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紫輝
2023-12-09 10:07:56
2068文字
Public
リオヌヴィ
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【リオヌヴィ+ガイア】この人らほんと見てて飽きないな【原神】
ニキによる洋画的言い回し講座です(大嘘)
ヌヴィ様、初めて聞いたこと全部セスリ殿に報告して正確性担保してたらあまりにも可愛いがすぎるなってときめきにセスリ殿悪く言われる(誤解)とおこになるヌヴィ様が好きですという気持ちをそっと添えました
「
…
ガイア殿」
わかりやすく萎れる様に口の端で笑う。この人間離れした美人は、故郷を同じくする正反対の色合いを纏った偉丈夫と自身をニコイチと認識しているところがあった。「水と氷の力が必要で」「自分に声がかかった」、ただそれだけで相方を偉丈夫と信じて疑わないのだ。現在は歩み寄りの方向へ舵を切ったようだが、彼は意図的に人と関わることを避けていたと聞いている。それをここまで懐かせた偉丈夫の手腕には驚くことしきりだ。いつぞやの酒席で「可愛いだろ?」と大変に自慢げな顔で話してくれた黒い面影にハイハイと相槌を打って、ガイアはひらりと手を挙げた。
「あんたの公爵じゃなくてすまないが、今日はよろしく頼むよ。ヌヴィレット殿」
自分は勿論、編成の決定権を持つ少年も
彼
か
の美人にこんな顔をさせたいわけではないのだが、感電と超電導反応を軸に立ち回ろうとしている今回はどうしても剣の力が必要になる。ああ見えて偉丈夫のナックルは元素力でその火力を叩き出しているのだ。
「リオセスリ殿のことか? 彼は私の所有物ではない」
「失礼。言葉のあやだ」
微かに寄った眉に早々に謝罪を述べる。美人は怒らせるなとは古今東西の常識だが、彼の美人の場合怖かったでは済まなくなる可能性が大いにある。軽口で命を縮めたくなければ行儀良くしていた方がいいとは件の偉丈夫の助言だが、真実『軽口』が寿命に影響しそうなのが偉丈夫に関する話題ばかりとなれば口も滑ろうと言うものだ。
「貴殿は「言葉のあや」で彼を貶めると?」
「おっと、この言い方もだめか。ではそうだな
…
「大衆的表現」ってやつだと思ってくれ」
湿度を増して重くなった空気が肌にまとわりついてくる。真面目な人だなぁ、と吹き出しそうになるのを堪えながら重ねた言葉に美人は首を傾げた。どうやら興味を引くことに成功したらしい。
「ヌヴィレット殿におかれては演劇なども鑑賞されるかと思うが」
「そう頻繁にとはいかないが」
「そこで意中の人を『俺の子猫ちゃん』とか『私の小鳥』とか呼ぶのを聞いたことは?」
ぱちり、と、ガーネットを溶かし込んだアメジストがまたたく。思い当たる台詞があるらしかった。
「それと一緒さ。品の良い台詞に言い換えるなら「ヌヴィレット殿の大切なあの方」って感じかな。古典演劇ならありそうな言い回しではあるか? 軽妙さには欠けるが」
肩を竦めて説明を終える。俺が彼を貶めたわけではない事をご理解いただければ幸いだ、と続ければ、美人はふむと頷いた。
「どうやら私の認識に誤りがあったようだ。新たな知見を与えてくれた事に感謝する、ガイア殿」
一つの物事を表するに多様な言い回しがあるのは興味深いな、と彼が大真面目に呟いたのを合図にするように平静さを取り戻す大気に笑みを深める。本当に愉快な人だ。
「私の公爵」
「なんて???」
ぽそりと落ちた言葉に危うく盛大に咽せ返りそうになる。残っていた紅茶が少なくてよかった。
今度はどこから何を耳に入れてきたのだろうか。この人と来たら旅人に助力するようになって急激に世界が広がったせいか本国では触れる機会もなかったであろう世俗的なあれそれを知識として仕入れてくることが増えた。妙な事を吹き込まれているわけではない事に『友人』達の心配りを感じるが、一部面白がって所謂カップル向け雑誌の記事めいた事を耳に入れる友人もいなくはない。ちなみにこの間は「膝枕には疲労回復の効果があると聞いた。試してくれないだろうか」だった。自分を見下ろすヌヴィレットが「私の疲労の方が回復している気がする」と不思議そうにしているのでどうにかなるかと思った(なお自分の疲労もちゃんと吹き飛んだ)。
ヌヴィレットが真剣に耳を傾けるのが微笑ましい、と言う理由のほかにそれを持ち帰られた自分の反応も面白がられていることはとっくに分かっているのだが、「こう聞いたのだが君はどう思う」と、雛鳥
…
いや幼龍? の如く逐一報告してくるこの人があまりにも可愛すぎるので目を瞑っている。今のところは。
「今日ガイア殿に言われたのだ。「あんたの公爵じゃなくてすまない」と」
そうして『報告』されたのは西風騎士団の騎兵隊長とのやり取りで、知識の種類と出所がイコールで繋がる。彼の人となりと会話の内容で今回は不慮の事故に近いなと判断した。彼の得意とする軽妙な言い回しは、ヌヴィレットのようなまっすぐな気質の持ち主には時として伝わりづらい。ましてそこを掘り下げられるとも思っていなかったのだろう。
…
まあ彼の場合、そこまで織り込み済みで最初の一言を発した可能性も捨てきれないのだけれども。
私の公爵、と再度こちらの心臓には良くない言葉を呟いて、ヌヴィレットは心の動きを感じ取ろうとするかのように胸に手を当てる。
「この感覚を言葉にするのは難しいが、悪くない気分だ。不思議だな」
「
…
そりゃあ良かった」
そうして上機嫌にふふと笑む麗しい人に、あんまり常用する言い回しじゃないからなとせめてもの釘を刺した。
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