ぽふむん
2024-12-28 22:45:42
1481文字
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元食べ物だった女達

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「鍵」「大掃除」
鬼飼いif
暴力的表現があります
童まのあるものを大掃除です(えちちな意味ではありません)
嘔吐表現があります

しのぶは、後ろ手で引き違い戸の鍵をかけた。
「作業中」に人が入って来ないように。
禍々しい実験の現場を見られないように。

別に心配する必要は無い。
既にここ、かつての胡蝶家は、怪しき妖怪の住まうお化け屋敷という噂がたち、誰も寄り付かないのだから。
もの好きな男たちが、肝試しに数回寄り付いた時もあった。
だが、本当に男の呻き声やら、血溜まりを見たものが続出し……
後で現場検証をしてみれば痩せっぽちの娘一人住むばかり
跡形もなく……
娘に手を出そうとすれば、唸り声がどこかから聞こえる。
でも、娘以外誰もいない。夏だと言うのにこの屋敷の周りだけ雪が積もったり……
この娘も化け物に違いない。そう結論づけられ、今やこの有様だ。

実際にはお化け屋敷では無い。
ここの奥の間で「鬼を飼い」「実験」こそしているが。

海外から外敵《西洋鬼》達が侵攻してきた。
日本の鬼のように、お花探しをしに来たのでは無い。
侵略だ。
人を食うのならば、まだ「弱肉強食」という理解もできたが……

奴ら……
食いもせず、ただ殺すだけ。
命を弄ぶだけ。
敵の敵は味方
不本意ながら、共同戦線を採ることにした。
そして、鬼の協力の元、何とか外敵を排除できた。
今は、その礼に青い彼岸花に代わる薬の開発に勤しんでいる。

人を鬼にする薬……
それは、ある意味毒だろう。
そして、青い彼岸花とやらはその解毒剤。

そう睨んだしのぶは、まずは鬼の心中の毒を吐き出させることに着手した。
上弦の壱と参は既にしのぶの薬で人に戻った。
鬼となった罪は人に戻り償え。
人に戻り、そのおぞましさを思い知れ。
残すは童磨だけ。


「うげぇ……ぐっ……がはぁ」

椅子に後ろ手に縛りつけられたかつての上弦の弐 童磨は悶絶しながら嘔吐する。
もはや、かつてほどの人智を超えた力は無い。
鬼になりたての頃の力しかない。

今まで食った全ての女の毒を吐き出したから。
毎日毎日吐き出し続け……最後の一人。
しつこい女だ。

「こんな女食うからですよ」
しのぶは生ゴミを見るような目で見下した。

「ぐっ…………ごめ……しの……
くぅ〜んくぅん
鬼は犬のように啜り泣く。
「気色悪い。呼ばないでください」
そう吐き捨てたそのとき

「ぐっ……ごはぁ!!」

べちゃぁ!!
童磨に張り付いていた最後の一人と思われる肉片を吐き出した。

「これで……やっと人間に戻る薬が使えますね……今日は下がりなさい。ゆっくり休みなさい。あとは明日の夜です」
もう今の童磨には睡眠が必要。
慈母のような声音で戒めを解くことなく、首輪を無理やり引くから、童磨は無様に床に倒れふした。
「ああ、そうでした。うっかりです。てへ」

コツンとしのぶは自分の頭をこづくと、童磨の戒めを解いた。
すると、童磨はしのぶの足に頬ずりをした後、まるで犬のように、四つん這いで別室に眠るために下がって行った。
その光景を、慈愛の眼差しで見送ると、しのぶは何やら呪文を唱えた。

───姉も、いわゆる霊媒体質でしたが……実は私もなんですよ───
しのぶの唱える呪文とともに、童磨の吐き出した物は跡形もなく消え……

一体の女の霊魂が現れた

「さ、成仏してくださいね……あいつに食われたのか、食ってくれと頼んだのか……知りませんが」
しのぶはにっこり笑った。
女の霊が呻いている。
「あの人と友達になり、幸せにしてあげるのは私ですから、もう出てこないで、成仏して来世で幸せになってください」
ニコニコ笑いながら、しのぶは小さく手を振った。