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もろ餅
2025-01-05 22:33:01
2486文字
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グラブジャムンより甘い鴨メル
今日はなんか、密着することが多い日だった。触ってくる手が優しくて、いつもみたいにおちょくってくることもなくて。もしかしたら
…
なんて考えてたら、後ろから抱きしめられて耳に吐息がかかった。
「め〜ると」
きた
…
!!これはスーパー甘デロ鴨志田さんに切り替わる時の声色だ
…
!!数ヶ月に一度あるかないかの甘々モード。前回のから半年ぶりくらい?多分だけど。仕事疲れとかそういうのが溜まるとなるっぽい。俺調べだけど。最近忙しそうだったもんな。この鴨志田さんレアだから堪能しておかないと。
「かもっわ゙ぁ!」
「ん〜?
…
っふ、ちかぁ」
振り返ったら鼻先が掠めた。近いなじゃねぇよ近すぎるだろ!!本人は唸りながら俺の肩にグリグリ頭擦りつけてるし、慌ててんの俺だけで悔しい。つか首にかかった毛先が擽ったい。
満足したのか知らないけど、今度は首傾げながら顔覗いてきた。あざとい。溶けそうに見つめる瞳と目が合った。
「なぁにしてんの」
「
……
鴨志田さんの、舞台映像
…
ミテマシタ
…
」
「それはしってる」
声が甘い!!!なんか全部平仮名みたいな喋り方してる
…
!!あれだ、ファンの子たちがよく言ってる「耳が孕む」ってやつだ。なんて考えてたら、スマホ持ってた手にするりと指が絡みついてきた。
「うしろにオレいんのに、なんでエイゾーなんかみてんのって、こと」
ああああっんま!?!?乙女ゲームでも言わないだろそんなこと!!パニックで頭おかしくなりそう。普段があんなんだからもはや怖いまである。中間はないのか中間は。たっぷり堪能してやろうと思ってたけど俺の心臓の方がもたないかも
…
。いつも途中で記憶飛んじゃうんだよな。甘すぎて脳みそ溶かされるから。
あ、黙りこくってたせいで鴨志田さん拗ねてる。垂れた前髪から見える目がジトっとしてる。かわいい。ちょっと仕返ししてやろうかな、なんて。
「ごめんって。鴨志田さんの舞台何回でも見たくなんの、
…
ゆるして?」
俺の全力涙目上目遣い。これは効いただろう。実は隠れて練習してたから、泣くとまではいかないけど目を潤ませる程度なら俺でもできる。これは勝った。
「だぁめ」
……
甘さ倍増して跳ね返された。砂糖を蜂蜜で煮てキャラメルソースかけたってくらい甘い顔してる。負けた。
「かぁわいいかおしちゃってさぁ
…
」
あ、あれ。なんか鴨志田さんの手が服の下まさぐってる。まずいかも。
「あおってるだけだっつーのに
……
」
「
…
っ、」
臍の周りをなぞられて、そのままゆっくり上まで撫でられる。本当にまずい。
「や、だ
…
かもし「めると」
この状態の鴨志田さん、前戯くそ長いし甘いしめちゃくちゃ疲れるから嫌なのに。
「えっち、しよ」
その顔はさ、ズルじゃん。
○
「くぁ
…
んー、
…
朝か
……
」
大きく背を伸ばし、欠伸を一つして眠気を覚ます。
気怠い身体とは対照的に、気分は清々しいほどに軽い。籠った空気を入れ替えようと少し窓を開ければ、少し肌寒い朝風に煽られカーテンがふわりと波打つ。それと同じくらい、心は浮かれていた。
出窓に置いたミネラルウォーターが朝日を屈折させ天井の一部分を照らしている。観葉植物を小鉢から新しい芽が顔を出している。いつものように腹を擽る良い匂いはしない。朝に強い恋人は、未だに布団の中で身を屈め可愛らしい寝息を立てている。
そんな、ちょっとだけ特別な朝。
「メルト、ほらメルト起きろ、あーさ」
「ん
…
ぅ?ぁさ
…
」
頬を軽く二度つつけば、ご自慢の長い睫毛を震わせ、ゆったりと顔を上げる。今も夢の中を漂っているのか、瞳は姿を隠したままだ。
「まだ
…
ねよ
…
」
ガサガサ声の恋人は、我が物のように腕を回し、再度俺の胸に顔を埋める。抱き枕にされる気分は悪くない。むしろ、この瞬間が堪らなく好きだ。
仕事でストレスや疲れが溜まった時、メルトに甘えるようになったのは二年程前から。コイツいわく『スーパー甘デロ鴨志田さんタイム』らしい。ふざけていると思いつつ、あながち間違っていないから何も言えない。しかし、ストレス解消に始めたつもりのスーパー甘デロタイムとやらは、今や別のことが目的となっていた。
意地悪で「起きねーの?」などと問いかければ、小さく唸りながらグリグリと頭を擦り付けてくる。幸福の具現化というのは、この息苦しさのことなのかもしれない。
「
……
おきれないの
…
そっちのせいじゃん
…
」
スウェットにくぐもった声でメルトは言う。
首や肩を彩る赤は、うすら消えかかっている。あと数時間もすればまた綺麗な白い肌に元通りだ。10、11、12、と胸の中で一つ一つ数えてくうちに口角が上がった。
スパデロタイムの俺は、極力ねちっこいセックスをするようにしている。労わるように優しく全身を愛撫し、前戯に時間をかけ、泣きながら懇願してくるまで挿入はしない。したとしても、先っちょだけを浅くゆるゆると出入りさせ、また泣かせる。その時求めてくるコイツが、疲れまくってるだろうにあまりにも必死で、ひたすらに愛おしくて、汗や涙や涎やらでぐちゃぐちゃな顔が、それはそれは可愛らしい。
イケメンモデル様とは程遠い顔をさせたのが自分という感覚にいつも溺れる。言わばキュートアグレッションってやつ。
「わるかったって、許して?」
「ぁ、
…
」
謝罪も込めて剥き出しのでこにキスを落とせば、潤みを含んだ琥珀色の瞳に見つめられる。熱を孕んだ視線だ。
「
…
ねぇ、」
普段なら「誤魔化すなぁ!」と頬を膨らませて、両手ででこを隠すところ。しかし、今日は違う。甘やかしまくって、疲れ果てさせ、起きてからまた甘やかす。それが揃った特別な朝だから。
「口には
…
しないの
…
?」
__本当に甘えたなのはどちら様。
ちろりと舌を覗かせるように開かれた口に、酷く欲情を唆られた。その顔を見るためにスーパー甘デロ鴨志田さんが居ると知れば、コイツはどんな顔をするんだろうか。
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