三毛田
2025-01-12 15:02:21
1080文字
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70 070. 嘘つきな小鳥

70日目
そういう時もある

「チュンチュン」
「チュンチュン!」
「チュン?」
 多分、俺にしか見えていない小鳥たちは、楽しそうに会話をしていて。
 彼らの頼み事を引き受けるのは、悪いことじゃないからと引き受けたのに。
「嘘つき」
 指定された場所に言ったのに、目的のものはなく。おまけに居なかった。
 思わず恨みがましい声が出てしまった。
「ごめんチュン」
「まさか、移動してるとは思わなかったチュン」
「またはじめから探さないといけないチュン」
 みんなで頭を抱える。
 彼らは悪くない。けど、八つ当たりしてしまった。
「穹?」
 名前を呼ばれ、振り返る。
 小鳥たちは驚いて、どこかへ飛んで行ってしまった。
 それぞれの止まり木に戻ったのかもしれない。
「丹恒」
「どうしたんだ。座り込んで」
「ちょっとね。お前が夢境にいるって珍しいじゃん」
 立ち上がって、丹恒の方へ。
「落ち込んでいるな」
 ひんやりした指が触れる。気持ちいいなと、自分から頬ずりしてしまう。
「頑張ったのに、成果が得られなくてちょっと落ち込んでた」
「そういう時もある。が、お前は頑張ったんだ」
「ありがとう。そう言ってくれるのは、丹恒だけだ」
 撫でてもらおうと頭を押し付ければ、頭を撫でてくれて。
「もう、いいか」
「うん。丹恒の手、気持ちいい」
「そうか」
「俺にとって、特別だからさ。ちゃんと理解してる?」
「ああ。いやというほど、お前に教え込まれた」
 頭を撫でていたはずの手を下ろし、俺の手を取ってそこに自分の頬をくっつけ。
「こうして、触れさせるのはお前だけだ」
 目を細め、こちらを見つめて。
「キスしていい?」
 生唾を飲み込み、問いかけ。
「ああ、いいぞ」
 目をつぶって受け入れる体勢になったので、頬に手を添えてキス。
 人通りがない場所だからと、ちょっと長めのキスを交わし。
「ふふ」
「嬉しそうだな」
「ここでお前に会えたのが嬉しいし、キスを受け入れてもらえたのも嬉しい」
「そうか。俺も、思いがけなく穹に会えたのは嬉しい」
 そう呟くように告げ、額をくっつけてくる。
 小鳥たちの依頼のことなんか放り投げ、このまま丹恒と夢境デートしたい。
「なあ、丹恒」
「どうした?」
「お前にちょっとだけ手伝ってほしいことがあるんだ」
「俺でよければ」
「じゃあ、手伝ってほしい」
「わかった」
 手を取り、さっき言った場所にもう一度向かう。
「ここに、探していたものがいた気配だけはあるんだ」
「なるほど。ん? これは、移動の痕跡か?」
「あ! 気付かなかった……丹恒、ありがとう!」