紫輝
2016-10-01 23:12:36
1231文字
Public 鶴江(刀剣乱舞)
 

【現パロ】眼鏡の日【鶴江】

眼鏡の日と聞いてざかざか書いた、設定がひどくふわっふわな現パロ鶴江です。鶴江の瞳賛美ほんとに楽しい

*現パロです。設定はふわっふわなのでなんかそんな感じなんだなと思っていただければ


 カタカタと淀みなく、キーボードの音がその部屋では響いている。
 タンッ、と最後に一度鳴り響いた音はまるで一つの音楽を奏で終えたかのようだ。
 画面の中を流れる英数字の羅列を見守っていた蜂蜜色の瞳が、パソコンが最後に示した一文を認めて細まる。形良い唇が満足げに弧を描いた。
 ・・・と、パソコンの駆動音に重なるようにもう一つ、音。
 それは障子戸の滑る音だった。滑らかに開いた障子の向こう側に立つ人影を見て、蜂蜜色が融ける。
「江雪」
「お仕事は終わりましたか、鶴丸」
 貴方が根を詰めるから、外はすっかり夕の香りに支配されてしまいました――そう口にして小首を傾げるのは愛しい愛しい恋人で、揺れる白藍の髪の向こう側に見える庭の草木は赤みを帯び、ふわりと吹き抜ける風は成る程この時間特有の澄んだ香りを含んでいた。
 立ち上がり、伸びを一つ。恋人と一緒になって集中しすぎだと文句を言うかの如く、関節達がパキパキと鳴く。
「すまない。だが一段落ついたぞ。今日はこれで終いだ」
「そうですか。お疲れ様です」
 終い、の言葉を聞いた美貌が嬉しげに綻ぶのが愛らしい。周りにもこれくらい素直ならいいのに、いやいやそれではライバルが増えてしまうな今のはなしだ・・・などと考えながら恋人の傍へとたどり着けば、少しばかり浮ついた声音が夕食のメニューを紡いでくれる。心地よいそれに耳を傾けること暫し、唄い終えた恋人が不意に指を伸ばしてきた。
 こつん、とその指先がつついたのは仕事中にだけかける眼鏡のフレームで、首を傾げる間もなく目の前のくちびるから零れる、笑み。
「・・・男前ですね」
 うっとりともとれる声が紡いだその感想は、些か気に入らなかった。彼の前では圧倒的に裸眼でいることの方が多いのに、まるで「眼鏡をかけた自分が」褒められたようで。
 もぎ取るように外した眼鏡を胸ポケットに押し込んで、吐息の触れる距離まで顔を寄せる。
「こっちが本来の俺の顔なんだがな」
 驚いたようにまたたいた紺碧が至近でほどけ、先までフレームに触れていた指が己の目尻を撫でた。
「眼鏡をかけた貴方「も」、男前だと言いたかったのです。それと・・・貴方の瞳の美しさはレンズ越しではわかりにくくて少し勿体無い、とも」
「ならいい。ついでにきみの賞賛する俺の瞳を、この距離で見つめられるのはきみだけの権利だとも知っておいてくれ」
 まるで瞳を覗き込むような視線を受け止めながら、返礼のように白藍に触れる。
「はい。貴方の優しさと私の幸運に感謝します」
「俺だってこの距離できみと見つめ合う特権を与えられているんだ、お互い様さ」
「・・・ふふ」
 くすくすと互いに肩を震わせて、触れ合った吐息を重ねた。



鶴様視力はいいと思うので、ブルーライトカットの眼鏡とかをね、仕事中はかけてたりしたらいいなという妄想でした