時折走るように前脚を動かし、笑みを浮かべ。
そして、突然また丸くなる。
「夢、見てるのかな」
「そうだろうな。しかし、やけに人懐こい」
「飼い猫でしょ。首輪あるし」
「ああ。散歩中か何かか」
首元の毛をかき分け、首輪を確認した俺の説明に、丹恒は納得したように頷く。
依頼人から伝えられていた情報とは、一致している。
「このまま連れていくのか」
「どうするか。途中で起きてまた逃げられるとちょっと困るな」
「かごとかに入れて運ぶ方がいいのか?」
俺と丹恒が頭を悩ませていると、仔猫は急に起きて。
「わっ」
それから、丹恒の体を素早くよじ登りフードの中にすっぽり収まる。
「可愛い」
仔猫はもちろんだけど、丹恒もだ。
「穹、どうにかしてくれ」
なんて、どうしたらいいのかわからないという表情を浮かべ、小声で。
「動いても大丈夫そうなら、このまま連れていこう」
そろそろと、歩き出す。しかし、振動もちょうどいいゆりかごなのか仔猫は眠ったまま。
そのまま歩いていき、依頼人のところまで。
「依頼完了! じゃあ、帰ろうか」
「ああ」
丹恒は上着のフードに着いた仔猫の毛を、懸命にとっている。
「パムが毛取り用のブラシ持ってるから、帰ったら綺麗にすればいいと思う」
「そうだな」
声が若干不機嫌そうだ。多分、俺が仔猫がフードで眠るのを止めなかったからと思われ。
「穹、俺に言うことは」
「えーと
……なんかごめん」
「そうだな」
毛を綺麗にするのを諦め、腕にかけ。それからこちらに背を剥け歩き出す。
「俺が綺麗にします」
「そうか」
「わっ」
足を止め、上着を投げてくる。何とか受け取ったけど、口の中にちょっと毛が入った。
「ただいま~」
「おかえり。穹、何か落ちたぞ」
「多分、上着とかズボンに着いた猫の毛」
「それを早く言え! コロコロで全て綺麗にするぞ!」
動くな! と言われたので、大人しくその場に突っ立ってパムに綺麗にしてもらう。
「残っていたら、きちんとコロコロしておくこと。よいな」
「はーい」
「丹恒は、どうしたのじゃ?」
「俺が可愛い可愛いって言ってたらちょっと拗ねちゃった」
「なるほど。ちゃんとご機嫌取りしておくんじゃぞ」
「はーい」
もうこれに関しては、今できることはほとんどないのだ。
俺やなのと違って、ご飯で機嫌が治るわけじゃないし。
キスで治ってくれたらいいなぁと思いつつ、部屋を訪れてみる。
「丹恒、今大丈夫?」
「どちらでもないな」
「ですよねぇ」
今の声色は微妙だ。
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