三毛田
2025-01-05 13:59:21
1062文字
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63 063. 囁かれる噂

63日目
信憑性は微妙だけど

 今いる星で、まことしやかに囁かれている噂。
 ――路地裏にいる占い師に占ってもらうと、恋が進展する――
 ――特定の時間、願いを込めたコインを噴水に投げ込むと願いが叶う――
「っていうのが目立つ噂だね」
「なるほど」
 なのの言葉に、丹恒はどこかで似たような噂とかがないかを調べて。
 俺? 俺は、一番警戒されないからと、街で聞き込み。
 してきたところ。
「ただいま~」
 拠点となる宿に戻って来ると、髪が散らばっていた。拾い上げると、それは地図。
「地図?」
「魔法陣と呼ばれるものだ。わざと不完全に描いてあるから、安心しろ」
「なんで?」
「危ないからだよ。それで、本当に何か起きたら大変でしょ?」
「なるほど。でも、何で?」
「この星の、この地域を含めた特定の土地で昔から信仰されてきたものが関係しているようだ。安心しろ。星核は無関係だ。それはもう列車側に伝えてある」
「ふうん」
「それで。あんたの方は?」
「それがさぁ」
 噂に上がっている路地裏に行ってみたけど、人っ子一人、それどころか野良猫すらいない。
 でも、誰かがいた痕跡はあった。
「毎日いるわけじゃないって聞いてたけど、さすがにちょっとおかしいだろ? ここに来た日も合わせて三日だ」
 指で三を示す。
「おかしいのか」
「だって、最初の日にあの路地裏に行ったんだよ。迷子になって。でも、その時だっていなかった」
「時間帯が問題?」
「ううん。噂で聞いてる時間帯だった。それでも、いないんだ」
……この街の人間にしか見えないのか?」
「ひいっ。怖いこと言わないでよ丹恒!」
「済まない。怖がらせるつもりはなかったんだが」
 想像したら怖くなって、丹恒に飛びつく。
「でも、丹恒が言ってること間違ってないかも」
 そう言いながら、なのは床に散らばっている紙を拾って。
「この魔法陣? がどういう作用をもたらすのかわからないけどさ、姿を見せなくするとか、特定の条件を満たさないとそこにたどり着けないとか、あるよね?」
 彼女の言葉に、顔を見合わせて。
「ありうるな。噴水の噂の方はどうだった」
「噴水自体はあった。それに、コインが多かったけど、水の中に投げ入れられてた。でも、該当の時間はわからない」
「皆、喋りたがらないということか」
「多分そうだろうね」
 ここ数日丹恒と触れ合う時間がなかなか取れなかったので、ここぞとばかりに頬ずりしたり、体をそっと撫でてみる。
「丹恒。嫌ならちゃんと叱らないと調子に乗るよ?」
「これくらいなら、別に」