ぽふむん
2024-12-21 22:55:00
1346文字
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自慢の彼女

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負

「クリスマス」「ワイン」

現代if

ガラス越しに見える夜景が綺麗だ。
摩天楼の灯り。
車のテールランプの灯りがキラキラ輝く。
ここは、高層ホテルの最上階のレストラン。
童磨が予約してくれたここは、さすが評判の店だけあり、料理も美味しい。
ワインの味は、酒に詳しくない しのぶにはよく分からない。
でも、良いものなんだろう。
正直、あまり酒が強いとは言えないからほんの少しだけ唇を湿らせただけだが、何となくわかる。
方や、相方の童磨はグラスのワインを飲み干してしまい、おかわりしている。

「本当に酒豪ですね」
そう言えば、涼しい顔で笑っている。

近くの席のカップルの会話が聞こえて来た。
聞き耳を立てている訳では無い。
聞く気はさらさらないのに、聞こえて来るその会話。二人揃って声が大きい。
オシャレなレストランなのに、TPOをわきまえない客・・・
しのぶは、その客の大声に少し呆れ、目の前の童磨はなんだか少し機嫌が悪くなったように見える。

男性の方は少し訛っているところから、地方からのIターン就職と言ったところだろう。
里に残した母親が入院したらしい。
「この機会に私もついて行ってお母さんに挨拶しましょ」
女が言う。
ああ、まだ交際相手がいるということを、この男は母親に告げていないようだ。
良いことなのではないだろうか。
そういう仲であるのならば。
これは、女からしたら、遠回しなプロポーズの催促だろう。
だが、男はとんでもない返事をした。
恥ずかしいという照れ隠しなのか、まだ結婚はしたくないという意味なのか・・・どんなに贔屓目に聞いても容姿を腐しているようにしか聞こえないもの。
「何よそれ」

喧嘩が始まり、店員に静止された。

せっかくのクリスマスディナーが台無しだ。

「しのぶちゃん。急かすようで悪いけど、デザートも食べ終わったみたいだし、帰ろう」
童磨は立ち上がった。
しのぶもそれに従った。
やはり、なんだか不機嫌に見える。
興を削がれた。そんなところだろう。

雪がチラつく街を二人でそぞろ歩き、結局妓夫太郎の店で飲み直しになる。
この店は間違いがない。
何かあっても 妓夫太郎が気を利かせてくれる。

「俺、常々思うんだけど日本人の男って馬鹿だよね。なんで自分の好きな人を落とすんだろう。自慢じゃないのかなぁ?」

水割りを飲みながら童磨は呟いた。
「しのぶちゃんはねぇ・・・俺の母親のこと・・・すんごいメンヘラなのに理解示してくれるし・・・天使だよね。頭もいいし可愛いし」
「あなた・・・酔ってます?」
しのぶはノンアルのカクテルを飲みながらつれない態度。
柄にもなく酔っているように見えたから。

「酔ってない。しのぶちゃん・・・結婚しよ」

そんなことは気にしていないように、童磨はいきなりしのぶの方に向き直ると小さな箱を差し出した。
これは・・・プロポーズだ。
プロポーズしようとして、邪魔が入ったから、ムードをぶち壊されたから機嫌が悪くなったように見えたのか。
そんなこと気にしない男だとばかり思っていたのに。案外可愛いところのある男だと思う。
しのぶはくすりと笑った。

「酔ってない時にお願いします」
「酔ってない。シラフだよ」
どう見ても酔っている。
頬が赤く染まっていた。