元々は情に厚い刑事だった。そのせいで復讐心を私刑に振るってその立場から外された。今では私立探偵だ。その新しい立場でも、やることは変わらない。児童誘拐事件を調べ続ける。
あの時激情の儘に殺した誘拐犯は、自分からあの子を奪ったのとは別の犯罪者だったから。七年前、あの子は、ジャックは、まだ子供だったのに。だから、探し続けている。
このエウリュディケは誘拐事件が多い街だ。テレビを点ければ今日も誰かが攫われてブラウン管に映し出されている。場所は廃遊園地。
テレビを決して、探偵は立ち上がった。
廃遊園地は確かにぼろぼろと廃墟化していたが、人の出入りを感じさせる。特に、ピエロの館と題されたそこがそれだ。
廃墟では様々な罠が掛けられてあった。それがそこらを走り回っている鼠に対したものなのか、それとも。そんな鼠は鼠で、肉食なのかこちらに食指を向けて狙って来る。それから住所不特定者なのか、廃墟の一角を選挙宣言している老人は、自身が走り回ることは無くとも、杖を振り回している。
いずれにせよ近寄らないように進む。
届いた小包の中に入っていたのは、左手。今この左腕の先は、どうなっているのだろう。持ち主から切り離された左手は、手紙を握っていた。
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