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紫輝
2023-10-15 11:27:20
2234文字
Public
リオヌヴィ
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【リオヌヴィ】失言した話【原神】
ちょっと疲れてて失言しちゃうヌ様の話。ふわふわリリカルほも(言い方)魔神任務進められてないので違和感あったらすみません雰囲気で読んで下さいリオヌヴィ可愛いね
「
――
君は、」
疲れていたのだと思う。自分でも気づいていないくらい、『多少』。
「君は私が、君の顔を見て話を聞くだけで嬉しいと思っているとは考えもしないのか?」
だからだ。こんなおかしなことを口にしてしまったのは。
メロピデ要塞を預かるリオセスリは、職務の合間にこうして執務室を訪れる。定期の打ち合わせや書類の受け渡し、「ちょっとした事件」があればその報告だとか。稀にあるお茶会の招待が実は楽しみなのだと最近気づいてしまって顔を覆ったのは記憶に新しい。
さて、話術にも長けるリオセスリがヌヴィレットへ提供する話題のほとんどは彼の元へ派遣しているメリュジーヌ、メロピデ要塞看護師長シグウィンの話である。元気だぞ、に始まり、ずっと面倒を見ていた患者が職務復帰して嬉しそうだった、とか、友人が来て会話に花が咲いていた、とか、不届き者に対処した時の勇姿の話、その他諸々。彼女が健やかなのは喜ぶべきことだ。リオセスリとも上手くやっているようだし、彼女を選んだ甲斐があった。そう思う。思うのだが、少しくらい自身の話をしてくれても良いのではないだろうか
――
などとひどく贅沢なことを、最近考えたりする。他でもないリオセスリの有能な仕事ぶりによって『水の下』の事は最低限把握しているが、それはあくまでもメロピデ要塞の事だ。そこでリオセスリが何を見、何を思ったのかを知りたいと思う。
「何よりではあるんだが、ここ最近は良くも悪くも平和すぎてなぁ
…
シグウィンに関しては元気だって事以外話せることがないんだよな。あんたには申し訳ないが」
どんなことでもいいのだ。『伯爵』ではなく、『リオセスリ』の話を聞いてみたい。滔々とそんな事を考えていたヌヴィレットの耳を打つ、なんとなし困ったような声。それを聞いて気づく。もしかしてこの男は、ヌヴィレットの興味を惹く話題がシグウィンに関するそれだけだと考えているのでは
――
と。
気づいてしまったら、唇からこぼれていた。これを声として発するべきなのか否か、考える間も無く。あ、と思ったときには声はリオセスリへ届いてしまった後で、男はフロスティブルーを丸くして息を呑んだようだった。肩がゆっくりと上下する。深く息を吸う音が聞こえてきそうだ。
「質問に質問で返して悪いが、そういう思考の持ち主を前にしたときあんたはどう思う?」
ひょいと男の首が傾ぐ。
「そうだな
…
自己肯定感の高さは評価できるが、例え職務上必要であってもあまり付き合いを持ちたくないと感じるな」
よくよく考えなくてもある種の高慢が見透かせる態度だ。そういう人物を好む人間もいるのかもしれないが、少なくともヌヴィレットにとってはあまり好ましくない。一考ののちそう答えるとリオセスリは安堵したように頷く。
「よし。この点におけるあんたと俺の感覚が同一だと確認できたところで聞くが、あんたのそれは『確認』か?『疑問』か?」
「
……
」
確認か疑問か、と聞かれれば疑問だ。不思議に思ったことがあって、それに対する確信が欲しかった。特段おかしな行動ではない。ないはずなのだが、改めて問われてはたと気づいた。
――
もしかしなくても、かなり恥ずかしい事を口走った、かもしれない。
じわりと熱を上げる頬が覚えてしまった羞恥心を知らしめてくる。困惑に瞬くところまでをじっと見つめていたリオセスリはすでに答えを得ているのだろうに、ヌヴィレットの答えを待っている。そういうところは意地が悪いのだと最近知った。
こうなったリオセスリは何事かを答えるまでひたすら口を閉ざすのだ。「あんたの口から聞きたい」、そう言って。
「
…………
『疑問』、だ」
体温をどうにかするのは諦めて、湧き上がる羞恥心をねじ伏せて、無言の取り調べに終止符を打つべく口を開く。微かに震えた小さな声は、それでも静けさの満ちる執務室にはよく響いた。フロスティブルーが満足げにほどけて、男の指がヌヴィレットのそれを掬い上げる。
「
…
そうか」
そうして染み入るように笑ったリオセスリの唇が、手袋越しに指先に触れて。
「さっきの質問の答えだが
…
「思ってもみなかった話」だな」
曰く「憎からず想ってくれていることは理解しているがそれはそれとしてこういう世俗的な感覚とあんたが結びつかない」そうだ。それはまあ、そうだろう。ヌヴィレット自身ですら最近自覚した欲なのだから。
「機会を得たので伝えておくが
…
その、私は君の話を聞くのも楽しみにしているのだと思う。ので、差し支えのない範囲で聞かせてくれると、嬉しい」
失言など一言も二言も同じだ。未だ自身でも咀嚼しきれていない捉えどころのない心の機微ではあるが、伝達しておくくらいならそう厄介なことにはなるまい
――
ある種の開き直りでもって、けれどやはり気恥ずかしさを拭いきれず張りを欠いた言葉を聞き届けたリオセスリは、捉えたままのヌヴィレットの手を額に押し付けるようにして深々と溜め息をついた。ほんとそういうところなんだよなあと呟くのが聞こえる。
「期待に添えるかは分からんが、俺の話でいいならいくらでも。あんたの話も聞かせてくれよ?」
何かを噛み締めるように呼吸を繰り返し顔を上げた男が指を絡めるように手を繋ぎ直して穏やかに笑うのに鼓動がひとつ跳ねる。
「
…
聞かせられるような話を、探しておく」
忘れていたはずの頬の熱さを逃がしたくて、ヌヴィレットは絡んだ指先にそっと力を込めた。
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