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Raw煮込
2025-01-10 16:02:42
3855文字
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HQ 古森夢
支部掲載済
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23829144
古森は困っていた。
それは目の前で好きな子がスマホのロック画面を自信満々に見せてきたからだ。そのスマホはとても見覚えのあるもので、そう。古森自身のスマホ。ロック画面は好きな子の横顔。
「これ、盗撮だよね」
はい。そうです。
古森は困った顔をしながら両手をあげて降参ポーズをとる。好きな子は相変わらずドヤ顔で「そうだよねぇ〜」となにやら楽しげで。古森はおや? と片眉をあげた。もしかして、もしかするのか。
「ナマエちゃん?」
「うん?」
「えっと、それで、要件って
……
?」
「ああ、うん。これからも盗撮していいから命令聞いて」
「あ、はい。喜んで」
ポカンと間抜けな顔を晒しながら古森は好きな子が教室を出ていくのを眺める。そしてジワジワとナマエの言葉を理解したとき、古森はシャッ! と小さくガッツポーズをした。
恐らくどんなボールを上げた時より喜んでいた。さすがに過言か。なぜなら古森は酷くポジティブで、かなりナマエに惚れている。だから古森はナマエに屋上から飛び降りて♡ と可愛くお願いされればパラシュートを装備しながら飛び降りるし、バレーやめて♡ とお願いされればえぇ〜困るなぁ、とデレデレ頬をかく。
だから盗撮を許されたのも嬉しいし、ナマエちゃんに命令されるのも嬉しいのだ。ああ、盗撮しててよかった。盗撮をロック画面にしててよかった。古森は心からそう思う。古森はきしょい男であった。
そうと決まれば、と古森はフフンと意気込んで明日からの犬(げぼく)生活に目を輝かせる。天才は変人が多いとよく言うが高校生ナンバーワンリベロである古森もかなり変わった人種であると、この場にたまたま居合わせたクラスメイトは後に語る。
「喉乾いた」
「お茶あるよ、飲みかけだけど」
「いろはすがいい」
「買ってくるね、ついでに国語のノート持ってくるけど移す?」
「いらない」
「はいはーい♡」
その日クラス内が震えた。いつものように登校すればいつもとは違うクラスメイト、つまり古森とナマエの姿に。ヒソヒソと話すクラス内。昨日までふつうだったよね? 古森の連写速度えぐい なんでナマエさんは平然としていられるわけ? など。全くもって当然の疑問である。
廊下を走るなーっ! という教師の叫びとともにいろはすを持った古森が戻ってくる。デレデレと満面の笑みなのが少々怖い。
「ナマエちゃん! これいろはす! あとこれナマエちゃんが好きそうなチョコ! ついでに買ってきた!」
「ン。苦しゅうない」
ナマエはホクホクと嬉しそうな顔をしていろはすとチョコを受け取った。そしてチョコを口にほおり投げてニコニコと口の中でチョコを転がした。ナマエは噛まずに溶かす派なのだ。
「ナマエちゃん美味しい?」
「ん」
コクコクと頷くナマエ。そんなナマエを見て古森はよかったぁ、と嬉しそうに呟く。
一方でクラスメイトはそんな古森をみて、なんだかシラケた雰囲気になって各々また喋りだした。なんか、古森嬉しそうだし、いっか
……
。
それは一種の諦めである。
「ナマエちゃーーん!!」
強豪井闥山学園のバレー部は多忙である。ただでさえ勉学が忙しい井闥山でバレー部は全国常連だ。練習にも力を入れているのは至極当然である。
なので古森がナマエと共にいれる時間は少ない
……
のだが、なぜかナマエは練習終わり。なんなら自主練後まで待っててくれるのでふたりはいつも一緒に帰っていた。
部活終わり、ブンブンと手を振りナマエへ駆け寄る古森。その姿はまさに犬である。
「ナマエちゃん今日も待っててくれたの? ありがとう大好きところで今日行きたいところってどこ?時間的に場所限られちゃうと思うけど、っえ?ナマエちゃん家!? そんなもう挨拶だなんて、気が早
……
親がいない!? ナマエちゃんダメだよ男はみんな狼なんだよ古森もオオカミさんだよ!?!??」
通常運転です。早口でまくし立てる古森にナマエは元気だなあ、なんてぼんやり思いながら裾をくい、と引っ張って家まで誘導するのだ。
後ろでは古森がぺちゃくちゃとなにやら喋っている。なんだか結婚とか指輪とか子供とか夢のマイホームだとか凄いことを口走っている気がするが気のせいだと思いたい。
「ここが家。入って」
家の前まで来た古森は圧倒されていた。なぜならナマエの家が圧倒的豪邸だったから。先程まで饒舌だったとは思えないほど唖然と家を見上げている。家、というか門? これ全部庭? 嘘でしょ。家自体大きいくて豪勢で絵に書いた豪邸なのに、庭も大きくて池も噴水もあって
……
これ夢?
