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三毛田
2024-12-25 16:04:31
1078文字
Public
1000字2
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52 052. 好きと囁いて
52日目 それ以上はどうして望まない
「好きだ」
「え」
俺の反応が気に入らなかったのか、丹恒は顔を顰める。
「なんだその反応は」
「いや。丹恒から、そんな単語が出るとは思ってなくて」
「俺だって、たまには素直に己の気持ちを口にすることもある」
「あー
……
ありますね」
主に、なのに対して毒を吐く時だけど。
「それとも、俺がお前を好きであることはおかしいことなのか」
「滅相もございません! ただ、急に言われたから、びっくりしただけ」
「そうか。それならいい」
ホッとしたように息を吐く。
俺も、丹恒のことは好きではある。
ただ、彼が口にした〝好き〟と、俺が思う〝好き〟には、差がある気がしてならない。
違いはどうなのかと問われると、言葉にするのは難しく。
だからといって、そのことを本人に告げるには勇気がなく。
「無理にこの気持ちに応えなくていい。が、覚えておいて欲しい」
烏滸がましいが、な。
嘲笑うかのように、ボソッと告げて。
そんな丹恒の顔は、見たくない。
だけど、それを口にする勇気もなく。
「
……
お風呂入ってくる」
「ああ。行って来い」
先程までのやり取りなんか、まるでなかったかのようないつも通りの優しい声色で、出ていく俺を見送って。
「あー
……
」
俺はどうしたいのだろう。丹恒はどうなりたいのだろう。
好きという気持ちを向けられるのは、素直に嬉しい。
だけど、好きの違いに謎の壁があるから素直に受け止めきれなくて。
丹恒はきっと、明確な意思を持って俺に好きだと告げてきた。
それに応えるべきか否か。
すぐに答えが出ない。
彼にはたくさん与えられてばかりだ。だから、本音を言えばキチンもと、誠実に応えたいと思っている。
「好きって、なんだろうな」
考えをリフレッシュするためにお風呂に入ったのに、色々と考えてしまって余計に頭がこんがらがっていって。
一度全身お湯の中に入り、それからザバッと出る。
「速戦即決。悩むより、行動しろ」
こんなところで悩んでいたって、解決しない。
なら、出来ることは一つ。
「丹恒と、話し合う」
お風呂から出て、着替えて髪も乾かして。もう一度資料室へ。
「丹恒」
「穹。リフレッシュ出来たか?」
「それなりに。なあ。今すぐしてほしいこと、あるだろ」
「
……
俺は、お前と指先を触れ合わせることだけでも幸せだ」
「う」
嘘だと言おうとして、彼の表情から本当のことを言ってると悟ってしまう。
「他には」
「
……
頬に、口づけを」
絞り出すような声。
キュッと胸が締め付けられ、気づけば唇を重ねていた。
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