紫輝
2016-06-18 23:31:09
1094文字
Public しょくんば(刀剣乱舞)
 

【しょくんばお絵描き文字書き真剣勝負第35回目 お題:雨】

参加させていただきました。お題そのまま、雨に降られた二人のお話です

 青く輝いていた空が不意に灰に染まったのが、ほんの十分前。ぱらり、ぱらりと降ってきた雨粒は、あれよあれよと言う間に本降りに変わった。二人、急いで巨木の下に駆け込んだが、上から下まで見事に濡れ鼠になっていた。
「ああ、参ったね」
 これがひとの言う「夕立」ってやつかと降りしきる雨を見つめながらぽたぽたと水滴を降らす前髪をぐいとかき上げて後ろへ撫でつければ、視界が鮮明になってなんだか新鮮だ。思わずふ、と笑みを漏らすと、隣で息をのむ気配。なにか気にかかる事でもあったかと視線を連れへと向ければ、彼は今は雲の向こうにある空の如く青い瞳を見開いてこちらを凝視していた。
「・・・どうかした? ああ、そうか。こんなびしょ濡れじゃ格好悪いよね」
「あ、いや、違うんだ。そうじゃなくて、逆だ」
「ん?」
 やれやれと自嘲すれば、彼はふるりと首を振って呟くようにそう言った。その頬の色はほんのりと赤い。全力疾走したから、という理由だけではなさそうだ。首を傾げて続きを待つ構えを取ると、彼は逡巡の色を見せ、諦めたように息をつき、雨音に消されそうな声を、空気の中に押し出した。
「あんたがそうやって額を出しているところを、見たことがなかったから。その、なんと言うか、・・・・・・ドキドキする、と言えばいいか?」
「・・・・・・」
 惚けたように、またたいた。不意打ちの賛辞、否、殺し文句が、いとも簡単に拍動を強くする。
「す、すまない。忘れてくれ。妙なことを言った。気を悪くしたなら・・・」
「今のどこに僕が気を悪くする要素があったんだい・・・まったく君は。自覚なしにコロしにかかってくるんだから」
 はああ・・・と、腰に手をやって深々とため息をつけば、疑問符を乱舞させた彼の青が戸惑いに揺れた。今は邪魔なだけの手袋を外し、雫を宿す金の前髪を脇に寄せるように撫でて、普段は隠されている白い額に唇を寄せる。
「・・・な、なんだ、突然」
「うん。こうすると君の瞳がよく見えるし、たまにはずぶ濡れになるのも悪くないかなって」
「・・・またそういうことを・・・」
 呆れたように顔をしかめた彼は、思い直したようにだが、と続けた。
「今回に関しては、そうだな。良いものを見られた。得をした気分だ」
 恋人のふわりとした笑みと満足気な声音は、濡れ鼠特有の不快感をいとも簡単に吹き飛ばした。

「帰る前に前髪下ろしてね。勿体無いから」
「こっちの台詞だ」

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オールバック+光忠さんの可能性とときめきをつめこみました。この後は青空にかかる虹の下を手繋いで帰ります(これ前にも言った気がする)