薄らと差し込む陽の光は日に日にその鮮やかさを増していた。ほころぶ蕾、優しさを増す風。春はもうすぐそこで、本丸へ訪問する日を今か今かと待っているようだ。
そんな穏やかな、ある朝。本丸のとある一室の障子は、まだ開かれていなかった。
ごそ、と、褥にできた山の一角が蠢く。掛け布の下から覗いたのは雪のごとく白く輝く髪で、んん、と呻いた白銀の持ち主は緩慢な動作で枕元を探る。白銀によく映える琥珀の瞳が引き寄せた時計を見やり、細く、長く、息を吐いた。
「おきたくない・・・・・・」
未だ静かな居室に響くのはなんとも怠惰な一言。馴染みの伊達男が聞いたなら隻眼を鋭くしたことだろうが、今この場に彼はいない。白銀の持ち主の呻きに反応してその隣で身じろいだのは純度の高い氷を思わせる白藍の髪の人影で、ゆるりと開かれた紺碧の瞳は常の険しさをどこかに忘れてきたようにどこか幼く茫洋としている。
「・・・つるまる」
「んー・・・」
あさですか、と呟く恋人の髪を梳きながら認めたくはないが、と瞳を細め応えた鶴丸に、先の己のように細い息で空気を震わせた江雪がむずがるように肩口へ顔を埋めてきた。
「・・・おきたくありません・・・」
そうして紡がれた一言にくつりと肩が揺れる。非番であろうとも惰眠を貪ることを良しとしない江雪がこのような言葉を口にするのは珍しい。
「奇遇だな、俺もだ。・・・いいさ、今日くらい。春眠暁を覚えずと言うしな」
春ってやつはすごいなと心の内で呟きながら、痩躯を抱き直し囁く。どうやらうなずいたらしい江雪の額に唇を寄せて、鶴丸は贅沢な二度寝を決め込むことにした。
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二人でごろごろするちょっと子どもっぽい鶴江もとても・・・可愛い・・・
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