アキ
2024-12-31 11:50:56
1137文字
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笑顔

オル光(14):笑顔
リクエストありがとうございました!!!!

与えられた命の意味をずっと考えていた。
妾の子などこの国の貴族にはよくある話だ。けれども私は家族に恵まれ、育ててもらった。教育を剣術を礼節を、与えられた。だから、この命は家族の為国の為、使うことが正しいと信じていた。その想いは星海に還った今でも変わらない。私が命を賭して守った命は、私の家族を、私の国を、そして他所の国を、敵国さえも、別の世界も、守ってきた。ずっとそれをこの場所から見ていた。そして、終末を前にした今、その人はこの星すら守ろうとしてくれている。
その人を守り見送られた命達と、駆け抜けていくその背中を見つめる。この星の中心である彼女が眠るその場所へ、もうすぐ辿り着くだろう。星の意志は星海の魂達に緩やかに満ちる。水面で揺れる波紋のごとく。最果てで終末を止める為に彼女は魂を選び取る。それは私ではないと知っている。その人と魂の縁で結ばれた者だと知っている。
それでも構わない。何故なら、ここにいるその人の背を見つめる人々は皆、その背中を見送ることを愛している。選ばれたその者でさえも。どんな困難にも立ち向かうその背中を押すことしかできない自分の不甲斐なさを知りながらも、押すことを許された一人であるということにどれだけ救われただろうか。
その人は、静かに振り返る。そうして頷いた。それだけでいい。さぁ前を向いてくれ。
私が認めたイイ奴はお前だけなのだから。
彼女はその人に敗れた。彼女は予定通り、その魂を手繰り寄せる。その人に一番縁深い魂を。選ばれた魂が2つ、その人の背を押すことしかできない魂達に囲われる。「あの人を頼む」と皆が背中を押していく。
その魂の一つである我ら死者の国の冥王の黒衣に私も手を伸ばした。その男は振り返り、私を見た。私の記憶を読み取ったのか、私を見つめて問いかける。
『あいつをかばって死んだのだろう』
『ああ』
『人生に後悔はなかったのか』
その問いかけに私は声を上げて笑った。

『勿論あった!家族に感謝を告げたかった。結婚して、子を作り、余命まで生きてみたかった!
だが、それ以上に……我らは、皆、あの人の魂を愛している』
『あの人の魂の辿り着く道すがらに、愛する者たちの救いがあることを知っている』
『だから、この命を賭した。私の人生以上に、その未来に価値があると思ったから』
『そして、それは貴方達もだろう』

2つの魂が顔を見合わせ、静かに笑った。不敵な笑みを浮かべて冥王は告げる。

『ここの者たちの想いは、我らが最果てまで連れて行こう』

その魂達は彼女に呼ばれ、光となり消えていく。光が消えるのを見届け、星海で我らは再び目を閉じる。
記憶が洗われ、次の生を受けた未来に、もう一度その魂に巡り合いたいと願いながら。