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よるはこ
2024-03-04 14:26:07
1093文字
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frmm
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【ステラ兄弟】喉に星つかえて名前呼べなくて 涙ふた粒 聴くように触って
一時的に声が出なくなるルタを励ますクラの話。自作短歌ss。
冬のある日、僕たちが流星群を見に行った夜のことだ。
その夜の流れ星はそれはそれは見事なもので、同じブランケットにくるまった僕たちはすごいすごいとはしゃぎながら燃え尽きない花火のような夜空を眺めていた。そこへ運悪くとても小さな流れ星がひとつ、ルタの口の中へ飛び込んでしまった。
「わ」
ルタは喉をおさえて激しく咳きこみ、僕は慌てて夜間病院へ駆け込んだ。
お医者さん曰く「軽い星やけどですね。星は喉で燃え尽きてしまったようです。しばらく声が出ませんが数日で治りますよ」らしい。痛み止めを処方してもらってその日は帰った。
次の日から声の出ないルタとの生活が始まったけれど、驚くほど不便なことはなかった。僕らは目が合えば相手の考えている大体のことは分かるし、簡単な手話もすぐ覚えた。ルタはノートを持ち歩いて僕以外の妖精たちと筆談したり、ついでにお絵描きしたりでそれなりに楽しそうに過ごしていた。このまま数日経ってルタの声も元通りになるだろうなと考えていたその日の夜、ベッドで少し疲れた顔をしていたルタに早く治るといいねと喉を撫でてあげた。
その瞬間、ルタの両目からぽろりと涙がこぼれた。僕は驚いて、涙が頬から落ちるより先に指で雫を受け止めた。
───クラ
ルタの声が聞こえた気がした。おかしいな、ルタは唇をゆるく噛んで泣いている。またルタの両目から涙がこぼれる。
───このままずっと 声が出なかったら
悲しい声が涙から伝わってくる。
「大丈夫だよ、ルタ。お医者さんがすぐ治るって言ってたよ」
───どんな言葉が言えなくても クラの名前を呼べないことがこんなに辛いなんて 思わなかった
「そっか、僕は声がなくても伝わることが嬉しくて、ルタの気持ちに気付けなかった。ごめん」
───クラ
涙に触れるたびに僕も悲しくなってくるけれど、頬から手を離せなかった。ルタの涙を僕の両手以外どこにも行かせたくなかった。
「じゃあさ、もし声が戻らなかったら僕の声をはんぶんこしようよ。だから心配しなくて大丈夫」
ルタは一瞬キョトンとしたあとにゆるく笑って、またひと粒、涙がこぼれる。
この宇宙で一番遅くて温かい流れ星だと思った。
───ふふふ それもいいかもね
しばらくして泣き疲れたルタを抱きしめながら僕も眠りについた。早くルタの声が元に戻りますように。
数日後、お医者さんの言う通りルタの星やけどはすっかりよくなり声も元通りになった。
「クラ!」
ルタはいつもよりたくさん、僕の名前を嬉しそうに呼んで、
「なに?ルタ!」
僕もそれに答えるために元気に返事をするのだった。
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