身につけたアウトドアテクニックをお披露目するため、先生にお願いしまくってなんとか学校の裏庭で焚き火する許可を貰い、放課後焼き芋パーティーを決行。先生を説得するためのダシに使った現場監督蔵内には敬意を払って、鳴門金時を用意。たまにはかっこいい姿を見せようと「蔵内はそこで見てるだけでいいから!」ビシッと決めポーズで宣言する。
蔵内監督は「わかった」って物分かり良く頷いてくれるけど、目を離したらコソコソしゃがんで薪割ったり、芋にアルミホイル巻いたりしてる。「はじめてのおつかいに付いてくるタイプ!?」ってギャンギャン吠えるとちょっと恥ずかしそうに眉下げて「悪い悪い、無意識だった」両手を上げて、もうしませんよって感じに装うけど三分後には作業に戻ってるから多分そういう病。結局二人で手早く準備して、焼き芋待ち中に焚き火見ながらチルタイム。
「火見てると触りたくなる」「絶対やめてくれよ」見守る目つきが監視する目つきになる。ふいにお茶を飲もうとして水筒に手を伸ばしたら彼の警戒網に引っかかって手首ガシっと掴まれる。「蔵内さん私のこと全く信用してないね?」「つい反射で…」やってしまったって顔抑えて露骨に反省してる。現場監督としては一流の手捌き。
出来上がった焼き芋をほくほく食べながら「あま〜〜い」「すごい。美味しいな」って二人で頬っぺ落っことす。学内アウトドアの特別感と外飯効果のダブル幸でニヤニヤが止まらない。「写真撮ってもいいか?」って聞いて珍しく内ポケットからスマホ出す蔵内に向かってハッピーラッキーラブスマイルピースドリ〜ム!恥ずかしげもなく披露。
後片付け一緒にして、すっかり日が落ちた帰り道を蔵内と歩く。「ダイソー寄って帰るから〜」って途中で別れようとすれば「俺も行くよ」って心配して付いてきてくれる。「何買うんだ?」「お風呂に浮かべるアヒルのおもちゃ」「買う人初めて見たな…」それでも人の買うものを否定しない優しい蔵内さん。お菓子コーナーに売ってるスイートコーンに足止めされてる時はさりげなくレジに誘導してくる。
ダイソーで売り出されていた数々のハロウィングッズは季節の移り変わりを知らせるようで、色々なことに思いを馳せながら少し肌寒い街を歩く。なんとなく話題も尽きて、明日からブレザー着てこようなんてひっそり決意していると心を読んだように彼が「着るか?」って自分のブレザー渡そうとしてくれる。「ううん、大丈夫」咄嗟に断るとちょっと残念そうに微笑まれる。その顔がやたら気になって、「あ〜なんかやっぱり寒いかも。貸してもらっていい?」
蔵内のブレザーに腕を通すと体格の違いとか彼の香りとか、普段意識しないことがハッキリわかってしまってソワソワする。手頃な位置にあるポケットに手を突っ込むと、落ち葉が二枚入ってる。裏庭で焼き芋してるときに入ったのかなと思い道路の端っこに捨てようとするとすぐ気付かれて、「ごめん、これは…入れておいてくれないか」手ごとポケットの中に戻される。「葉っぱ集めてるの?」「いや、今日の記念にと思って」恥ずかしそうにそっと目線外す蔵内さん。注意深く見てると彼は色んな表情をするんだなぁと気付く。「私もこのブレザー持って帰って今日の思い出にしようかな」ふざけてみれば「それはちょっと困るな」嬉しそうに笑ってくださる。
道の端っこを二人ともゆるいペースで歩いてたら「超足遅いカップルいると思ったらお前らか」って後ろから仕事終わりの先生登場。「先生お疲れ〜私と蔵内は師弟関係です!」「え、そーなの?」「先生、あまり真に受けないでいただけると…」一番保護者。PTA会長の落ち着き。
「健気だな蔵内…追い剥ぎまでされてるのに…」こっちはお互い楽しくやってるのに、突然現れた第三者が蔵内を憐れんでるのが地味に癪に触って「これは校則の許容範囲で楽しめる地味ハロウィンの研究です」って言い返す。「テーマは?」「まだ制服に着られてる中学一年生」先生には「それ面白いのか」って聞かれるけど蔵内師匠は静かにツボってる。ド甘いから多分審査員には不向き。
出来ることも考えてることも違う二人がお互いを尊敬しあい、近付きすぎず遠すぎずな距離を保ちながら心地よく仲を深めていく。来年の秋も一緒にいれたらなぁと想像するけど、どこか現実的ではないように思えて誰も口には出せない。そうやって季節が巡るように過ぎていく、少し肌寒い放課後のお話〜。
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