紫輝
2024-06-01 16:56:48
2521文字
Public リオヌヴィ
 

【リオヌヴィ+空】無自覚コンフェシオン【原神】

お茶会してたら何の前触れもなく突然ヌ様の大好き(※セスリ殿が)をぶつけられる空くんの話です。空くんヌ様にとって初めてのお友達だと思うので多分きっとこういう事もあるかもしれないという夢を形にしました。

 ヌヴィレットという人、というか龍が、実は案外ふわふわしている、ということに気付いたのはつい最近だ。お友達が出来て良かったです、と、セドナには言われているので、もしかするとこの『ふわふわ』した状態が、この人の素に近いのかもしれないなぁ、なんて思ってみたりする。
 ヌヴィレット本人にも「友人ができた」自覚があるらしく、最近は「友人とはこういうような事をする間柄だと聞いたが相違ないだろうか」と確認してきてはできる範囲で自分との交流を楽しんでくれているようで、応じる自分も楽しくなってきているところだ。
 彼の「人間を理解する」活動の一助になれて嬉しい、などとどこかの公爵のような事を考えつつ本日の活動「友人と近況を語り合う」を実践していた、のだ、けれども。
「最近はどうしたらリオセスリ殿とより長く同じ時間を過ごせるか考えている」
 自分の話を聞き終えた彼から、では私の話を、と軽い調子で突如落とされた爆弾に空は盛大にむせ返った。背後でばさりと何かが散る音がしたがそちらを確認する余裕はちょっとない。「友人との語らい」にご機嫌麗しい様子のヌヴィレットは生き生きと語る。 
「リオセスリ殿の傍は温かな水中にいるようでとても心地よい。叶うならば今少し同じ空間を共有する機会と時間を増やしたいと考えていると同時に、リオセスリ殿と交流のある多くの人々もそう考えているのかと思うと胸の内が何やら名状しがたい感覚に襲われるのだ。これはあまり好ましい感覚ではないな。折角の機会だ、君に問いたいのだが、君にとってもリオセスリ殿とはそういう存在だろうか」
 水を故郷としそれを司る人からの最大限の賛辞がさらっと飛んできたことに驚いて、小さく寄った眉に思わず空模様に目をやり、トドメに小首を傾げられて深く息を吸う。なにやら物凄い話を聞かされている、というか、この席で饗される話題としてこれは正しいのだろうか。これは近況報告と言うよりも。
「えーーーーとなんて言えばいいのかな、すごく頼りになるなあとは思ってるよ。前衛も後衛もバッチリ務めてくれるから、味方でいてくれると安心感あるよね」
「同感だ。リオセスリ殿はとても頼りになる。メロピデ要塞の管理者が彼でなければ、私はの地の事に関してもっと時間を割かねばならなかっただろう」
 ともかくもヌヴィレットの疑問には答えねばなるまいと言葉を選ぶ。滅多なことは言えない。色々な意味で。考え考え口にした言葉にヌヴィレットは表情を輝かせて頷く。ついでに追加の賛辞も飛んできて、思わずのけぞりそうになるのを傾けたカップの影でやり過ごした。なんというか、とても、すごく、眩しい。なにがしかのオーラが見えるようだ。桃色の。
 これは間違いなく自分ではなくナヴィアや、もしかしたらクロリンデやフリーナも好むタイプの話題だ。どうも本人に全く自覚がなさそうなところが逆にすごい。カチャリと、背後から聞こえた陶器のぶつかる音にはっとして、そういえばと首を傾げる。
「えっとちなみに俺に対しても胸がもやもやしたりする?」
「いや。君たちが随分と気安いやり取りをしているのを些か羨ましく思うときもあるが、今のところは」
「そっっっっっっかーーーーー」
 よかった。どうやら龍王様の逆鱗には触れていないらしい。らしいが、これからは積極的にヌヴィレットを巻き込んでいった方がいいかもしれない。わかりやすくしゅんとされると胸がちくちく痛むので。
「旅人くん」
 不意に傍らからかかった声に首を巡らせると、ソファの横にしゃがみこんだ男が一人。男は長身だが、こうして屈まれると目線が揃う。
「何?」
「これは行っていいところだと思うか?」
「行くべきところだと思う」
 (恐らく)ぶちまけた茶葉の片付けを終え、二杯目を淹れるのを諦めたらしい男に問われ、空は強く頷く。男が「あのひとに向けられている好きの種類がわからない」と常々口にしている目の前の人に、無自覚に、熱烈な、いじらしい恋心を語られた、メロピデ要塞の管理者たる、『リオセスリ殿』に向かって。
 二人の思考は一致している。ひとつ、「なんで今言った?」。ふたつ、「感情理解初級の人外サマこわい」。そもそもヌヴィレット曰く『近況報告』を、公爵本人に言わなかったのが何故なのかが本気でわからなくて、けれど真剣に考えても答えなど出ないのだろう。であればその思考に思いを巡らせる時間を、彼を口説くために使う方がよっぽど有意義だ。公爵はそう考えているだろうし、空だって同感だった。早くくっついて幸せになって欲しい。
「健闘を祈ってる」
「掴み取ってみせよう」
 こつん、と拳を突き合わせて笑み交わす。何やら楽しそうだな、と察するまでもなく拗ねたように呟く声はまるで子どものようで、らしくなくて可愛い、なんて思ってしまったことは胸の内にしまって立ち上がった。
「ご馳走様。次の約束があるから俺行くね」
「そうか。名残惜しいが有意義な時間だった。見送りを、」
「気持ちだけ受け取っとく。公爵が話したいことあるみたいだし、聞いてあげてよ」
 倣って立ち上がろうとするヌヴィレットに首を振って、自分にできるささやかな援護。む、と呟いて公爵を見る瞳ときたらそれはもうキラキラと輝いていて、彼に尾があったなら激しく振れていたのだろうなと想像がついてしまう。話ができるだけで嬉しい、なんて、あまりにも健気が過ぎないだろうか。頑張れ公爵、色んな意味で。心中で再度エールを送って、じゃあまた、とそれぞれと挨拶を交わす。ヌヴィレットさん、と呼びかける天鵞絨の声音を最後にぴたりと閉じた扉がきちんと閉まっているかを念のため確認して、空はその場を後にした。セドナに大事な話をしてるみたいとしっかり言付けて。

 パレ・メルモニアを出てすぐ、空を横切る虹に気づいた。さすが公爵、有言実行の男だと目を細めてヴァザーリ回廊へ向かう。友人達の新たな門出だ。晶螺マドレーヌでお祝いするのもいいだろう。

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Q.ところでセスリ殿なんでいるの?
A.弊ワットの三人は秘境攻略のお手伝い後いつもお茶会してるからです