紫輝
2016-04-10 23:11:05
875文字
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ただのルヴァイオ

主従の日と聞いて。デグレア時代ですが殺伐とした雰囲気は微塵も!ありません!

「僕も機械兵士ならよかったのに」
 陣幕の中、ぽつりと呟いたイオスにルヴァイドはその意を探るべくまたたく。
「そうすればルヴァイドさまの盾になれるのに」
 口を開く前に零れた言葉と、イオスが目を落とす書面の内容を見て納得した。今回の戦いでは、大将であるルヴァイドを狙った敵部隊からの奇襲を、ゼルフィルドがその鋼の装甲をもって退けた。今は大事を取ってメンテナンスを受けさせている。彼が見ているのはその報告書だろう。
「いくら機動力があったって、」
 口惜しげに呟くイオスの手の中で、紙がかさりと音を立てる。敵兵の気配にいち早く反応したのは彼だった。その身が自らの前に躍り出たことで奇襲と知れたのだ。
「・・・・・・イオス」
「! はい、ルヴァイドさま」
 その名を呼んで手招くと、青年は素直にこちらへやってきた。ゼルフィルドに異常はないようです、と今は少々見当違いの事を告げてくるアルトにそうかと頷いてやって。
「先の話だが」
「はい・・・?」
「お前に機械兵士になられると困る」
 告げた言葉にラベンダーが見開かれ、視線がうろうろと彷徨った。しまったと言わんばかりに狼狽える様はそれこそルヴァイドの前でしか現れない彼の年相応な部分であり、可愛らしいとくつり肩を揺らせば困り果てたようにイオスは俯いてしまう。少しばかり赤みを増した白い頬にうっすらと走る傷跡が目に留まって、救急キットへ手を伸ばした。
「お前が機械兵士になってしまったら、俺はどこに温もりを求めればいい?」
「は・・・?」
 弾かれたように上がった顔にはありありと驚愕が浮かんでいる。忙しくまたたく瞳がきらきらと輝く様が美しいが、それを口にはしないでおいた。深く考えなくとも、彼から見ておかしな事を口にしている自覚はあったので。
「お前はそのままでいい。今でも充分助けられている」
 向けられる瞳が、かけられる言葉が、差し出される気遣いがどれほど己の支えになっているのか彼は知るよしもないだろう。頬の傷に絆創膏を貼り付けて金髪を撫でれば、イオスは微かな声ではいと口にしてはにかんだ。