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蟹
2025-01-04 21:11:17
2955文字
Public
二次創作:UTAUホラー
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垣根 / 語り部:錯音シノ
登場人物
錯音シノ
錯音ジバ
そのほか
UTAU×ホラーです 習作感覚でちまちま書いていけたらいいな〜
ホラー要素あります!!
錯音シノ・錯音ジバの設定に捏造を多大に含みます。ここのジバ君は小学生までは「おねえちゃん」と呼んで中学で「姉ちゃん」と呼んで高校で「姉さん」と呼び出したタイプ
怪談?そりゃーわたしたちにとってはサイボーグになったのが一番のホラー案件だけど
……
えっそういうのじゃない?
んーだったら
……
あれかなぁ。わたしが中学くらいのときの、おじいちゃん家でのこと。
おじいちゃんはおばあちゃんと暮らしてた。近所の人とも仲が良くてたまに家に来てたのをみたりしたけど、普段は二人で小さな一軒家に住んでたよ。
立地は田舎
……
ってほどでもないけどね。○○って街で
……
知らないか。まぁ電車で1時間とちょっとで東京行ける距離にあるよくある街だよ。おじいちゃん家の近くは普通にコンクリートの道路通ってるし、お家そのものもちょっとボロかったけど、トイレとかちょくちょくリフォームされてたし
……
。
幸い、おじいちゃんおばあちゃんとわたしの両親は仲が良くてさ、わたしが小学校上がるくらいには、夏休みの時期にわたしとジバ連れておじいちゃん家に行くのが恒例だったんだ。
それは、13歳の夏だった。
わたしはお昼ご飯を食べたあと、部屋で一人ゲームしてた。
毎年来てたけど、中学上がる頃にはちょっと人見知りしちゃってたっていうか
……
ちっちゃい頃みたいにずっとおじいちゃんおばあちゃんにべったりする感じじゃなかったなぁ。ジバは昔からわたしより人見知りだったけど、むしろ当時はまだおばあちゃんにくっついてたかも?逆に知ってる人ならよく懐くって感じかもね〜。
えぇとそれで、ゲームしてた部屋はリビングで、テーブルから離れて窓の近くで寝転がってたんだ。
リビングの窓は大きくて、床から天井まで壁一面が丸ごと窓になってるような感じで
……
。そうそう、アパートだったらベランダに面する壁にあるようなやつ。そのまま庭に出れる感じの大きさのやつね。
おじいちゃん家のリビングの窓は庭じゃなくて、庭につながる細い道に出る感じだったけどね。丁度真向かいがお隣さん家の敷地で、トタン板が仕切りになってた。
今どきの気温じゃ暑すぎて窓の前なんかいたくないけど、昔は風入れて扇風機もつければなんとか過ごせたしな〜。だから昔のわたしも、風にちょっとでも多くあたろうと開けた窓の前でゴロゴロしてたんだと思う。
部屋の電気もついてなくて、窓からの太陽光とゲーム機の画面だけが光源の、薄暗い空間。
遠くから聞こえる蝉の声。
不意に、「シノ」って、呼びかけられた。
私は聞き覚えのあるその声に「なにー?」って返事して、同時にゲーム機から顔を上げた。
その声は窓の向こうからだった。窓から見えるのは、家同士を仕切るトタンの垣根。
その上から、おじいちゃんが顔を出してた。
「シノー。お隣さんからスイカ貰ったよー。おいでー」
そんなことを、歯の抜けた顔で笑いながら言うんだ。
でも私は言う。「あとでねー」
まぁ
……
子供だったし、ゲームとかスマホに熱中しがちだったから
……
。
おじいちゃんが黙ってすぐ、おばあちゃんの声がした。
「シノや。お庭のお掃除、手伝ってちょうだい」
私はまた「あとでねー」って。お手伝いくらいすぐやりゃいいのにねぇ。まぁ過去の話だし。
そしたら、近所のおじちゃんの声。
「シノちゃん!うちにでっかい蟹が届いたんだ!良かったら見に来るか?」
「あとでねー」
