iwahiba
2024-12-23 21:05:39
1190文字
Public プロット
 

島に渡るはなし(リン♂→カブ♀)

元々プロットの段階ではライカブ♀のなれそめの話のプロローグ的に書いていたリン♂→カブ♀前提の島に渡る話だったのでちょっとだけ文章になるように整えました。

リンがミルシリルの家を訪れると扉を開けた途端、カブルーの体中の怪我が視界に入った。

「あ、リン」
「!?カブルーその怪我は!?あっ顔にも!」

青い瞳に惹き込まれて、まじまじと顔を覗き込んでしまう。
ハッとして慌てて距離をとる。

「あ
「これはミルシリルに絞られてできたの」

困ったようにカブルーは苦笑した。
普段は物静かなミルシリルだが、ことカブルーとの稽古になると人が変わったように豹変する事は、リンでも知っている。
それにしてもと、リンの表情は曇り、眉間に皺が寄る。

(稽古?それにしては随分と手荒すぎないか?)

「ねえ、リン」

少し改まったカブルーの声に名前を呼ばれて顔を上げる。
また青い瞳と目が合った。

「カーカブルードに行こうと思うの。」




 


「それってどういう
ちょっと外に行こうか」

そう言ってカブルーは家を出て歩き出した。
カブルーの黒く長い巻き毛が揺れる後ろ姿を追うように、リンも歩く。

(この家を出ていくって言ったから、ミルシリルはこんな事になるまで?)

リンはまだ、理解ができないという表情をした。

「さすがにミルシリルは、分別つく程度に余裕があったよ。顔は稽古中に、自分から荷物に突っ込んじゃっただけ。」

どこかを目指しているらしくマーケットを突っ切るように歩く。
通りすがりにエルフの店主にも声を掛けられてカブルーは笑顔で応えた。
カブルーはリンと違いこの土地に馴染んでいる。
町のはずれの小高い丘を越えて、港の高台までやって来たところで歩みが止まった。

「それで、カーカブルードがどうしたって?」
「4年前、迷宮が現れたんだけど」
「迷宮

思わずリンは苦い顔をした。
リンは話にしか聞いていないが、カブルーの育った町を消滅させた元凶。
カブルーは海を指差す。

「ウタヤのようになる事を、食い止めたいの。」

つまり迷宮に行くと。

「それはあの人も全力で叩きにくる訳だ。」
「分かっているよ、ミルシリルの言いたいことは。元々稽古が厳しかったのも、迷宮に行くって言い張っていたからだし。」

カブルーは苦笑して左腕の怪我をさすっている。



リンは少し言葉に詰まり、思いつめたような表情で顔を上げた。

俺も一緒に行く」

カブルーが驚いたように息を飲む。

「リンを危険な目に遭わせるわけには
「そっちこそ魔物が嫌いなくせに、迷宮に行こうとしてるだろ」

(ここに連れて来られて絶望していた頃カブルーに救われた
俺だってカブルーを助けたい)

「どうせ魔術師は必要だろ、だったら俺を選べ」
うん、リンが来てくれるなら心強い」


そう言って見せたカブルーの笑顔は安堵のように見えた。
そう思いたかったのは自身の願望に他ならないという事も、リンは分かっていた。