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kasimiyakedama2
2025-01-01 02:33:22
1491文字
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超人なのでバックライトなしでも見えるということにしておいて
勲章が欲しいアトランティスと手助けしたいカーメン
(マーリンマンちょこっと)
何かの役職にあるわけでもない、いわゆる「ヒラ悪魔」が使う、食堂兼休憩室兼談話室で、見知った顔を見つけた。
その男アトランティスは、片肘をテーブルの上につき、もう片方の手で何か大きな黒いフィルムのようなものを手になにやら思案しているようであった。
「何を見ている?」
「あ? カーメンじゃねえか」
「ん
……
レントゲン写真?」
「ああ。」
カーメンの問いに最低限の返答を寄越したものの、あいかわらずその黒い四角い物体と睨めっこを決め込んでいる。
それはひとりの超人の、骨盤から頭頂部までの側面からを撮影したものと思われた。
誰のものだと問いかけてすぐに、カーメンは口をつぐんだ。
あまりにも分かりやすい頭蓋骨のフォルムで、それを問う必要がないことを悟ったからだ。
レントゲン写真の主は楕円形に近い頭骨の先に、ひときわ長く伸びる鼻先の骨があった。
かつてアトランティスとテムズ川で死闘の末に両者相討ちとなった完璧超人のものだ。
「
……
なぜお前がそんなものを持っている」
「頼みこんで貰った」
「貰った、っておまえ
……
」
次に浮かんだ疑問をアトランティスに問うてみれば、さらなる疑問が沸いただけに終わる。
「苦労したんだぜ。さんざん煽てて脅して宥めすかして、ようやくだ。
いや、あんときの跡とか残ってねえかなあ、ってさ
……
」
カーメンはその言葉にようやく、アトランティスの行動の意図を察した。
通常、生物の骨が損傷を受けて再生すれば、骨折跡が残る。
アトランティスの腹には、いまはふたつの傷跡が残る。
いずれも先のテムズ川の戦いでこの写真の主につけられたものだ。
そのうちひとつは致命傷。
試合自体はその後アトランティスがタワーブリッジでマーリンマンの背骨を粉砕したことによって、両者死亡の痛み分けに終わっている。
「見せてみろ」
「え」
「妾が解骨術を得意にしていることは知っておろう?」
あえかに微笑んだカーメンはアトランティスの隣、空いていた椅子を引き寄せると腰を下ろした。
そして懐から細いカルトゥーシュストローを取り出し、指先でくるりと一回転。
側面から撮された脊椎の、ゆるくカーブを描く部分をストローの先で指した。
「胸椎のココと、ココ」
そのままちょんちょんと、背骨に沿ってストローの先を白黒のフィルムの上で踊らせる。
「腰椎がいちばんひどいか。こりゃ致命傷だ」
「全ッ然わからねえ
……
」
ちらりと隣のアトランティスの顔を見上げると、彼は真紅の瞳をすがめて白黒の画像を見つめながらそんな言葉を発した。
「しかし骨に興奮するとは良い趣味をしているな、アトランティス」
「してねーわ!」
違うのか、とでも言いたげなきょとんとした表情を見せたカーメンの顔をひと睨みすると、アトランティスは差し出されたレントゲン写真を受け取った。
「ちぇ、みんな同じこと言いやがる」
当のマーリンマンには『オカズにするとはいい趣味だな』と言われながら、このレントゲン写真を手渡されたのだそうだ。
(丁重に礼を言って、それからぶん殴って帰ってきたらしい)
アトランティスとしては面白くないのだ、自分にだけ目に見える傷跡が残っていることが。
「いやでもおまえに見てもらって助かったわ! サンキューな、カーメン」
「どういたしまして」
どこか足取りも軽く食堂を出ていくアトランティスに、カーメンは挙げた右手をひらひらと振って応えた。
実のところ、八割が口から出まかせだった。
仲間が勲章を欲しがるのならば、多少の方便は許されよう。
あいつは今宵あれを抱いて眠るぐらいは、するかもしれない。
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