商店街の肉屋さん、お隣さんの奥さん、近所を徘徊していたおじいさん。お父さん、お母さん。
「シノー!」
「シノちゃん!」
「シノ」
「シノ」
「シノ」
「姉ちゃん」
ジバの声がした。
双子の弟の、まだわたしと大して変わらない身長のあの子が、垣根の上から首を出して笑いかけている。
弟は両サイドに両親と、その横にはおじいちゃんおばあちゃんや親戚知り合いのみんなが笑顔を浮かべていて
……
逆光で顔がよく見えないのに、笑ってるのが何故かわかった。
まるで生首を並べてるみたいに一列になって、わたしを呼ぶ。
「しのー」
「しのやぃ」
「ねぇちゃん」
「しぃのおおお」
「しーーのーーー」
「しのおおおおおお」
「あああしぃぃあああ」
「のののののののののの」
「シのちゃあああああああ」
そうやってみんな思い思いに私に話しかけるから、音が重なって変に揺れてるみたいな音になっちゃってて。だから最後にはずらっと並んでたみんなの首が一斉に「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」って叫んで合唱して音が揺れていて。
「あ、」
喉から声を絞り出した
……
引き摺り出された?
わたしは空いた窓の向こうに、足を伸ばした。
そのときだった。
「シノ!!」
急にTシャツの首を掴まれて、ずるって後ろに引きずられた。私はそのまま後ろに倒れ込んで、眩しかった外を眺めてたせいか暗い室内で一瞬視界が瞬いた。
私が体を起こして見えたのは、窓もカーテンもバンッ!て閉める弟、ジバの姿。
「
……
えぇと、姉ちゃん、大丈夫?」
「弟よ、そのパワーどこに隠し持ってたの。~封印されし己~が物理なことあるんだ」
「大丈夫そうだね」
真顔で冷静な弟が、ちゃんとそこにいたよ。
おばあちゃんの庭の手伝いをした後のジバがリビングを通りがかったとき、ちょうど呼びかけられてる最中のわたしを見かけたらしい。
ジバにはアレは見えて無かった
……
けど、窓際に座る私がぼーっと一点を見ていて、あの常にうるさいかダラダラしてる姉に限って
……
と変に思って近づいて、何度声かけても反応しないから無理やり
ゆすって
……
それからは姉ちゃんが体験したまんまだよって、あのときのジバは言ってた。
わたしはちゃんとジバにありがとうって言って、その後にうるさいってなんなの!!ってダブルラリアットをプレゼントしたよ。姉たるもの弟の失言は正さないとね!!
……
はぁ。
まぁ、その後は特に怖い思いせず私もジバも
……
もちろんおじいちゃんおばあちゃんたちも無事だったんだけど
……
。すっかりあの家が怖くなっちゃって。その年以降はおじいちゃん家に行かなくなっちゃった。
……
しょうがないっちゃしょうがないけどね。受験とか部活もあったし。
でも
……
高校のときに事故でお父さんとお母さん
……
亡くなっちゃったし、私たち姉弟もそのときからドタバタしちゃって
……
今やサイボーグだよ?こんなことなら会えるときにおじいちゃんたちに会っておけばよかったなぁって。
……
実は去年ね、ジバと一緒におじいちゃんたちの家に行ってみようって話になって、二人で行ったの。
今までお父さんたちが連絡とってたからアポなしでいきなりになっちゃったけど
……
そしたら、おじいちゃんたち引っ越してた。
家は取り壊されて売地になってた。
……
あ、おじいちゃんたちはちゃんと生きてると思うよ!この話って隣の家の奥さんと偶然会えたから聞いたんだけど、おじいちゃんたちの様子を話すとき特に変な感じしなかったし。
……
それでも、おじいちゃんが引っ越した理由知りたくなっちゃって
……
隣の、あ、あのトタンの塀がある方の家ね。その奥さんに聞いてみたんだ。
あんまり理由は公言してなかったけど
……
一言だけ。
「騒音が酷い」って言ってたそうなんだ。
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