もちこ
2022-03-18 00:50:42
1720文字
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恋人ですから【犬飼】

恋人に甘えまくる犬飼

 犬飼の家に遊びに来た時、すっかり暗くなった空を窓越しに見て「もう帰るね〜」って立ち上がったら「ん」って不満そうに呻いて抱き締めてくる。「離してくれないと土曜プレミアム間に合わないんですが」「ここで見れば間に合う」「帰るの遅くなるからナ〜シ」腕から抜けたと思ったら今度は鞄を人質にとられる。「コラ返さんかい」「今日泊まって」「そんな急には無理だって。ご家族に悪いし、着替えもないし」「犬飼家はいつでもそんな貴方を歓迎します」「職場か」

 引き留めてくる犬飼引きずって無理矢理玄関まで来たところで犬飼母と遭遇。「助けてください〜」って泣きついたら「え〜着替えとか全然貸せるし泊まっていきなよ〜」って彼そっくりの顔で笑われる。タイミングよく帰宅した犬飼姉ズにも助けを求めようとしたら「澄晴ファイティン〜」「そのまま閉じ込めちゃえ〜」って澄晴サイドに付かれて四面楚歌。結果敗北。

 晩御飯をご馳走になってから一番風呂を頂いて、二番手の犬飼がお風呂から上がるの待ってる間リビングで姉ズに「マジで面白いくらいベタ惚れされてんね〜」「いつ嫁に来んの?明日?」ってからまれる。片想い拗らせてた時期の家での様子とか聞きながら楽しく団欒してたら、彼がお風呂から上がってくるなり一目散にこっち来て「部屋行こ」って手引いてくる。
 「焦りすぎダサ〜」「髪乾かせ〜」って野次飛ばしてからかうお姉様方と「はいはいわかりました」って渋々部屋にドライヤー持ちこむ弟のやりとりを見てほっこりする。

 犬飼ルームに移動すればやっぱり予想的中、「乾かして」ってドライヤー渡される。ベッドに軽く腰掛けてから犬飼を床に座らせての髪乾かしタイム。我儘坊ちゃまめと心の中で毒づきながらも大人しく召使いになる。「気持ち良くて寝そう」良かったね。
 ドライヤー終わると今日は何もかも思い通りに事が運んでご満悦な犬飼が隣に座ってきて「土曜プレミアムもういいの」って顔覗き込んでくる。「別に、いつも見てないし」「だと思った」顔近付けられても腰に手回されてるから逃げられない。そのままちゅって軽く触れるだけのキスされて甘い空気感に爆照れする。ぎゅって口結んで俯いたら「なにもぉ〜〜可愛いねぇ〜」って抱き付いて揺さぶられる、かなりベタ惚れ。
 「なんか今日テンション高くない?」「一日ずっと一緒にいられるのにテンション低いはず無くない?」ヒズネームイズイヌカイ、百点の答えを出せる彼氏。「あーーもう照れるからやめて」「いやだ」押しに負けてベッドに倒され、恥ずかしさに身悶えしながらわざと顔逸らしてるとスーッと脇腹撫でてくすぐってくる。「ちょっ、あ、ダメだってば!ギッ、ギブ!」「え、なに?もっと?」「違うってば、っあ〜やめて〜!」めっちゃ楽しげに戯れるし、ドライヤー取り立てに来た姉が部屋の前で引き返してることは知る由もない。
 ご機嫌犬飼は指を絡めながら「名前呼んで」って彼女の頬に擦り寄って甘えてくる。「どうしたの澄晴くん」「くんとか要らない」ガチに求められて一瞬たじろぐけど、「澄晴?」って呼べば首筋に顔を埋めたまま「うん」ってくぐもった声で返事。「澄晴すき」「うん」「いつもありがとう」「うん」同じ体勢のまま、言葉をひとつひとつ噛み締めるように同じ返事をする彼に「顔見せてくれないの」って聞くと「今ねぇ、ちょっと泣いちゃいそうだからダメなんだよ」って涙声で言われて全然そんな気分じゃなかったのにこっちまで泣きそうになる。

 彼の吐く息が熱っぽくて、でもその暖かさに安心する。「今日このまま寝る?」って聞けば小さく頷いて「ごめん、おれ、もういっぱいいっぱいで」長い間自分の中に閉じ込めてた想いは恋人同士になったとはいえ、一気に全て見せられるものでもなくて、溢れる前に蓋をする癖がついてる犬飼はなかなか上手く吐き出せない。「明日朝マック行こうよ」「ね〜ガチで泣かせようとしてない?行くけどさぁ」「行くんかい」こんないつもの他愛もないやりとりを重ねていく中で、少しずつでいいから、好きな人に愛されることが彼にとって当たり前のことになればいいな〜ところで挙式いつ?明日か?