ぬこ尻ryo
2024-12-26 21:20:59
2180文字
Public ワンドロ企画など
 

聖剣ワンドロワンライ17回

聖剣ワンドロワンライ17回
『デュラン』『喧嘩』

このふたつのお題から妄想捏造した、兄妹喧嘩(デュとウェンディちゃん)+みにぐれ&ステラ伯母さん

ほのぼの日常のひとこま

※とみせかけて腐った紅デュ脳の持ち主が書いているので意識は常に紅デュベースでございます



『デュラン』『喧嘩』







「お兄ちゃんのばかあ、だいっきらい!!」

小さな両手で作った二つの握りこぶしを震わせながら、大きな二つの瞳を水たまりみたい揺らめかせて、少女はそう叫ぶと、兄に背を向けて玄関の扉をたたきつけるように閉めた。

「ウェンディッ!!」

兄と呼ばれた青年が追いすがるように伸ばした手は、目の前の虚空をむなしくつかんだだけだった。

青年デュランは、はああああ、と盛大にため息をつくと、テーブルの椅子にどかりと腰を下ろした。
「また、やっちまった、、、、」
テーブルに両肘をついて頭を抱えながら、デュランはそうつぶやいた。
背を丸めて頭を抱える青年の姿はまるで死刑宣告を受けた受刑者のよう。
そんなただならぬほどのデュランの落ち込みようを見かねたのか、ぐれんまがとことこと近寄ってきた。
そしてデュランのモールベアヘアをひと房つかむと、ぐいっと引っ張った。
「ってーな、なにすんだよっ」
対して痛くもないぐれんまの悪戯にも、デュランは粗野な態度をとってしまう。
ぐれんまからの真摯な眼差しをまっすぐに受けて、デュランはバツの悪そうな顔をした。
「っと、わりィ、キツくあたっちまったな」
ガシガシと頭をかいて、ぐれんまに謝罪を告げる。
些細なことで気がたってしまう己の精神の未熟さが、恥ずかしい。
デュランはぐれんまの視線をまともに直視できなかった。
ふいと顔を背けて、視線は虚空をさまよわせる。
けれどまっすぐに向けられるぐれんまの視線は、容赦なくデュランの体に突き刺さる。

それに耐え切れなくなって、デュランは再び大きくため息をつくと、観念したように口を開いた。
「また、ウェンディを怒らせちまったよ」
どこを見るともなく焦点を求めてデュランの視線が虚空をさまよう。
けれどその脳裏には数年前のあの日の、あの夜の記憶がありありと思い出されていた。

剣術大会が行われた日の夜、紅蓮の魔導師に敗北して、酒場で自棄になっていたときの記憶。
あの時もウェンディにめちゃくちゃ怒鳴られて、はっぱをかけられた。
映画のワンシーンのように、あざやかに蘇る記憶。

「よわむし!だいきらい」

最愛の妹から最凶の言葉をぶつけられた衝撃は、デュランにとって今までに経験したことがないくらい精神的な大ダメージを与えた。
肉体的な物理攻撃だったらいくらでも耐えることができる。
けれど、実の妹からの言葉の刃に対する防御方法なんて、デュランの辞書には載っていなかった。
あのときデュランの心をえぐった、言葉の痛みが蘇る。

「ウェンディ、、、俺が悪かったよ、、、」

デュランはテーブルの上に突っ伏すと、痛みをこらえるように、握りこぶしを作った。
すると伏せたデュランの頭の上に、ぐれんまがすとん、と座った。
そして、いつもデュランがぐれんまにするのと同じように、デュランの頭を撫でた。

よしよし、よしよし。

幼い子供をなだめるような優しい撫で方。
ぐれんまの小さな手のひらに撫でられて、デュランは小さな子供に慰められているような気分になった。
けれどデュランを撫でるぐれんまの小さな手のひらは、デュランの心に突き刺さった言葉の棘を、一本一本溶かしていく。
それはまるで癒しの魔法のようだった。

デュランはそっと、自分の手を頭の上に伸ばした。
そしてぐれんまがしてくれているのと同じように、ぐれんまを優しく撫でた。
「ありがとな」
ぐれんまのまん丸な二つの目が、嬉しそうにすうっと細くなった。