akinoshiroihana
2025-01-09 20:32:57
1659文字
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新春路の上より

「ネオゲ竜馬お賽銭投げて事件にしてしまう」ネタが文字数オーバー。
ネオゲにヤシャ様はいなかったよね?ってことで

https://www.youtube.com/watch?v=tzWKKHdLzdQ

一円玉で、風穴があいた
元日の、人込みの中、不逞の輩に

混雑の中、飛んだ一円玉の棒金があやまたず痴漢の脂ぎった手をはたき落とし、『銭形平次』のテーマが流れそうなところ、その親指を吹き飛ばしたものだから、モノクロームになった世界には『怒りの日』各種か滝廉太郎の憾(うらみ)のラストパートが流れ始めたと神隼人は思った。

「なんでだよ一円玉って1グラムだろアメンボ8匹分だろ!」
「50枚重ねて投擲した際の質量が加速度で何Nになると思」
「手元に紙がない時の俺に掛け算をさせんな!」
おい待てだいたいなんで俺らが逃げるよやりすぎちまった、ヤクザだって指詰めるのは小指からスタートなんだぞオハシ持てなくなっちまうからよぅ!
冬の夜の参道入り口前、甘いものとソースの匂いの熱い空気焦げる匂いモーター音の唸り
みんな真っ暗な空の下いきいきと懸命に動いている
制服姿だが車での参拝客の駐車場周りをお守するのがせいぜいくさい職員たちは、手際悪くひょこひょこと。

「旧ゲッターチーム関係者達が会っていた」のは対外的にはまずいのさ
ひとがもう飛べんといっても未だ信じちゃくれないのもいる
白蛇は不死身だと、皮衣を脱げばまたよみがえるんじゃないかと馬鹿な事を
ヘビだぁ?
蛇だの夜叉だの勝手に言われるよ
爬虫類呼びは彼らの世界ではひときわ強い中傷であり畏れのことばとなっていた

おかげでせめてこの数年、忙しくするついでにせいぜい肌は焼いたさ
だがそこにお前が無駄に鍛えたゴリラぶりまで証明してみせたとあっちゃ、たまったもんじゃ
おうコラッ
すまん、デリケートな森の賢人
うん?それならよし!……???
駆けて行く、足音ふたつ

そのつもりもねえのにやっちまったってあれか、俺と武蔵が漢字知らなさすぎるんで博士とお前が置くだけ置いてた高校の教科書にも。
「投げたら、ハッ、あったな、ハッ、死んじまうイモリ
 喉にクシが刺さったまんま水の中足掻き続ける鼠」
ああ武蔵はらしくねえ怯え切ったような怒ったような顔で読んでいた

彼等の会話は、あの時の、あのとしごろの日々のままにかえっていく。

にしちゃ、お前が俺を拉致りに来た時のじゃねえガクランもあったじゃねえか、ありゃなんだったんだい
バッカ迎えに行ってやったんだろ―――親父の知り合いのやっぱり金のない人がさ、せめてもの中学入学祝いにって年中かそこいらの時にはやばやとくれてよ。カンコンソーサイあれさえあればまあ失礼にはならねえぞって。結局そういう意味で着て行ったのは武道大会破りの時こっきりかなあ、8年ぐらい着たボロッボロのを恥ずかしいともカワイソウに見えるとも気付かなかったってやつさ―――

訪れるものもいないしんとした神社、燃える灯明
アパート群の押し寄せる端の昔ながらの寺、縁の下から生まれ落ちたばかりの仔猫の鳴き声
幾つもの祈りと鐘の音の間の闇を走って、やがて

幾度目かの人の波と出店の列がそれ以外の混雑と行き会い華やいでいる中で、隼人が手近なコインロッカーやゴミ箱脇等の隠し収納から取って来た、簡単にシルエットの代わる帽子やぺらぺらのダウンを二人して纏う。不用心な旅行客の買い物袋みたいになった、元の服の入った足元の紙袋は持って行かせるに任せて。夜だというのに付けていた隼人のサングラスからは金の匂いだかイイニオイがしたのか、知らない誰かが早速付けて嬉々として、輝く夜の人の渦のなか去っていく
へへっ、と笑ったのは竜馬もだった、吹き乱される黒髪の幾条以外なにも覆い隠すもののなくなった隼人の双眸を覗き込むようにしながら。
これだけの勝手と都合とざわめきと命の中、仲間といえば彼ひとりしかいない同じ冷たい薄闇の底にいる。冬の空、いまだ星がまたたくのを二人見上げ。

いい感じだ、ここにお前がいるなら。
      ここにはお前しかいねえのでも。

星がよく見えるのは一番凍てつくときだからだ
星がまたたくのはそこに風が吹くからだ、それでも


ただ、新年。