フレーメンちう
2025-01-11 22:20:25
1239文字
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寒さ『ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画』

寒さのお題をお借りしました!(+30分)ちょっと寒がっているヨダナの話です!

「お前にしては随分と変わった趣向だな」
 肌を撫でる風は少しだけ冷たい。綺麗に晴れた青空には、所々に雲が浮いている。そんな空を見上げながら、暖かな足湯に丸い息を零す。

 レイシフト先の温泉地。紅閻魔が経営しているのか、どこぞの人間が経営しているのか知った事では無い。寒いと愚痴をこぼしたら、ビーマに連れてこられてしまった。敷地の一画に作られた足湯は、綺麗に整えられた小さな川の様になっており、湯気が立ち上る川に沿って浅いベンチが備え付けられていた。
 ビーマと二人並んで座るドゥリーヨダナは、体温よりも暖かな湯にふくらはぎまで浸かっていた。

「寒さを凌ぐには温かい飯だけじゃねぇぜ。……もしかして、俺は飯しか出さねぇと思ってたか?」
「まぁな。ずーっとキッチンに入り浸っておろう? 何かあるごとに料理を持ってくるからな」
「お前に食わせたいから持って行くんだ。構わねぇだろ」
……許可してやる」
 チャプチャプと波を立たせ、少しだけ俯く。淡く頬が赤くなっている様だが、温泉の所為で火照っているのだろうか。
 ふと、ほど近い建物の入り口に掲げられた看板に視線を向ける。湯の中に肩まで沈んだ人間の絵。普段は水浴びだけで、熱い湯に浸かった事がない。宮殿で暮らした時でも温い湯に浸かった程度だ。見当が付かないドゥリーヨダナは小首をかしげる。
「そもそも、熱い湯に浸かるのは気持ちが良いものなのか?」
「割と気持ち良かったぞ。ただ、入り慣れてねぇから、うっかり長風呂すると出た後はちょっと怠くなるんだよな」
 少し残念そうに息を吐くビーマに、ドゥリーヨダナは訝しげな視線を向けた。
「わし様を置いて風呂に入って来たのか?」
「金時と一緒に行ったんだよ。お前は騒がしいのは嫌いだろ」
 そう言われてしまえばぐうの音も出ない。賑やかにするのは好きだが、関わりが薄い他の者が騒がしくするのは耳障りだ。どうすれば、ビーマと風呂を楽しめるだろうか。
「じゃあ……良さそうな風呂屋を貸し切りにでもするか。そうすれば好き放題にできるだろうからな」
……お前、何考えてんだ?」
 訝しげに見てくるビーマに、ドゥリーヨダナは純粋な視線を向ける。態とらしい程に。
「風呂に入りながら酒を飲んだり、菓子を食ったりしたいとおもわんのか? 貸し切りをしなければ出来ない事が、それ以外にあるのか?」
 不思議そうに見つめてくるドゥリーヨダナに、ビーマは口を噤み眉間に皺を寄せる。
 ドゥリーヨダナの事だ。風呂で飲み食いするだけで終わる訳がない。二人きりで、裸で、湯に浸かるのだ。
 だが、ドゥリーヨダナの本心を指摘してしまえば「お前はそんな事を思っていたのか!? 食欲以外も盛んだったとはな! いや、数多の女を抱いたのも頷けるな」とか言って、ビーマをからかうのは目に見えている。
……飯でも酒でも好きに食え」
 小さな溜息を吐きながら言うビーマに、ドゥリーヨダナは視線を外すと柔らかな笑みを浮かべた。