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紫輝
2016-04-09 23:28:58
1719文字
Public
しょくんば(刀剣乱舞)
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【しょくんばお絵描き文字書き真剣勝負25回目 お題:記念日】
参加させていただきました。今回は近侍忠さんと遅く来た国広くんのお話になります
*いろいろ捏造・ご都合主義設定です
今日は朝から、光忠の機嫌がいい。鼻歌交じりに厨で手を動かす光忠の横で本日の夕餉の下準備を手伝っていた国広はその手元をちらりと見やって首を傾げる。
彼が作っていたのは生クリームを泡立てたもの
――
いわゆるホイップクリームというやつのようだった。今日のおやつは随分手の込んだもののようだ。ホイップクリームを使うような菓子は滅多に食卓には登らない。単純に手間と時間がかかるのがその理由だ。誉を取った者の強い希望だとか、誰かの練度が目標に達しただとか、現世のイベントごとだとか
――
そんな時にだけお目見えするそれは短刀たちには大人気だ。国広自身もふわふわとして甘い舌触りは嫌いではなかった。
打刀と絶望的に相性が悪いらしい今代の主をこれまで支えてきた短刀や脇差たちは総じて国広よりも練度が高い。加えて現在の主な出陣場所は彼らが活きる夜戦であるので、彼らを労う目的もあるのかもしれない。
ここに来て日が浅い、という表現はもう当てはまらないが、国広にはまだ夜戦に出られるほどの練度がない。検非違使の脅威もあって鍛錬もままならない中できることと言えば厨の手伝いくらいで歯痒くはあるが、「練度上がったらバリバリ働いてもらうからな!」という主の言を信じ、今できることに励もう
――
「・・・ろ、国広?」
「っ! 光忠」
などと密かに決意を新たにしていたら、どうやら手が止まってしまっていたらしい。我に帰ると、光忠が眉尻を下げてこちらを見ていた。
「大丈夫? 調子がよくないなら無理に手伝ってくれなくても、」
「大丈夫だ。ちょっと考え事をしていただけだから。・・・それより、あんたこそどうした。随分と機嫌がよさそうだ」
問いかけに否定を返して逆に指摘してやれば、光忠は虚をつかれたような顔をしてから照れ臭そうに破顔する。
「そんなにわかりやすかったかな。参ったなぁ・・・」
格好つかない、と頬を掻き、光忠は大切な秘密を口にするように言う。
「今日はね。君が桜花を得た日で、君と恋人になった日だから。浮かれてるのかも」
「は・・・・・・」
ぽかりと、口が開いた。刀剣男士は一定の練度に達するとそれを示す桜花がひとときその身の周りを舞う。そこそこの戦場を駆け抜けてきた証でもあるそれを、顕現した男士たちはまず目指すのだ。
桜花と、誉をいっぺんに得たその日、本丸に戻ったその足で想いを告げに行った。すきだ。なんの飾り気もない、唐突な告白にその金眼を見開いた光忠は、僕から言おうと思ってたのにと破顔して国広を抱きしめたのだ。
そんな勢い任せの告白劇からもうそんなに経ったのか。そう思うと同時に、よくもまあ日付まで覚えているものだと少々驚く。
「・・・・・・まめだな」
嬉しいとまで言えなくても、せめてそうだったのか、くらい言えればよかったものを、いざ出てきたのはそんな間の抜けた一言で。
「君のことだからね」
それにすら一枚も二枚も上手な言葉を返されて、そそくさとフードの内側に隠れてみる。
「もう少しでできるから、待ってて」
ぽんぽんと布越しに頭を撫でて、光忠は作業に戻っていく。ちらと窺う先で、薄桃の平たい生地の上に生クリームが落とされ。
「・・・よっ」
軽い掛け声と共に、生地はくるりと丸まった。まるで海苔巻きのようだと、その見慣れない物体をしげしげと見つめる国広に見てて、と微笑んで、光忠が巻物の端を切り落とす。現れた渦巻きに思わず目を見開く国広の湖面の瞳に少しばかり得意げに笑んで、長い指が切り落としたばかりの欠片を国広の口元へと運んだ。
「そういうわけで、今日は僕にとって記念日なんだよ。だから、お祝い」
「・・・んむ。・・・うまい」
押し込められた切れ端を咀嚼して目元をゆるめた国広に光忠はよかったと呟いて。
「来年も、その次も、こうしてお祝いできたらいいね」
「・・・・・・ん」
祈るように続いた言葉にうなずきながら、後で主に光忠が桜花を得た日を聞きに行こう
――
そう決める国広だった。
ー ー ー ー ー
自分の一存で面倒くさいロールケーキとか作り始めちゃうくらいにはベタ惚れ
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