじゃん、って言いたかったの。旅人の手伝いはプライベートみたいなものだし、お洒落するには最高の機会だよね。ちょっと見してもらってもいーい?」
「構わない」
 尾を揺らし小首を傾げるシロネンにうなずいたヌヴィレットが前身へと髪を流す。その銀糸を飾っていたのは普段のリボンではなかった。ありがと、と笑ったシロネンが身を屈める。
へー、繊細これがフォンテーヌ式のアクセサリーなんだいい色。ヌヴィりんは髪綺麗だし、ビジンだから赤も似合うよねー。さすが彼ピはよくわかってる」
 真鍮に紅玉かな? うわ、透かし彫りじゃんヤバ。これホントにフツーの店売り品? オーダーメイドレベルだけど
 難しい顔で呟いていたシロネンにうんうんとうなずかれたヌヴィレットが、そわりと目を伏せ髪をゆるく握る。
「そう、だろうか。浮いていたりは、」
「しないしない。超可愛い」
そうか」
 大輪を咲かせたシロネンの、こんなにハマる持ち主の所に来られてこのコも嬉しいと思うよ、なる職人としての評を耳にした白皙が淡く染まるのを微笑ましいものを見る目で見た彼女は、再び髪飾りへとその注意を向けて。
「モノはああ、括ったところに引っ掛けるだけか。スゴい、手軽。使いやすそう。暴れても落っこちたりしないの?」
「暴れる、の度合いによると思う。普段使いする分には問題なかろうと思うが」
 感嘆のため息と共に傾ぐ首に、ふた呼吸ほど悩んだヌヴィレットが返じる。
「じゃあ今日実地で確認できるってことだね。ラッキー。あ、万が一壊れちゃったらアタシが直したげるから。安心して暴れて」
「上手く「暴れ」られるかどうか自信はないが君の役に立つデータを提供できるよう努めよう」
 だいじょーぶ、キレーに直してあげるから! まあ万が一が起きないのが一番なんだけど。
 ふむふむと呟きひょいと立ち上がって伸びをひとつ。きゃらきゃらと笑うシロネンに、ヌヴィレットは髪飾りを撫でてうなずいた。


「信じられないヌヴィレットとあんなに盛り上がれるなんて!」
 一部始終を見ていたフリーナが声を震わせる。あのヌヴィレットが「ヌヴィりん」と呼ばれ、フォンテーヌの栄えある爵位があだ名のように口にされ、水の下の領主が「彼ピ」などと称される間「ぴ」だの「きゅ」だの仔竜のような鳴き声を上げていた彼女は怒濤のように押し寄せる情報とその多さに戸惑っているようだった。まあそれはそうだよねと、少し前の自分を思い出しながら空は肩を竦める。彼らが顔を合わせた回数こそそろそろ片手の指を超えるが、二度目三度目だっただろうか、その頃にはもうあの空気だったのだ。
 ヌヴィレットは分け隔てなく礼儀正しいし、シロネンは誰とでも気さくに接する溌剌とした人だ。噛み合うのは容易だろうと思ったけれど、どうもヌヴィレットの雰囲気が常よりやわらかい。フリーナや自分相手の時とまではいかないけれど、他の皆と――なお「彼ピ」とメリュジーヌ達はもう物差しそのものからして違う。語るまでもないことだけれども――対している時よりずっと。
「すごいよね、シロネン。俺もびっくり。けどヌヴィレットに話聞いてみてすごく納得しちゃった」
 ちょっと目を離しているうちに仲良しになっていました、なんて娯楽小説の世界だと思っていたから、その光景を前にして三度見くらいした記憶がある。あまりにも意外すぎて、直接彼に聞いたのだ。随分仲良くなったねと。
「あいつなんて?」
「ヌヴィレットの話を「そのまま」聞いてくれて、言葉が足りないところも不思議と察してくれて、言葉は明快ながら温かみがあって、向かい合っている時に穏やかな雰囲気が伝わってくるから、変に構えることなく安心して話せるんだって」
 彼女は良い人だなと微笑みながら返された答えをそのままフリーナへ伝えると、眉を寄せ、首を傾げ、小さく唸った彼女は叫ぶ。
ほぼ公爵じゃないか!」
「フリーナもそう思う? 公爵は誰にでもそうってわけじゃないけど、少なくともヌヴィレットに対してはそんな感じだよね」
 初対面のシロネンに「あああんたがヌヴィりんの彼ピ!」と手を叩かれたリオセスリは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。あの顔の横で彼氏できる人間ほんとにいたんだ、だとかヌヴィりんが自慢するのわかるイケメン、だとかオソロのアクセとか作ったげよっか、などと畳みかけられていた彼は、せっかく再起動に成功したのに「あのひとは何を話したんだ?」と呟いて第二波を真正面から受ける羽目になっていた。あまりにもらしくなくて珍しかったが、「自分のことを一生懸命語る恋びとからめちゃくちゃ「好き」が伝わってきて微笑ましかった」を他人から朗らかに聞かされるのは相当堪えただろうなと思う。事実リオセスリは頭を抱えていた。
「それは確かに。なるほどそんな人相手ならあのヌヴィレットでも盛り上がるかぁ
「だからね、フリーナも絶対仲良くなれると思うよ」
 人付き合いの不得手さをよくよく知っていたはずの旧知の水龍にまさかの置いてけぼりを食らって戸惑い、ぴたりと自分に張り付いていたフリーナに笑ってみせる。ヌヴィレットと同じくらい繊細でまっすぐで、だから少しだけ人と話すのが苦手な彼女も、シロネンとなら彼女らしく楽しく会話ができるだろう。何せ実証がすでにあるので。
「ぼっ、僕は別に公爵に懐いてなんてないけど?!」
「旅人ー! フリっちー! そろそろ出かけない?」
 自覚あったんだ。思わず口に出しかけた言葉は、形になる前に陽が沈んじゃうよとこちらを急かすシロネンの声が被さって消えた。

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オチがフリちゃまなのは私の趣味です リ殿よ皆の人気者であれ