紫輝
2024-01-08 10:40:30
1711文字
Public リオヌヴィ
 

【リオヌヴィ】幸せ家族計画(原案)【原神】

燦光ちゃんに懐かれる二人の話です。お迎え記念に。気に入ったひと達に可愛がられたくて変化する仙霊ちゃんは可愛いし未来の我が仔の事考えてふわふわになるヌ様も可愛い。次代周りの諸々はふんわり捏造ですが仔の片親がお互いと確信している二人が好きです

 朝焼けを映した海のような、燦とした光を纏った球体がリオセスリの周りをふよふよと飛んでいる。外の世界は興味を惹かれるものばかりなのだろう、兎の耳のようにも見える器官をぴくぴくと動かしながら、八の字に飛んでみたり、彼の周りを旋回してみたり。その頭の上に着地してはぽこぽこと気泡めいた音を出しているのは球体なりの、何らかの意思表示なのかもしれなかった。
 リオセスリはと言えば、先からその球体の様を目を細めて見守っている。口角が上がっているから不快ではないのだろう。時折その指先であやしてやっているのを見るにむしろ機嫌良く見える。ほんの少しだけ、面白くなかった。
 手を伸ばす。
 ちゃぷん、と水に似た音を立てる球体を受け止めた手のひらの向こうで、頬ずりせんと顔を狙われていたリオセスリが少しばかり驚いた顔をするのにそっと溜め息をついた。
「君は本当に水の気に好かれるな」
 メリュジーヌ達や、ラッコやプクプク獣に加えて今度は仙霊に気に入られたらしい恋人は、一瞬黙して喉奥で笑う。
「あんたも含め?」
ああ」
 揶揄 やゆめいた問いには素直に頷いておく。人並みの羞恥とやらを知ってはしまったが今更取り繕うのは無意味だし、水の気を持つ生物の中で最も彼を好いているだろう存在が己である自覚も自負もあるので。
「水に近いところで生活してるから何か感じるものがあるのかもな。まあこいつはあんたの気配に惹かれてる気がするが」
「私の?」
「普段から持ってる神の目が氷元素なの忘れるぐらい水の気配がするって散々言われるからな。こいつらみたいな仙霊? なんかだと余計になんじゃないか?」
 満足そうに笑みを深めたリオセスリにほら、と示された通り、小さな仙霊は自身とリオセスリを隔てるヌヴィレットの手にすりすりと懐いている。
「八方美人なのか、君は」
 可愛いような、自慢の恋人を軽視されたような複雑な気持ちになってむうと唸ると、こぽぽ、と泡のような音を発した仙霊がくるりと宙返り、パチンと弾ける。泡の向こう側にいたものに、二人は目を見開いた。
……へえ」
 リオセスリが楽しげに笑い伸ばした指にくるりと巻き付く細長い体躯。元の姿では兎の耳のように突き出していた感覚器官と思しきものは今はまるで角のようにその体に収まっている。龍――と言うよりは蛇に近いが、恐らくそれを模したのだろう仙霊の変化へんげに、彼は肩を揺らす。
「ヌヴィレットさんに叱られないように似た姿になろうとしたのか? 賢いな」
「そう判ずるのは早計では?」
 己の本性を見抜いているあたりはさすがだと思いはするが、龍、いや、蛇体になったところでヌヴィレットの関心が高まるかと問われるとそれは否だ。こちらを伺うようにリオセスリの指の間から見上げてくる(ように見える)姿は可愛く見えなくもないけれども。
「こいつの努力は認めてやってもいいんじゃないか? なあ?」
……君は良い父親になるだろうな」
 よしよしとばかりに仔蛇の頭(と思われる部分)を撫でているリオセスリを見ていてころりと落ちた言葉に、丸くなったフロスティブルーがこちらへ向けられて。
 仙霊を構っていた指が頬に触れる。
「生んでくれるのかい?」
 背筋を撫でるとろけるような声とやわらかくほどけた瞳にどうしようもなく顔が熱くなって思わず俯いた。
 やってやれないことではなく、なんとなれば龍王たる己はひとりでも次代を産むことはできるけれど。
君が望んでくれるなら」
 恋した人とそれを成せるならその方がいい。絶対に。
 ヌヴィレットの答えに嬉しげに笑ったリオセスリの指が、頬を滑って髪を撫で、ゆるりと彼へと引き寄せられる。
「じゃあ人生計画に入れておこう。今はもう少し二人でいたいかな」
 甘やかな声が囁いて、額に口付けが落ちた。
 蛇体の仙霊を懐かせたまま顔を合わせたフリーナに「いつの間に産んだんだい?!」とぱちくり瞬かれるのに「まだ産んでいない」と答え、「まだ、ってことは予定があるのね?」とナヴィアに追い討たれて口籠るヌヴィレットに爆笑するリオセスリが目撃されるのは数日後のことだ。