紫輝
2016-05-24 00:24:11
1530文字
Public しょくんば(刀剣乱舞)
 

【現パロ】キスの日の話【しょくんば】

モデル業やってるしょくんばの現パロです。ちょっとオーバーだけどキスの日に便乗

*モデル×モデルパロです
*国広君の方がキャリアが上(キッズモデル組とスカウト組)
*スタジオ周りの知識は ない です 全てイメージです

これだけ踏まえておけば読めます



 今日の仕事は広告用の写真の撮影だ。どうも近いうちに『キスの日』とやらが来るらしく、その日に合わせてお披露目する算段らしい。モノは可愛らしいサイズの石が輝くお洒落なリングで、値段も若い女性に手の出しやすい価格に抑えたとか、なんとか。
 そこでどうして国広と、自分が呼ばれたのかという話になるのだが、今回の広告は彼と対になるようなイメージにしたいらしい。
 二人揃って指名されることにはまだあまり慣れていない。当然だけれどキャリアの差は明確で、心苦しい思いをすることもままある。けれどオーナーには自分が彼の足を引っ張ってしまうのではとか、そういった懸念は全く無いらしい。打診が来るたびに「先方の指定がおぬしで助かった。おぬしが居ると国広の機嫌が良いからなぁ」と、ころりと頬笑みながら是と返すくらいだから。
 今回のリングの商品展開は二種、ホワイトゴールドと、ゴールドだ。それぞれが持てば、まあ確かに様にはなるだろう。彼にはゴールドだって似合うと思うけれど、今回のような控えめなリングでは商品の方が彼の輝きに負けてしまうだろうなと考えていたりする。
 撮影前に広告の完成イメージを見せてもらった。手に持ったリングの、石の部分に口づけるモデルの背後で踊るキャッチコピー。『くちづけたくなる輝き』なんて、中々ベタだと自分は苦笑い、彼はげんなりと肩を落とした――
 のが、十五分ほど前。隣の椅子に腰掛ける国広は今、絶賛メイク中だった。シチュエーションがシチュエーションだから、唇へのメイクは念を入れて行うらしい。そのままでも充分に魅力的な彼の唇に無駄な装いなんていらないと思うのだけれど、そこはそれ。写真写りのためには仕方のない事らしい。ただメイク担当も彼の唇の魅力は理解しているようで、彩るのは撮影を補助する最低限に留めたようだった。
 開始前から早くも辟易したように、国広が溜め息をつく。どこか不機嫌そうな伏し目も、そこを飾る睫毛のせいで計算で作り込まれたかに美しい表情に見えてくるから不思議だ。
「・・・とりあえず、お疲れ様?」
「・・・・・・ん」
 ストローをさしたドリンクを差し出せば、うなずいた国広の指がカップを手にする。一口、二口飲んで、こぼれるのは二度目の溜め息だ。
「グロスは苦手だ・・・」
 早く落としたい、小さなぼやきに苦笑したと同時に、グロスがのってから初めて視界に入った唇に目を奪われた。少々尖った、年相応の拗ね方を見せるきらめく唇。みずみずしく艶やかな、まるで収穫の時を待つ果実のような。
 あと十分もすれば、この唇があの宝石に触れるのだ。そう考えると、あの石が羨ましかった。そして妬ましかった。何の興味も湧かなかったはずなのに、実際に彼との関わりを自覚した途端にこれだ。肩をすくめれば国広がひょいと首を傾げる。きょとりと開かれた碧い瞳。スタジオの照明に、薄桃の唇がきらめいて。
 かたりと、椅子から立ち上がる。
「・・・・・・、光忠、おい、」
「・・・・・・ごめん。つい」
 普段とは違う、ぺたりと重い感覚。微かに朱を昇らせた国広の頬と、輝きにムラの出来てしまった唇。素直に美味しそうだったと白状すれば、国広は呆れたように三度目の溜め息をついた。ばか、と囁く声は撮影中ずっと耳に残って、その日は表情を取り繕うのがいつも以上に難しかった。

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このあとメイク担当の物吉君に「いただきますはお仕事の後にしてくださいね!」って怒られました。