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溶けかけ。
2025-01-10 20:29:45
1592文字
Public
ほぼ日刊
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知らぬは本人ばかり
神様時代に身体の関係があるタイプのヌヴィレットとフリーナのお話。
ヌヴィレットがちょっと独占欲強めです。
「フリーナ様、朝です。
……
フリーナ様?」
珍しいこともあるものだ、と女性は先輩と共に小首を傾げた。この国の神である彼女が朝寝坊をすることはない。朝食の時間に呼びにくれば、いつだって完璧な姿で自分たちを迎えるからだ。
「ヌヴィレット様に声をかけてみましょうか
……
?」
「そうね、もしかしたらそちらにいらっしゃるのかも
……
」
二人は下の階にあるヌヴィレットの私室へと移動する。時折、ヌヴィレットとフリーナの二人は朝から彼の私室で話し合いをしていたりするのだ。
部屋の前に着き、ドアをノックする。
「ヌヴィレット様、お食事の時間になりますが
……
」
入室の許可を貰い、扉を開ける。
「ああ、もうそんな時間だったのか
……
」
ベッドに腰掛けるヌヴィレットは彼にしては珍しいワイシャツ姿だった。
「あと、フリーナ様はそちらにいらっしゃるのでしょうか
……
? 先ほど私室の方へ伺ったのですが、留守のようでしたので
……
」
ヌヴィレットの座するベッドの上に違和感を覚えて目を凝らす。白い毛布と窓から差し込む光に同化して見えづらいが、彼の影に隠れるようにして、この国の神が眠っていた。
「フリーナさっ
……
!」
大声を出した女性の口を先輩の女性が塞ぐ。ヌヴィレットは唇の前に人差し指を立てると声に出さずに「静かに」と言った。
「彼女は私が起こして連れて来よう。安心したまえ、彼女の眠りはそう深くはないのでな」
片手でフリーナの髪を一束取り、指に巻きつける。ヌヴィレットの視線は既に二人に向いていなかった。
「かしこまりました」
先輩の女性はお辞儀をすると呆けている女性を肘で突き、襟をむんずと無造作に掴むと引き摺るようにして扉へ向かう。
「それでは、失礼します」
彼女が正気に戻ったのは、扉が閉まった音を聞いてからだった。驚くべきスピードで先輩の女性の方を見た彼女の顔には、ありえない、と書かれていた。
「い、いい
……
今! ヌヌヌ、ヌヴィレット様とフ、フ
……
フリーナ様が
……
!」
先ほどと同じように先輩の女性は彼女の口を手で塞ぐ。そして、人をも殺せそうなほどの視線で以て睨みつけた。
「今見たことは忘れなさい。尊きお方をゴシップの餌食にしたくないのなら
……
」
一つでも間違えれば、本当に殺されてしまうのではないかと思うほどの緊張感に必死に首を縦に振った。
「よろしい。さあ、食事の準備に行きましょう」
殺気などなかったかのように振る舞う先輩に呆気に取られながらも後を追う。
忘れてしまおう────フリーナ様の首筋にあった赤い痕のことも、ヌヴィレット様の慈しむような視線の意味も。
「フリーナ殿、朝だ」
「えぇ~
……
あともうちょっとだけ
……
」
毛布に包まり、朝日から顔を背けたフリーナはそのまま、すやすやと健やかな寝息を立て始める。昨夜は何があったのか知らないが、随分と荒れていた。部屋にやって来た途端、ヌヴィレットを剥いて、上に跨る程度には。
「きっと、君は理由など話してくれぬのだろうな
……
」
生活圏が同じで、異性であり、口が硬い。見栄っ張りな彼女が一夜の戯れに選ぶのに丁度いい条件が揃っていたのがヌヴィレットであった、ただそれだけである。身体の関係にあってなお、フリーナは秘密の共有をしてはくれなかった。身体を繋げれば多少なりとも彼女の抱えているものが見えるかと思っていたのだが、それが自身の力への過信であったことを知るだけであった。
ヌヴィレットがフリーナの後ろ髪を払う。
彼女には気づかれないように付けた印は彼なりの抗議であり、小さな独占欲の証明でもあった。
二人の関係について知っている者は多い。フリーナも別段、隠すほどのことだと認識していないからだ。故に、ヌヴィレットは敢えて、隠すように印を残すのだ。
────フリーナは自分のものだ、と示すために
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