ぽふむん
2024-12-31 21:05:57
1207文字
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おせち騒動

氷柱if
圧力鍋も電子レンジも無い時代
おせち作りって大変でしたでしょうね。
そんな大仕事なのに一品欠けてしまい大騒ぎの蝶屋敷に歳末の挨拶に来た氷柱様です。
ちなみに……むっつりしのちゃんが、何を想像したか……本当はわかっていません。誘導ですw

新春を迎えようとしている年の暮れ。
まだ寒い……とはいえ、昼日中の縁側は陽射しで温かい。
そんな縁側にひと組の男女が居る。
男の方は、挨拶回り……と称し、実家の家業の僅かな合間に骨休めに来たのだろう。
青年はお茶をすすりながら、この屋敷の当主である娘の話を聞いていた。
正確には、その小鳥が囀るような声しか聞いていないかもしれない。
そう思うほどに「うん 」「うん」と相槌を打ってニコニコするだけ。
だが、実際にはこの娘の言葉、ちゃぁんと聞いている。
一語一句正確に。
話を最後まで聞き終わると、青年は穏やかに応えた。
「そりゃあ、伊之助くんの言う通りだねぇ。確かに見た目も大事さ……でも、味と誰と食べるかが大事だと思うよ」


事の発端は、年末の恒例行事でおせちを仕込んでいたアオイ。
だが、家事が忙しすぎて弘法も筆の誤りと言うべきか。
黒豆にシワがよってしまった。
アオイがしょげていたら、伊之助が「こんなもん美味けりゃどうでもいい」と言って、炊いた黒豆を全部平らげてしまったと……それで蝶屋敷は大騒ぎ。
仲裁するのに大変で、そんな騒動の時にたまたまやってきたのがこの男というわけだ。
「別に形式なんて気にしなくても、黒豆なんかなくてもいいと思うのにねぇ。単なるダジャレだし……甘いだけの豆だ。俺は蒲鉾と数の子、なますがあればそれでいい」
青年はさらに応えカラカラと笑った。
「それはあなたが呑んべぇだからでしょ」
しのぶがからかえば
「あ、ひどぉい。俺はぐでんぐでんになるほど飲まないぜ」
青年は口を少しとがらせた後、にっと笑い

「うちの料理担当の子が煮た黒豆がある。あとついでに餡子。俺は食べないから届けさせよう」
そう言ってしのぶの尻を軽くペチンと叩いた。
「きゃっ!もう!貴方はなんでこう人のおしりを!」
「だってそこにおしりがあるんだもん。他の子にはしないよ」
「当たり前です」
しのぶがぶんむくれて、そっぽをむくと、ケラケラ笑いながら童磨は話題をおせちから逸らした。

「そういや、お餅もついたんだ」
「は?」
「信者の子は、雑煮の他にお汁粉だのあんこ餅だのって言ってるけど、大根おろしをたっぷりかけてって言うのもいいよね」
そう言いながら再びしのぶの尻をペチペチ叩く。
その瞬間、むっつりしのぶの脳内に怪しき思念が沸き起こる。

(餅……ついてこねて……熱々の蒸気した餅に白い大根おろし……)

「あれ……しのぶちゃぁん。また何考えてるの?俺はお餅の食べ方を」

童磨がケロッとした目で聞けば
「え……ええ、そうでしたね」

しのぶが恥じらったように微笑み応えた。

「???……ああ、なるほど。しのぶちゃんのむっつり」

「な……私は何も」

「どうだか?」

再び尻をぺちんと叩く

明日の夜は……

しのぶの頬はつきたての餅のように膨らみ、蒸気した。
その後のことはご想像の通り。