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紫輝
2023-11-25 08:31:52
1914文字
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リオヌヴィ
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【リオヌヴィと鍾離(ヌ様不在)】「あの子はだいぶ君を好いているぞ。俺には心底知られたくないだろうが」【原神】
まあダダ漏れなんだけどな(帝君スマイル)
間一髪の所を玉璋シールドに救われるセスリ殿の話です。龍種に対する夢と浪漫と妄想を詰め込みました。龍種の大先輩として鍾離先生には積極的に二人に絡んで欲しい所存です。このあと「俺結構愛されてるんかね」って呟いて空くん辺りに「知らなかったの?!嘘でしょ?!」って言われて欲しい(まあ俺が勝手に好きなだけだしって人が相方に死ぬほど愛されてる展開大好物真君)
ヤバい、と思った。
迫り来る巨大な異形の、巨木にも匹敵する腕。その腕に支えられた岩のような拳と、それが纏う禍々しい
雷
いかずち
。当たれば死ぬな、と、経験が判断を下す。このままでは避けられないだろうな、とも。
執務室に積んである書類の事だとか、もうすぐトップシーズンに入る茶葉の事だとかが瞬間脳内を巡って。
蒼銀の面影がそれらの向こうで微笑んだ。
あの美しい人は、少しくらい心動かされてくれるだろうか。そうか、とか、一言で終わったら悲しいな。なんて馬鹿な事を考える。人間死に際なんてそんなものなのかもしれない。
「堅如盤石」
雷が頬を撫でた、と感じた瞬間、目の前に煌めく壁が出現した。顔の横を凄まじい勢いで風が流れ、目の前で雷が炸裂する。思わず目を眇めて、
…
それだけ、だった。
壁の向こうで異形が
蹌踉
よろ
めき、仰向けに倒れながら消えていく。その額には雄黄色の槍が刺さっていた。
「リオセスリ殿、大事ないか。
…
うん、間に合ったようだ。よかった」
「
…
鍾離さん」
とん、と石突きを鳴らして得物を霧散させた鍾離が安堵を滲ませる。周囲を覆う、岩元素の紋様が浮かんでは消える壁はこの人の
業
わざ
らしいとそこでやっと悟って。
「ありがとう、助かった。当たったら死んでたな、あれは」
はは、と、漏れた笑みは力無い。生き物として、やはり死ぬのは怖いのだ。知らぬ間に未練もできてしまっていた事だし。
「守護は俺の得意とするところだ。仲間の命を救えたのなら喜ばしい」
その面を柔らかな笑みで彩って、穏やかな声が言う。泰然自若とは彼のような人のことを指すのだろう。生きてきた年数と、武神としての格を見せつけられた気がする。そもそもの戦闘スタイルが違いすぎるので劣等感などというものを抱く余地がないのが逆に幸いだったかもしれない。
リオセスリを見聞するように眺めた鍾離が小さく息をつき、珍しくもやれやれとばかりに呟く。「これで洪水を免れるな」。
「何の話だい?」
先ほどのヒルチャール、確かに『王』と呼ばれるものではあるが、山を砕くほどの力はないはずだ。この辺りに水脈はないし、あれと洪水のリスクは結びつかない。
首を傾げるリオセスリに、鍾離がすうと瞳を細める。
「龍というのは大切にすると決めたものを一途に守ろうとする種だ。覚えておくといい。それと今日の事はヌヴィレット殿には伏せておきなさい」
「そりゃまあこんな情けない話あえてするつもりもないが
…
理由を聞いても?」
彼の人は確かに懐に入れた存在には情深い人であることを知っている。し、龍種の大先輩とも言える彼の言葉だ。疑う余地もない。そもそも死にかけましたと報告する気もない。ただわざわざ伏せておけと言われる理由だけは疑問が残る。あまり不甲斐ないと愛想を尽かされたりするんだろうか。
「目につく範囲の君を害そうとしたモノを、あの子は薙ぎ払おうとするだろうからな」
「
…
『王』はそんなにホイホイ歩いてるものじゃないと思うんだが」
「
龍
おれたち
の基準は種族単位だ」
「種族単位」
けろり、と。何でもないことのように鍾離は言う。ヌヴィレットさんを『あの子』呼ばわりできる人なんてこの世界でこの人か正義の女神しかいないだろうな、などと考えて現実逃避を図ろうとしたがちょっと無理そうだ。目の前のこの人は今「種族単位」とはっきり言った。『ヒルチャールの王』は名の通りヒルチャールに属する。つまり。理解が及んで我知らず口元がひきつった。
それはちょっとやり過ぎなんじゃないか。思っただけで、口からは出ない。鍾離の瞳が黄金に輝き、金粉に似たオーラがその身を取り巻くのを間近に見てしまったからだった。
「"
玉
ぎょく
"に触れて無事でいられると、思ってもらっては困るだろう?」
岩司る龍の写し身が凄絶に笑む。"玉"とは何か、などと聞ける雰囲気ではない。ただ彼らにとってそれを害されることは腑の煮え繰り返るような、不快かつ不敬に過ぎる行為なのだろうということだけは肌で感じた。
「
…
忠告に心から感謝するよ」
龍を怒らせるとはこういう事だ、と、何事も無かったかのように威圧感を収め、「君は『龍に愛されし者』だ。自信を持つといい」
――
なんて、リオセスリが漠然と抱えるどうにもならない諦念を掬い上げるように先の笑みを泰然としたものに変える鍾離に、二重の意味で肩の力を抜く。
どうもたかが己一人の生死は一種族だとか一地域の命運との天秤に乗ってしまうようなので。
つまらない事で命を落とすことがないように、少しばかり鍛錬の回数を増やそう。そう決めた。
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