三毛田
2024-12-27 21:52:51
1071文字
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54 054. わがままドール

54日目 わがままドールには逆らえません

「あら。先に約束してきたのはあなたでしょう? それを反故にするつもりかしら」
「そういうわけじゃないけどさぉ」
「私にも私の時間があるの。あなたのためにせっかくその時間を使ってあげるのよ?」
「わかってるって」
「私の時間がパーになっちゃった!」
「ぐぬぬぬ……
 確かに、模擬宇宙をやると宣言してここまで来たのは俺。
 けど、ここまで嫌味っぽく言われると反論のひとつもしたくなる。
 でも、したくてもできない。
 なんてったって、彼女はここの主・ヘルタ様。
 俺は、模擬宇宙に関しては雇われの身。
「最後まで、誠心誠意お付き合いさせていただきます」
「当たり前でしょ」
 腕を組んで、俺を見上げて。
 そんな彼女に物申す勇気もなく、やけっぱちになりながら、模擬宇宙へと接続。
 ここで仲間として共に戦ってくれるみんなは、みんなであるけれどそうじゃなくて。
「つっかれたっ」
「今日はこれくらいにしましょう。これ以上やって、あなたが廃人化したら私が姫子に怒られちゃう」
「はーい……ありがとうございました」
 床に寝転がりながら、お礼を告げ。その後起き上がって列車に帰る。
「ただいま……
「おかえり。どうしたんだ」
 ラウンジには、丹恒とパム。二人とも、心配そうに俺を見ていて。
 丹恒に至っては、座り込んでしまった俺の前まで来てくれた。
「ヘルタに会うのは、疲れる……
「それは……疲れるだろうな」
 と、苦笑して手を差し出す。
 それに掴まりながら、立ち上がる。のだが、足に力が入らなくて。
「あ、あれ?」
「大丈夫か? 無理なら、俺が部屋まで運ぶ」
「穹、こういう時は素直に甘えた方が良いぞ」
「そうする……丹恒先生、お願いします」
「任された。パム。消化のいい食事の準備を。風呂に入れて食べさせたら、寝かしつける」
「うむ。任せろ」
 こういう時に甘やかしてくれる存在がいるって、いいことだなぁ。
 そんなことを思いながら、丹恒に全身を綺麗に洗われる。
「ふわ……
 頭皮マッサージも、肩や背中のマッサージも気持ちよすぎて間抜けな声が出てしまう。
 でも、それを責めるどころか
「さっき、ここに触れたら気持ちよさそうだったな。なら、ここはどうだ?」
 優しい甘やかしボイスで、別のところをゆっくり解してくれて。
「気持ちよすぎて、寝そう」
「まだ寝たらだめだ。食事をしてから、歯磨きをして。寝るのはそれからになる」
「はぁい」
 まるで物語に出てくる母親みたい。って言ったら、怒られそう。
「俺はお前の恋人だ」
 と。