きよ
2025-01-02 19:00:00
2057文字
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ハッピー・スイート・ハロウィン

以前Xで呟いていた季節外れのハロウィンのお話です
ほんとは去年のオンリーの無配でした……
少し背後注意かも知れません……R15くらいです

Trick or Treat?お菓子くれなきゃイタズラするぜ

 カルデアの周回から一時的に解放されて、自らの領域にぐったりしながら舞い戻る。次の周回は明後日とは、カルデアの神使いの荒さには恐れ入る。
 それはさておき、折角のハロウィンだからとキッチン担当のサーヴァントに渡された焼き菓子を片手にリビングの扉を開く。気に入りの戦士もとい恋人が普段と同じようにソファーに座り映画を観ていた。

「デイビット、今戻ったぜ」
……あぁ、おかえり」

 律儀に挨拶するくせにデイビットは振り返らない。視線を独り占めにする液晶の中で繰り広げられている派手なアクション。あれは前一緒に観た映画の続きだな、と冷静に分析する。しかし自分を待たずに続きを見ていたことに少し心にしこりができるような、端的に言えば拗ねた気持ちになる。
 全能神のくせに狭量過ぎて、さすがに言葉にはしなかった。が、映画に集中する男の邪魔をしたくなってしまい後ろから抱き付き、冒頭の台詞を耳元で囁いた。
 お菓子などたくさん渡しているし、どうせ淡々とドーナツでも渡されるだろうと思っていると、なんでかデイビットは動かなかった。

「デイビット?」

 不審に思って耳元で名前を呼ぶと、びくりと跳ねた身体とじわっと赤く染まる肌。

…………ない」
「ん?」
「お菓子は無い」

 視線は相変わらず画面から逸らさずにその言葉は吐き出された。しかし、どう考えてもこれは。

「なんだ? イタズラしてもいいってか?」

 悪戯心半分、本気半分で問いかける。デイビットの視線は画面から床へと逸らされた。もうとっくに内容は頭に入っていないのだろう。

…………いいよ」

 聞こえるか聞こえないかの返答に、テスカトリポカは息を呑む。普段なら、一蹴するであろうおふざけをデイビットは拒まない。

…………へぇ、じゃあ遠慮無く」

 きっちりとしめられたネクタイを緩め、シャツのボタンを一つ一つ開いても、抵抗が無く、どこか期待したように小さな吐息がふ、と漏れる。

「テスカトリポカ……

 素肌に触れた神の体温にデイビットは甘えたように名前を呼んだ。ぶち、と理性がちぎれた音を聞く。
 無理矢理振り向かせて、唇を塞ぐ。デイビットの深い紫の瞳が嬉しそうに細められる。
 歓迎するように緩められた口許から舌先を侵入させると、先ほどまで食べていたのだろうキャラメルポップコーンの甘い味がした。すぐに嘘だと分かることを嘘は悪いことだと豪語する男が告げたことに興奮する気持ちと、寂しい思いをさせたのだという事実を言われなくても感じてしまい、僅かに胸が痛んだ。

「ん、ん、ぁっテスカ、ぁ」

 ちゅ、くちゅ、と音を立てながら交わされるキスは随分と積極的なデイビットのおかげで舌先がより深く絡み合う。初めての時は呼吸すらままならなかった恋人の成長ぶりに喉を鳴らしながら、もう何度触れたか分からない素肌に手を這わせる。微かに汗ばみしっとりとした感触と、うるさいくらいの鼓動が感じられる。
 筋肉がしっかり詰まった胸元へ手のひらを滑らせると、我慢できないようにデイビットが唇を離した。

「もっと、もっと、触って」
「っ、言われなくても」

 むにっと持ち上げるように胸を揉むと、鼻にかかった声がぽろぽろとデイビットから零れていく。

「ぁっ……!っん、あ」

 期待でシャツを押し上げ始めた乳頭を指先で摘む。ぱちっと開いた長いまつ毛からはらりと涙が散った。きゅ、きゅっとリズムよく刺激を与えると、もっととでもいうように小さく腰が揺れている。ボトムの上からでもはっきりとデイビットが勃起していることが分かって頭が沸騰するように熱くなった。ぺろりと乾いた唇を舐める。
 そんな興奮を隠すように手をぱっと離したテスカトリポカにデイビットはどうして? というように涙が膜を作る瞳で見上げてくる。

「イタズラはここまでだ。デイビット」
……や、だ」

  ぽろっと蒸気した頬に涙が伝い落ちて、子供のように非難する声ににやけそうになる口元を抑えて、テスカトリポカはゆっくりと黒い煙を吐き出した。煙はあっという間に2人を包むと、その場はいつの間にか寝室へと変わっていた。

「なぁに、ここからはちゃんとセックスしたいからさ」

 デイビットを押し倒した形でベッドに乗り上げたテスカトリポカは、したり顔でそう告げた。不満そうな顔から一転、安心したようにテスカトリポカの首元へと腕を回してきたデイビットは機嫌良い猫のように目を細めて、ちゅっと触れるだけのキスをした。

「ん、セックスしよう。テスカトリポカ」

 小さく、しかしはっきりと耳に届いた言葉は神の欲情を煽るには十分過ぎた。
 再び深いキスをしたテスカトリポカは3日は確実に離してやれんな、と僅かに残った理性で確定事項としてスケジュールに追加した。もちろん、カルデアへの有給休暇申請は事後になったのは言うまでも無い。