三毛田
2025-01-08 20:06:02
1062文字
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66 066. 薔薇が咲いたら

66日目
君と二人で

「この鉢植え、何?」
「薔薇よ。直植えでもいいのだけど、これは鉢植えでも育てられる種類なの」「へー。貰い物だろ?」
「多分ね。朝起きたら、テーブルにあったの」
「ふうん。刃、怒ってたり何か言ってなかった?」
「刃ちゃんは、こういうのに興味がないもの」
 そう呟くように告げると、カフカは薔薇の葉を指先で撫でて。
「そうじゃないんだけどなぁ」
 なんとなくだけど、これはあいつが買ってきて誰かからの贈り物を装ってる気がする。
 恋人とか、夫婦とか。そういう関係じゃないけれど、刃にとってカフカは大切な人の分類だと俺でもわかるのに。
 後で伝わってないと教えてやろう。からかってやろうって気持ちはない。多分。
 まあ、あいつも気づかれないことを承知で贈り物を渡しているだろう。もう少し素直になればいいのに。
「カフカ、その薔薇が咲いたら教えて」
「花が欲しいの?」
「いや。誰かに渡すなら、自分で買う」
「そう。構わないわよ」
「ありがとう」
 相手が〝誰〟かは、気づいているだろう。でも、〝何〟をするかまではわからない。そんなところ。
「外泊の場合は、私にちゃんと言うこと。いいわね?」
「子供じゃないって言いたいところだけど、まだカフカが保護者だもんな。ちゃんと言うよ」
「あなたは星より素直で助かるわ」
 と、ため息。
 あいつは無断外泊の常習犯だからな。俺にとばっちりがくるからやめて欲しい。
「今日は、丹恒とご飯食べてくるから遅くなる」
「あなたの分は要らないと伝えておくわ」
「ありがとう。ところで。カフカ、時間平気か?」
「そろそろ行かないと。戸締まりしておいてね」
「はーい」
 鋭い視線を感じたので、問いかけると荷物を持って出掛けていく。
 そろそろ時間だって、自分で言えよな刃。
 俺はみんなの食べた食器を片付け、戸締まりの確認をして丹恒が来るのを待つ。
 チャイムの音がしたので、荷物の鍵を持って玄関へ。ドアスコープで一応確認してから、ドアを開ける。
「おはよう、丹恒」
「おはよう、穹」
 鍵を閉め、丹恒のバイクの後ろに跨る。ヘルメットは忘れずに。
「丹恒、春休み、俺に時間頂戴」
「冬休みが終わったばかりなのにか?」
 呆れたような表情を浮かべているのが、見えないけれどわかる。
「うん。今から、予約」
 あの薔薇が咲いたら、彼を旅行に誘うつもり。
 何処に行こうかちゃんと二人で相談しないと。
「その前にバレンタイン。チョコ頂戴」
「それなら、二人で作って交換だな」
「うん! 楽しみにしてる」