三毛田
2025-01-09 22:19:35
1083文字
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67 067. 雨音ダンス

67日目
君の美しいダンス

 しとしとでも、ポタポタでもない。だからといって、ザーザーでもなく。
 なんとなく、踊りたくなってしまうそんな音。
「何してるんだ」
 自然とステップを踏んでいると、お風呂から出てきた丹恒が訝しげにこちらを見て。
「雨音を聞いてたら、体が勝手に」
「そうか。階下の宿泊客に迷惑にならないようにな」
「はーい」
 爪先で、柔らかく。でも、指先までリズムを乗せて。
「丹恒」
 気が済むまで踊ったところで、丹恒がカメラを構えていたことに気づく。
「姫子さんやヴェルトさんにも見せようかと」
「笑われるって」
「安心しろ。微笑ましいって笑いだ」
「安心出来な~い!」
 俺が軽く叫ぶと、丹恒はくすりと笑い。
「じゃあ、丹恒も踊ってみなよ。動画に撮るからさ」
 何となく悔しくて、そう振ってみるとサッと髪の毛を乾かして。
「わぁ……
 仙舟の踊りなのかわからないが、どこか厳かで。でも、丹恒のしなやかさが頭のてっぺんからつま先まで現れている。
 動画を撮るのも忘れ、見惚れていた。
「これでいいか」
「すっごい! 丹恒、綺麗だった」
「そうか。お前に言われると少々こそばゆいが、喜んでもらえたなら俺も嬉しい」
 とほほ笑んで。
 ぐうっ。丹恒、そういうところだよ。
 そんな反応されたら、いらんところも元気になってしまうじゃんか。
「寝るか」
「えー」
 俺の返事なんてお構いなしに、丹恒はベッドに寝転がって。
 部屋割りで駄々をこねたおかげで、丹恒と二人きりだ。
 それなのに、何もせずに寝るなんて。
「明日も調査だ。街を歩き回るのに、夜更かししてどうする」
「でもさぁ」
 唇を尖らせるも、丹恒は布団の中に潜り込んでしまう。
「おやすみ」
「おやすみ~」
 諦めて俺も寝るしかないみたいだ。
 隣のベッドに倒れ込み、それからもそもそ布団に潜り。
 どうして、ダブルベッドかどうかをちゃんと確認しなかったのだろうか。
「丹恒、そっちに行ってもいい?」
「列車の、お前のベッドよりも狭いから駄目だ」
「うわぁん」
 あっさり断られてしまった。
「部屋をきちんと確認しなかったお前が悪い」
「そうだけどさぁ」
「俺は、ツインでよかった」
「なんで」
 拗ねた声が出る。
……お前と一緒だと、ちゃんと眠れない」
「丹恒?」
 ちょっと不満で、低い声が出た。
「ドキドキして眠れない。ということだ」
 こちらを向いて、照れたようにほんのり赤く染まった顔を布団で隠している。
 可愛すぎて、心臓が止まりそうだった。
「わかった。今日は我慢する」
「ああ。是非そうしてくれ」