紫輝
2016-06-15 22:17:38
1577文字
Public しょくんば(刀剣乱舞)
 

【現パロ】ただの小ネタ【しょくんば】

光忠さんのお仕事終わるの待ってたらうっかり寝落ちしてしまった国広君…を見ながら一人幸せ噛みしめるリーマン忠さんのお話です。国広君はネテルダケ

 単調な音、というものには、それだけで人の眠気を誘う力がある。
 それは秒針の音であったり、本のページをを繰る音であったり、学生たちが刻む筆記具の音であったりする。『これ』も、その一つだ。
 カタカタと断続的に響いていた音が途切れる。目の前のディスプレイには形になったデータファイルが表示されており、持ち帰ったノルマの終了を告げていた。
「・・・んー・・・・・・」
 唸りながら両腕を伸ばす。バキバキと関節が悲鳴を上げた。パソコン用の眼鏡を外しながら目をしばたたき、ついでに眉間も揉んでみる。幾分か視界がすっきりしたところで、冷め切ったコーヒーが目に入って苦笑した。ああ、勿体ない。せっかくあの子が淹れてくれたのに。
 そういえば、と振り返る。随分と静かだけれど、あの子はどうしているのだろうか。
「・・・・・・」
 身体を捻った先でローテーブルの上に突っ伏す金色の頭を見る。長い前髪の奥で煌めく碧い瞳は瞼に隠されて今は見ることが出来ない。耳を澄ませば、聞こえるのは穏やかな気息。どうやら眠ってしまっているらしい。教科書やノートに混じって携帯ゲーム機が無造作に置かれているローテーブルを一瞥して、その傍らへとかがみ込む。
 週末になると、彼はこうして光忠の家へとやってきて共に過ごすのが常だった。同年代の少年たちと比べると少々大人びている年下の恋人は、光忠が仕事をしているときは(出来うる限り持ち帰らないようにはしているがどうしようもない状況だってあるのだ)こうして部屋の隅に置いているテーブルで課題をしていたり、本を読んでいたり、ゲームをしていたりする。初めの頃、リビングを自由に使えばいいと言った光忠に、少年はふるりと首を振った。
 テレビは見ないし、静かなのは嫌いじゃない。邪魔にならないようなら、同じ部屋にいたい――ぽそぽそとそんなことを口にする可愛い恋人の(彼自身にその自覚はないのだろうけれど)『お願い』を、はね除けられる男はそういないだろう。いいよ、と精一杯取り繕いながら答えた光忠に向けられた笑み。あれは最高に可愛かった。
 ゲーム機を持ち込むときもそうだった。煩かったら言ってくれ、と告げてから電源を入れられたゲーム機の駆動音や操作音は彼が心配するほど気にはならず、むしろ無意識に彼がこぼす「ああ!」だとか「よし!」だとかの小さな声が、ともすると荒んでくる心を癒してくれた。彼には言っていないしこれからもその気はないが、正直なところ課題よりもゲームをしていてくれた方が、光忠の仕事は捗ったりする。
「・・・・・・ふふ」
 思い出し笑いに口角を引き上げながら触れた金糸はさらさらと指先で遊ぶ。ちらと見上げた時計の長針はパソコンに向かってから一時間ほどだが、昼食を食べたばかりの満たされた胃袋でただひたすらにキーボードの音など聞いていては眠くもなろう。
「待たせ過ぎちゃったかな。ごめんね」
 小さく呟く。実のところ、持ち帰らざるを得なくなった仕事は前日に片付けておくことも出来る。睡眠時間を少しばかり削れば良いだけだ。ただそれをしてしまうと他でもない彼がそれこそ烈火の如く怒るので、彼の心配を有り難く受け取り、気遣いに甘えて、こうして休日の数時間を仕事に充てている。
「おやつは奮発しないとね」
 同じ空間にいられればいい、なんて、控えめにも程がある愛しい少年の痩躯を抱き上げる。冷蔵庫にはフルーツと生クリームがあったはずだ。一五分も経てば目を覚ますだろう彼のために、今日はホットケーキを焼こう。
 リビングに移動しつつ、店のものにもひけを取らないと自負しているホットケーキを前に碧い瞳が輝く瞬間を脳裏に描いてそのこめかみに唇を寄せた。

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私の書く現パロ光忠さんは何でいつもこんなに国広君大好きなんでしょうね