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molotov
2024-12-26 00:52:22
2131文字
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stand by Me
M/s エピローグの一部
scoutが塵になった。
ずっと分かってた。
もう彼の魔力はほとんど残っていないのだと。
だけど最期まで戦うことを選んだ彼をボクは止めることができなかった。
むしろ彼が満足に戦える様に、ボクは自分の魔力を使う様促したんだ。
それが引き金になって
…
もう彼の体は耐えられなくて、自分で立ち上がることも出来なくなって
…
。
ボクの腕の中で浅く息をしながら彼が言ったんだ。
「MAJOR、アンタの魔力
…
すごく心地よかった」
それがscoutの最期の言葉になった。
記憶に残る1番新しいscoutの顔は、半分ヒビだらけで、ボクの流した涙が彼の頬を伝って、眠りにつく様な安らかな表情だった
…
。
モンスターの体は脆いから、ソウルが機能しなくなったら体は形を保ってはいられない。
塵で白くなった彼のジャケットをかき抱いて、周りも気にせず大きな声で何度もscoutの名前を呼んだ。
それが約1週間前の出来事だ。
scoutの葬儀はほんのごく一部の身内だけで行った。
塵はあの後丁寧に集めて、瓶に詰め、ウチの棚に置いてある。
本当はお墓に入れたりした方が良かったんだろうけど、どうしても手放したくなかった。
「おはよう、scout
…
今日もいい天気だよ」
コツンと塵の入ったガラス瓶にキスをする。
朝の身支度を何とか終えて、ソファに腰をかけるが他は何もする気が起きない。
このソファはscoutがボクと一緒に住み始めた頃からよく寛いでいた。
初めの頃は此処が月1で帰ってくる彼のベッドだった。
それから、コーヒーを飲んだり、読書をしたり
…
キスや
…
それ以上のこともした。
ソファに横になって彼と過ごした日々を反芻していると、気付けばすっかり日は落ちしまっていた。
彼と一緒に選んだ未開封のコーヒーも、旅行に行こうと思って買った雑誌も、今となっては何もかもがガラクタの様に思える。
会いたいよ、scout
…
。
夜はベッドで過ごすように努めている。
「おやすみ、scout
…
」
コツンと塵の入ったガラス瓶にキスをする。
彼の睡眠は浅く短かったが、寝ていなくても一緒に過ごしてくれる事は少なくなかった。
彼のお気に入りの抱き枕を抱きしめて目を瞑れば、これはきっと夢なんじゃないかって
…
次に起きたら君が隣で読書をしてボクが起きるまで待っていてくれるんじゃないかって思わずにはいられなかった。
でも、翌日目覚めた時はボクだけだった。
次の日も、
そしてまた次の日も。
何度寝て起きても、この悪夢は覚めてくれずボクはただ現実を目の当たりにするだけだった。
毎日、毎日毎日、毎日毎日毎日。
ボクは塵の入ったガラス瓶に、おはようとおやすみのキスをする。
現実に耐えられなくなると、ボクは数少ない彼の私物であるジャケットを胸に抱いて泣いた。
もう薄れてしまっているけど、彼が好んでいたタバコの香りがする。
甘い香辛料の、ちょっとクセのある匂いだ。
そうだ、同じタバコを買いに行こう
…
。
ジャケットの中にも彼の吸いかけのタバコが残っていたが一本だけだった。
最期に吸わせてあげられたら良かった
…
。
久々に出かけた街は特に変わった事はなく、ただただいつも通りだった。
彼は平和とか人のためとかそう言う事は一切言わなかったが、彼が戦った結果この街がいつも通りなのを誰が知るんだろうか。
それに彼は人混みもこの街の喧騒も好きじゃなかった。
ボクのしていてた事はなんて傲慢なんだろうか。
それでも、一緒に過ごしていたかった。
帰宅するとボクのエンジェルこと、弟のサンズが玄関前にいた。
「にいちゃん!居ないのかと思ってちょっと心配しちゃった
…
」
「ごめんよ、ちょっと買い物に出ていたんだ」
「ううん、会えて良かった」
「上がってくかい?と言っても大したものはないけど」
「いいの
…
?」
「勿論だよ、それとも此処はもう君の家じゃないのかい?」
「へへっありがとう、にいちゃん」
久々に会った弟のとびきりの笑顔が眩しい。
scoutの弟のDOC君とは葬儀以降あっていないが彼は元気だろうか
…
。
最近は少しずつ掃除や食事をすることができていたので、弟を家に招いても問題ない程度にはなっていた。
きっと彼もボクに気を遣ってしばらくは訪ねてこなかったらしい。
エンジェルは本当に優しい子だ
…
。
「あ
…
これ、scoutさんの
…
?」
ソファには彼のジャケットがかけっぱなしだった。
「あぁ
……
まだ荷物を整理できていなくてね」
「
……
そっか」
弟はジャケットには触れずに、ボクの気持ちを尊重してくれていた。
エンジェルは最近の出来事やDOC君との生活のことを色々話してくれた。
楽しい時間はあっという間で、ボクは弟を家まで送って行った。
自宅へ帰る頃にはすっかり日が暮れて夜になっていた。
自宅の鍵を開け、ドアノブに手をかけて扉を開けようとする。
あぁ、大丈夫。
scoutはいつも家にいるわけじゃなかったから、扉を開けて彼が居なかったとしてもがっかりはしない。
「ただいま、scout」
コツンと塵の入ったガラス瓶にキスをする。
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