同棲してる彼氏二宮が飲み会に行った日。珍しく遅くまで帰ってこなくて、連絡もないし心配してたら、日付変わる頃にようやく玄関から物音が聞こえる。「おかえりー」とルンルンで出迎えれば、顔や手に擦り傷付けて血まみれの二宮が口を一文字に結んだまま目逸らして「…ん」とぶっきらぼうな返事する。「ぎゃあーー!!!」びっくりして反射的に拳法の構えしちゃう。
フラフラになるくらい酔ってる彼を何とかリビングまで歩かせて、ソファーに寝かせて手当てしながら尋問タイム。「この傷どうしたの?」「…転けた」「なんでそんなになるまで飲んだの〜!」「…」「わかった!太刀川の仕業だね!?」「…ちがう」目閉じて寝そうになってるから必要最低限の受け答えしかしない。でもいつもの彼ならこんな飲み方絶対にしないから、どっかの悪い奴に煽られて勝負に乗ってしまったんだろうなと手に取るようにわかる。
確かに二宮は図体デカいし生意気だし基本愛想無いし一緒に住んでる私ですらムカつくこと多々あるけど、こんなフラフラになるくらいまで無理に飲ませるなんてひどい!とムカついて涙まで出てくる。こっちの気も知らずに寝かけてる二宮にさらにムカつく。
手当てしてたら膝の擦り傷がまぁまぁ大きくて、適したサイズの絆創膏が家にないから大至急ドラッグストアへ。玄関で靴履いてると、リビングのソファーで寝てた二宮が「…おい、どこ行く」ってフラフラ立ち上がって出てくるから「寝てろーー!!すぐ戻る!!」と叫んでドンペンサンダルで家飛び出す。
爆速で絆創膏を買って帰還すると、二宮は玄関で座ったまま寝こけてる。「コラーーー!!」デカい声出して起こすと、腰に手を回して抱き付いて「勝手に出ていくな…」とか言うからクソ〜〜こっちの気持ちも知らないで!!と涙を堪えてつむじプッシュする。
後でリビングにほったらかしにされてる二宮のスマホ画面を充電器に繋いだら「二宮帰れたかー?」って太刀川からのLINE通知きてたからとりあえず「コロス」とだけ送っておく。
次の日の朝、弁当作るか〜〜と寝ぼけ眼でリビングに行けば、もう既に起きて身支度を整えてた彼が「すまなかった」って正面から頭下げて謝ってくる。何て言えばいいのか迷ってとりあえず目の前のつむじ押すと、怒られると思ってたのか、面食らったように顔上げる。
「傷、痛くない?」って聞くと、「…あぁ」って答えるので試しに二宮の頬の擦り傷を絆創膏の上からつつくと嫌そうに眉顰める。痛そう。「私ちょっと泣いたよ」とか「スギ薬局まで走ったし」二宮に抱き付いてちょっと責めると「悪かった」って抱き締め返される。「もう二度と同じことはしない」「うん…まぁ、生きてたらたまにはこういうこともあるけどね…」「もうしばらく酒は飲まない」「そこまでしなくてもいいよ〜」とは言うけどそれから本当に二宮はしばらくお酒飲まなくなるし、「今から帰る」とか連絡もマメにしてくれるようになる。
後日、個人的に太刀川と対峙した際に「この間はどうも、うちの二宮がお世話になったようで…」とボコられたヤンキーの兄貴風に絡みに行くと、「いや〜あれは二宮クンが勝手にパカパカ飲んだんだぜ?俺も他の奴らも煽ってね〜わ」ワハハ!と呑気に笑うから腹いせに太刀川が着てるパーカーの紐を限界まで引っ張る。「マジだって!そん時加古もいたから聞いてみろ!ぐるじぃ〜!」拷問に苦しむ太刀川の供述の元、加古さんにあの日のことを聞きに行くと「あら。太刀川くん可哀想」って笑ってる。「じゃあ本当に二宮が自分からあんなに飲んだの?」「恋話になるとお酒が止まらなくなるのよ。詳しくは言えないけど」なにそれ気になる…って言うと「ごめんなさいね。そのうち本人から聞けると思うわ」他の誰に聞いてもこんな感じではぐらかされる。
二ヶ月くらい経って二宮の擦り傷も完全に治った頃、特に何の記念日でもない平凡な日の夕方に二宮から「結婚してください」って急に頭下げてプロポーズされる。「ぎゃあーー!!!!」びっくりして反射的に拳法の構えになるけど答えは勿論〜〜〜?
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