フレーメンちう
2024-12-31 18:38:18
1705文字
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甘える・新年『ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画』

甘える・新年のお題をお借りしました!集中力が続かず一気に書けなかったので掛かった時間が分らず…
ヨダナに恥を与えず甘やかす方法、難しかった…

 年始に振る舞う料理の仕込みを終えたのは、年が変わる一時間前だった。
 食堂には新しい年をを祝おうと職員やサーヴァント達が集まっている。ビーマも一緒に祝うために留まる事も出来たが、どこを見回しても食堂には愛しい姿が無い。
 大きな背中を小さく丸め、自室へと向かった。
――ドゥリーヨダナの部屋に向かおうか。いや、今の時間に行ったら迷惑かと思われちまうか――
 小さな溜息を零しながら自室のドアを開けると、ビーマは小さく息を飲んだ。
 視界に飛び込んだのは、ビーマのベッドで寛ぐ恋人の姿。足を投げ出し、我が物顔に振る舞うドゥリーヨダナ。
 どうして俺の部屋に居るのか。疲れた頭の中は疑問でいっぱいになるが、廊下で立ち尽くす訳にもいかず、部屋に入るとドゥリーヨダナの側へと寄った。
――お前、俺の部屋で寛ぎすぎだろ」
「構わぬだろう? お前だってわし様の部屋に押し入って好き勝手するだろうが」
 不満げに口を尖らせるドゥリーヨダナは、ベッドの側で棒立ちのままのビーマに視線を向ける。いつまで突っ立っているんだ。そう言わんばかりに腕を上げ、ベッドの空いたスペースをボフボフと叩く。
「早くしろ」
 深く座らせようとしているのか、ベッドの中央を叩くドゥリーヨダナを訝しむ。だが、ドゥリーヨダナが部屋に来てくれた事に頬が緩みそうになってしまう。
 ホットチョコのひとつでも振る舞いたいと考えていた。だが、ドゥリーヨダナが座れと言うのであれば、その願いを叶えねば。
 ビーマはドゥリーヨダナの言うとおり、ベッドに座ると足を伸ばす。
 体格の良い男が二人も載れば、幾ら丈夫に作られたベッドでも小さな悲鳴を上げる。ドゥリーヨダナのベッドでも多少軋む事があったが、その時は気にも留めていなかった事を思い出し、自分自身の見境の無い貪欲さを恥じてしまう。
「やっと座ったか」
……おう」
 直ぐ側に感じる温もりに笑みを見せたドゥリーヨダナは、ゆっくりと身を起こす。
 伸ばしたビーマの太股に頭を預けると、少々高くて首が痛くなりそうだ。だが、少しの間なら大丈夫だろう。
 ビーマから漂う香りが、ドゥリーヨダナの鼻をくすぐる。よく知ったビーマの香り以外が混じっている。スパイスは勿論、焼いた肉の香りに魚の匂い。酸味のあるチリソースや香ばしい穀類。
 普段以上に雑多な香りに、キッチンは大忙しだったのだろうか。
 だが、キッチンで疲れたからといって、素直にビーマを休ませる気は無い。クリスマスや年始の準備で二人の時間を思ったように取れなかった。今からでも遅くない。
 ドゥリーヨダナは悪戯な笑みをビーマに向けた。
「今日は特別に、わし様の枕として使ってやろう。頭もなでても構わん」
 ビーマが拒否しないと分っているのだろう。自身に満ちたドゥリーヨダナに小さく呆れるが、ここまで身を委ねてくるのも珍しい。
 望み通り、ドゥリーヨダナの頭に手を置くと、髪を指で梳きながらゆっくりと撫でる。ビーマ自身の髪とは違う、絹のような滑らかさが心地良い。
「ふふっ……随分とぎこちないな」
「文句言うならやめるぞ」
 気持ち良さそうに目を細めながらも小言を零すドゥリーヨダナへ小言を返す。だが、柔らかな表情を見せるドゥリーヨダナを思うと、手を止める事など出来るものか。
 滑らかな髪から手を離し頬に手を伸ばす。調理でカサついた指で触れないようにと、手の甲で頬を撫でた。くすぐったそうな声を漏らすドゥリーヨダナが愛おしい。
 ビーマは顔を上げ、時計に視線を向ける。あと三十分で年が明ける。
 少しでも長くこの関係を続けていたい。今の状況を思えば、こんな事を考えてはいけない事は分っている。だが、ドゥリーヨダナを思う気持ちを止める事が出来ない。
……キッチンからブドウを持ってくれば良かったな。お前と俺の分で二十四粒、な」
「スペインの行事だったか? ……早めに取りに行くか」
 次の年越しで良いだろう。そう言いかけたが、来年もカルデアで過ごせる保障は無い。少しでもここだけの思い出を残そうと、ドゥリーヨダナは温もりを惜しみながら身体を起こした。