三毛田
2024-12-30 22:24:21
1066文字
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57 057. 夢見る子猫

57日目
子猫も夢を見る

 時折走るように前脚を動かし、笑みを浮かべ。
 そして、突然また丸くなる。
「夢、見てるのかな」
「そうだろうな。しかし、やけに人懐こい」
「飼い猫でしょ。首輪あるし」
「ああ。散歩中か何かか」
 首元の毛をかき分け、首輪を確認した俺の説明に、丹恒は納得したように頷く。
 依頼人から伝えられていた情報とは、一致している。
「このまま連れていくのか」
「どうするか。途中で起きてまた逃げられるとちょっと困るな」
「かごとかに入れて運ぶ方がいいのか?」
 俺と丹恒が頭を悩ませていると、仔猫は急に起きて。
「わっ」
 それから、丹恒の体を素早くよじ登りフードの中にすっぽり収まる。
「可愛い」
 仔猫はもちろんだけど、丹恒もだ。
「穹、どうにかしてくれ」
 なんて、どうしたらいいのかわからないという表情を浮かべ、小声で。
「動いても大丈夫そうなら、このまま連れていこう」
 そろそろと、歩き出す。しかし、振動もちょうどいいゆりかごなのか仔猫は眠ったまま。
 そのまま歩いていき、依頼人のところまで。
「依頼完了! じゃあ、帰ろうか」
「ああ」
 丹恒は上着のフードに着いた仔猫の毛を、懸命にとっている。
「パムが毛取り用のブラシ持ってるから、帰ったら綺麗にすればいいと思う」
「そうだな」
 声が若干不機嫌そうだ。多分、俺が仔猫がフードで眠るのを止めなかったからと思われ。
「穹、俺に言うことは」
「えーと……なんかごめん」
「そうだな」
 毛を綺麗にするのを諦め、腕にかけ。それからこちらに背を剥け歩き出す。
「俺が綺麗にします」
「そうか」
「わっ」
 足を止め、上着を投げてくる。何とか受け取ったけど、口の中にちょっと毛が入った。
「ただいま~」
「おかえり。穹、何か落ちたぞ」
「多分、上着とかズボンに着いた猫の毛」
「それを早く言え! コロコロで全て綺麗にするぞ!」
 動くな! と言われたので、大人しくその場に突っ立ってパムに綺麗にしてもらう。
「残っていたら、きちんとコロコロしておくこと。よいな」
「はーい」
「丹恒は、どうしたのじゃ?」
「俺が可愛い可愛いって言ってたらちょっと拗ねちゃった」
「なるほど。ちゃんとご機嫌取りしておくんじゃぞ」
「はーい」
 もうこれに関しては、今できることはほとんどないのだ。
 俺やなのと違って、ご飯で機嫌が治るわけじゃないし。
 キスで治ってくれたらいいなぁと思いつつ、部屋を訪れてみる。
「丹恒、今大丈夫?」
「どちらでもないな」
「ですよねぇ」
 今の声色は微妙だ。