紫輝
2016-10-02 00:21:47
1176文字
Public しょくんば(刀剣乱舞)
 

【しょくんばお絵描き文字書き一本勝負49回目 お題:花束】

遅刻で参加です。花束作る光忠さんと見守るお爺ちゃん(備前と伊達)二人。

 鼻歌を歌いながら、光忠が山中を行く。その手にはよく手入れされた小刀が握られていた。
「やっぱり色合いは大切だよね。一種類だけでもそれはそれでシンプルさがいいけど、季候もいい感じだしせっかくだから華やかな感じにしたいなぁ」
 口にしながら、その手は山を彩る花々を集めていく。小刀を滑らせながら「もらうね」と、一言声をかけることも忘れないその気遣いはさすが伊達男の名を冠するだけはあった。
 鼻歌を歌いつつもその背にうっすらと漂う気迫に鶴丸は忍び笑う。だっておかしくて仕方がないのだ。いつも余裕を絶やさぬ本丸の初太刀殿が同胞と張り合って――しかも相手は脇差の幼子だ――いるという事実が。
 事の発端は数日前、やってきてまだ日の浅い浦島が国広へと渡した土産物だった。箱は手作り、中身は遠征先で集めた野の花という実に子どもらしい土産を受け取った国広は、それは嬉しそうに(光忠から聞いた話だ)光忠へ事の顛末を語ったらしい。国広の『報告』に、それはよかったねと聞き分けよく微笑んだ光忠は折良く命じられた出陣にちゃっかりと小刀を持ち込み――今に至る。
 出陣先でこれまでにない速さをもって大将の首級をあげた光忠は、わざわざ遠回りをして本丸へ続く『門』へ向かっていた。みんなは先に戻っていていいよと言われはしたが検非違使と遭遇しないとも限らないし、何よりこんな面白い光忠を放っておくなんて出来ようはずもないと、鶴丸はその後について歩いているのである。同じく好奇心を隠そうともせずついてきた鶯丸は、花だけでは面白味が無くないか、などと光忠の「土産」に口を出していた。
「・・・よし。どうかな?」
 そろそろ『門』も見えようかという場所で立ち止まった光忠が振り返り、首を傾げる。その腕に大事そうに抱えられた花々は山中をその咲き場所として選んだものたちの力強さで溢れており、色や形の調和もとれていて美しい。歌仙は喜びそうだがあいつは困るだろうなと困惑するであろう美貌を脳裏に描いて笑い。
「いいと思うぜ。さすが、光忠にはセンスがあるな」
「当然だ、俺も手を貸したんだからな」
「はいはい」
 「土産」に太鼓判を押してやり、何故か得意げな鶯丸をあしらう。よかったと脱力した様子の光忠の向こうから、待機していた仲間達の呼び声が飛んできていた。

「国広。あげる」
 帰還した本丸で、迎えのために出てきていた国広の腕の中にわさりと花束が収まる。やはりというか当然というかひどく困惑した様子で、それでも律儀にありがとう光忠、と告げられた礼にうんと返す声音は隠しようもなく満足げで、年甲斐もないその様に、鳥達はくつくつと笑いあうのだった。


以前書いた浦島君とまんば君の話の後日談をちょっと広げてみました
こんな感じで花束作る光忠さんに着いていってた鳥太刀。爺孫はいい・・・