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もちこ
2022-06-29 01:04:28
1813文字
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感受性強すぎる彼氏王子
保健室で別れ話。でも、別れるわけがない。
王子と付き合いたての頃、朝から体調が優れなかったけどテスト前だから無理して登校。
学校行って王子に会った途端、「もしかして体調良くない?」って真っ先に気付かれる。でも頭も回んないし説明するのが怠くて「いや、平気」って返す。
けど案の定体調悪化して昼休みに友達に保健室連れて行って貰う。放課後、目を覚ましたら教室に置きっぱなしにしてた荷物と王子が側で控えてて、どことなくいつもより暗い顔してる。
あの時正直にならずに結局迷惑かけてしまったから、悪かったなと思い「ごめん、気付いてくれたのに」って謝ると、「ううん。ぼくのことまだそこまで信用してないもんね」なんて自分を嗤うみたいな表情で、棘のある言い方をされてちくりと胸が痛む。
付き合ってはいるけど王子にはいつも尽くしてもらってばかりだし、なかなか素直になれない自分では彼の期待に応えることが出来なさそうだと思ってしまう。友達のままならこんなことでいちいち変な空気にならなかったのにってもやもや気持ちが渦巻く。
「多分、付き合わなかった方が良かったよね。王子だってもう結構無理になってきてるでしょ、こんな奴」距離が縮まるほど自分の最低な部分がバレていくのが怖くて、勢い混じりに突き放した後に訪れる重たい沈黙。耐えきれずに「惰性で一緒にいるだけなら、もうやめて」って傷付いてることを示唆する精一杯の言葉を続ける。自分で自分のことを話すのが下手くそだから、感情を表現する的確な言葉も知らない。たくさん話すこともできなくて、側にいる王子の顔を見ることさえ怖くてできなくなる。
「本気でそんなこと思ってる?」息を吐くような間の後、ひんやり落ち着いた声で王子が話す。いつもの優しくて甘い声色とはまるで別物で、黙って俯いてると顎に手が添えられ、無理矢理に上を向かされる。瞬きする隙もなく唇が重なって、後頭部を抑える手が逃げ道を塞ぐ。身体をベッドに倒され、息を吸う暇も与えられず頭の中がぐるぐる回る。こっちは病人だぞと抵抗するように唸っても離してくれなくて、覆い被さる彼の背中を力一杯叩いても無視される。このまま息を止められるんじゃないかというくらい深いキスで全身の力が抜けきった頃にようやく解放。
目に溜まった涙を彼がそっと拭ってくれる。やっと焦点が合って認識できた王子は怒ったような泣きたいような顔をしてて、殴ってやろうと燃え盛ってた心の炎も一瞬にして消火され戦意喪失。
「別れたい?」もっと焦らすだろうと思ってたことをいきなり聞いてくる王子に、どんな返事をすればいいかわからず彼の目を見つめる。瞳の中の光が微かに揺れていて、彼もこんな顔するんだなぁ、なんて呆然と思う。なんだか自分が彼をいじめてるみたいになってるし、このタイミングでそれ聞くのずるいぞ王子一彰。「答えてよ」表情を隠すように首筋に顔を埋めてきて、縋るように抱き締められる。
王子がパーソナルスペースに入ってきても警報器が作動しないのは、多分もうとっくに彼に破壊されたからだろう。もうこれ以上振り回すのは良くないし、別れた方が彼のためになるって世論は言いそうだけど、自分の意志を言わないと王子は本当に離れていきそうだから。
「一緒にいたい」カーテンで隔てられた空間の中、絞り出した言葉が優しく波紋を作る。離してあげられなくてごめん。「ぼくと同じだ」顔を上げた王子の目には溢れない程度に涙がにじみ出していて、もっと彼の気持ちを考えてあげたら良かったなぁと後悔する。「言質取ったよ。もう君が何を言おうと別れてあーげない!」彼がわざと明るく振る舞うから余計に泣きそうになって、慌てて袖で目を擦って誤魔化す。今は絶対自分が泣くターンじゃないからって堪えたのに。
そっと優しい手つきで身体を起こしてくれた彼と目を合わせて微笑む。そうやって安心してるのも束の間、「ところで君、ぼくの好意を疑うなんていい度胸だ」って何故か喧嘩腰で苦しいくらいに抱き締められる。
さらっと流してくれる気配なしだから「ごめん、勢いで言っただけ」って早々に謝って穏便におさめようとしても「まだ心からわかりきってないから勢いで言っちゃうんだろうね」逃す気なしでは?「怒ってる?」「怒ってるよ」「どうしたらいい?」「それは自分で考えて」いやめんどくさ〜!でも王子一彰との恋愛は一筋縄ではいかないのはもはや当たり前。健闘を祈る!
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