古森はナマエの頬をぷに、と軽く摘めば柔らかい感触が伝わってきてこれは夢ちゃうな
……
と顎に手を当てた。ほら早く、と急かされて門から入り薔薇の道を通って家の中に入る。家の中に入るいかにも自分が執事長です、みたいな使用人のじいやさんがいて古森は正直既にキャパオーバーで倒れそうだった。古森が未だ立っていられるのはナマエへの愛とバレーで作った精神力の賜物だろう。じいやさんに連れられた先はナマエの自室。なんだか上品な香りがして、ドギマギする。
天蓋付きの大きなベッドと豪華なテーブルと椅子。まさにお嬢様の部屋。その部屋の隅には無印にありそうなシンプルな箱が並んでいるのは何故だろう。機能を優先さちゃったのかな? なんて古森は考えながらソワソワとナマエを待った。部屋が女の子すぎて落ち着かないのだ。
ちなみにナマエは着替えてくるね、とどこかへ行ってしまった。じいやさんが用意してくれた紅茶を意味もなく飲んではソワソワそわそわ、身体を左右に揺らす。親には一応泊まるかもとは伝えておいたが息子がこんな豪邸にいるとは思わないだろうな。古森が笑ったところでガチャ、と音を立てて豪華な扉が開いた。
扉からひょこ、と頭を出すのは私服のナマエちゃんで。古森は今度こそ失神するかと思った。
だけれどナマエちゃんの貴重な私服を見逃さまいと目をギンと開いてナマエを凝視する。「な、なに?」
「いや
……
私服、かわいいね」
「これ部屋着だよ」
「部屋着!?」
ワンピース型のフリフリな洋服はまさにお姫様みたいで。可愛いのに上品でとてもナマエに似合ってる、と思った。私服だとしても可愛すぎるし、パンピーが気合い入れて着る服だな、とも思った。のに。部屋着!? アイエエそれで寛げる!? 古森は混乱した!
だが古森はナンバーワンリベロなのでこんなのではへこたれない。会話のボールを見事あげてやる!
「そぉ、なんだあ
……
今度ナマエちゃんの私服も見てみたい、なあ」
くっ。不自然か!? 古森が失敗した! と頭を抱えそうになった時ナマエはふわりと笑っていいよと言った。瞬間古森の背後で鳴り響く鐘の音。エ、もしかして結婚した? 血涙を流さんとばかりに感動する古森の後ろでナマエは一生懸命、私服はね、じいやがね、とおしゃべりしていた。
「それで、今日はお願いがあって」
「お願い?」
「ア、命令ね、命令」
うん? 次の瞬間ナマエから放たれる言葉の衝撃に、古森は一瞬意識を取られる。それほどまでに衝撃的であった。
「あのね、えっちなことしたいの
……
」
可憐で純粋で可愛らしいナマエちゃんの口から放たれる"えっち"はどのAVよりも股間に来た。古森も所詮男の子であるからしてしょうがない。えっと、それで? なんだっけ? 衝撃で軽い記憶喪失になった古森は必死に思い出す。
そうそう、えっちなことしたいんだよね。
……
アイエエ!? えっちなこと! 俺と!? そりゃあ同じ墓に骨埋めるつもりではあったけどさ、まだ早いんじゃないかな!?だって俺たちまだ高校生だし、親御さんへのご挨拶だって、と古森が汗を飛ばしながらワタワタ焦る横ではナマエが無印ボックスをガサゴソ漁ってなにやら取り出す。それは黒光りした、所謂ディルドであり。
古森は当然混乱した。
純粋無垢なナマエちゃんは最初から存在しておらずそこにいたのはえっちで可愛いナマエちゃんだけなのか。ハジメテのえっちで玩具プレイは些かハード過ぎないか、でもこれナマエちゃんからの命令だししょうがないよなぁ。でも男として婚前交渉はイケナイことなのでは!?
そんな葛藤を知らぬナマエは古森の裾をくい、と引っ張ってこう言ってのけた。
「ベッド、いこ」
……
古森元也。男。据え膳を頂き童貞を卒業。
お前ら! 俺は一足先に独身貴族から逃げさせてもらうぜ! あばよ! 聖臣!
今は居ぬ従兄弟にドヤ顔をしながら、ふかふかでファンシーなお姫様ベッドへ腰掛ける。そうすれば肩を軽く押され古森は簡単にベッドに横たわった。
「ナ、ナマエちゃ
……
」
意外と積極的なナマエにキュンキュンときめいていれば、ナマエは古森の足の間に身をねじ込み、腹の上にディルドを乗せる。そう、古森の腹に、だ。
「ナマエちゃ?」
「うん。ここまで入りそうだね、古森くん」
トン、と指先でへその下辺りを触られる。それは黒いディルドの丁度先辺りで
……
。
つまり、古森がナマエを抱くのではなくナマエが古森を抱く。ということ。えっちなことって、そういう
……
?
その真相に気づいた時、古森は自身を抱きしめて思わず叫ぶ。
「準備するから一ヶ月待って!!!!」
古森の叫びは家中に響き、外(家の敷地内)にいた鳥が電柱から落ちたらしい。恐ろしや。
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