三毛田
2025-01-06 21:46:27
1088文字
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64 064. 引き留め呪文

64日目
君に効いたり効かなかったり

「たんこぉ、もう戻る?」
「そうだな。今日は風呂を借りに来ただけだ」
「むぅ」
 俺が可愛くおねだりしているのに、今日の丹恒は冷たい。
 ランドリーで洗って乾かした服を着て、さっさと出ていってしまう。
 エッチなことはしなくてもいいから、少しは構ってくれたっていいのに。
 わがままを言いたくなったところで、論文の受賞者発表がもうそろそろだと言っていたことを思い出す。
「あー……
 そして、俺は論文に負けたのだと悟り。
 ベッドに大の字で寝転がる。
「チクショ〜」
 まあ、でも。
 これで一区切りつけば、相手をしてもらえるから。
「おやすみなさ~い」
 と、布団をかぶって眠る。
……
 起きたら、ちょっとヒヤッとするものが隣にあって。
「たん、こ?」
「ん……
 寝間着の丹恒が、俺の隣で寝ていた。
 名前を呼ぶと、もぞもぞしながらさらに俺にくっついて。
 可愛いなと思いながら、抱きしめて二度寝。
 起きたら、今度は丹恒の胸に顔を埋めて眠っていた。
「ふあふあ……
 丹恒の胸がふかふかでふわふわすぎて、思わずそんな声が。
 舌足らずな、情けない声が出た。でも、ふわふわでふかふかで気持ちがいいのだ。
 丹恒の胸枕が最高すぎる。
 ついでだから、寝ぼけたふりして揉んじゃえ。
「ん……
 俺の頭を抱いていた手が、声を抑えるかのように手の甲で口を隠して。
「たんこぉ。起きないともっとえっちな悪戯しちゃうよ」
 そう言いながら、もっと胸を揉む。
「シャツめくっちゃいま~あぐっ」
 シャツの裾に手をかけたところで、顎に衝撃。
「穹、寝ている人間に何をしている」
 不機嫌そうにグルグル唸りながら、アッパーを打った体勢でこちらを睨む。
「だってぇ。丹恒の胸が魅力的すぎるから……
 顎をさすりつつ、涙目で上目遣い。でも、寝起きで不機嫌な彼には通用しない。
「はあ」
「ご、ごめんなさい」
 謝るけれど、俺を睨んでベッドを降りる。
「た、丹恒先生?」
 とっさに伸ばした手は、寝間着の裾をかすめただけ。
「うう……
「顔を洗ってくる」
「はい」
……触りたいなら、素直に触りたいと言え」
「ぇ」
 爆弾発言を残して、丹恒はバスルームへ。
「い、いいんかな?」
 この後丹恒に触れられると思ったら、下半身が大変なことになってきた。
 まあ、似たようなことをするから間違ってはないんだけどさ。
「穹? どうした」
「朝の生理現象です」
「そうか。殊俗の民は大変だな」
「それはお前が持明族だから性欲が薄いだけだって」
「穹相手だと、それなりにある方だが」